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第8話 どーも、交易都市です
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主人公 エルフと死合いする
本文
どーも、バテバテのオッサンです。
あれから交代で周囲の警戒をしつつ睡眠をとり身体を休めていたんだけど...起きたら身体が悲鳴を上げており思うように行動出来ない状態の2人。
「や、やばい。全身筋肉痛で訓練どころじゃない...」
「私もです...歩くので精一杯です」
「ご飯食べたら顔洗って交易都市に向かおう。無茶な訓練した結果がこれか。仕方ない、仕方ない」
「さすがにこの状態での戦闘は避けたいですね。ケンさんの意見に賛成です。湯に浸かって、ベットで寝たいです」
「そうだね、朝食の準備するから洗濯物取り込んでおいて。あと質素な格好でボロボロになったローブに着替えてね」
「分かりました。変装のネックレスで耳と髪の毛の色を変えることが出来るので装備しますね」
よろしくと返事をして、俺は朝食を準備しつつローブを着る。今日の朝食はパンに干し肉と野菜を詰めてサンドイッチ。それとコンソメスープを添えて、完了。腹がかなり減ったので量はいつもの2倍用意した。
「さあ、たくさん召し上がれ!この森を出て交易都市に着くまで干し肉だけだから今のうちに腹に詰めといてね」
「はむ、うーん!美味しいです!あっ、私の血を入れてません!」
「じゃーとりあえずこのパンに染み込ませて」
針で指の腹を刺しパンに染み込ませるユリさん。笑顔である。怖いよ、その笑顔。
血が染み込んだサンドイッチを食す。
「うん?あまり鉄の味がしない...種族が異なると血の味が変わるのか?」
「私はケンさんの血がとてもまろやかな味で美味しかったです。ふふふ」
「あ、そう...人前で血を飲むのはやめてね。交易都市に着いたら即宿屋の確保。時間があれば食料の調達と情報収集だな。あー、あと身分証も必要かも」
「私はそこまで血に飢えてませんけど...たまに血が飲みたいです...。今日は宿を確保したらはじめに身分証の取得をした方が良いかもしれません。城壁の門を通るたびに銀貨1枚取られてしまうので」
「たしか、銅貨10枚で銀貨1枚。銀貨100枚で金貨1枚。金貨1000枚で白金貨1枚だったよな?あの奴隷商人が蓄えてくれていて助かったよ」
「そうですね、私を売るのに前金で白金貨500枚でしたので...あの商人が、役に立つなんて皮肉ですね」
「この世界は、ほんとに残酷だよな…それでも、生きていく為には必要なことなら何だってするさ。掃除でもモンスター討伐でも殺人でもだ。躊躇ったら最後、俺たちに未来がないことを胸に刻んで行動しよう」
無言で頷くユリさん。そのまま無言で用意した朝食を全て食べ終えてしまう。お互い支度をして交易都市に向かう。
「交易都市って言うからには物流が盛んなのか?」
「私が耳にしたのは商品が値上がりしているそうです。なんでも、魔人族が攻め込んできて対応に追われてると話してました」
「魔人族ねぇ、そのあたりの情報も収集した方がいいね。普通な暮らしをする為には世の中平和が一番だよ」
「ふふ、ケンさんが望む普通ってなんですか?私が思うにケンさんの人生は波瀾万丈になる気がします」
「冗談でもそれを言うなよ。俺もそんな気がしているんだから。普通な人生は人それぞれだけどさ、普通に働いて普通の家に住んで普通な暮らしが出来ればあとはなんだっていいよ」
「ふふふふ。そうなるといいですね。私もケンさんと一緒に普通の生活をしてみたいです」
「えー、俺は一人暮らしでのんびり生活したいんだけど」
「その希望はもう存在しません。私と一緒に暮らすのです!」
「あー、はいはい。その時になったら考えるわ。スマホでズームしたら外道が見えてる。そろそろ周囲の警戒しておこう...うん?ちょっと待って。このスマホみて」
「はい?えーと、あの商人が死んだ場所に騎士たちがいますね」
「やっぱり騎士か。さて、どうするか...様子見つつ対応を考えようか」
「ケンさん、少し離れた場所から森を出て旅人に装うのはいかがでしょうか?」
「それはリスクが高いな。旅人なら地名ぐらい知っている...待てよ。別に地名を言わなくてもいけるかもしれない。交易都市の次の大きな街が王都なら別に怪しくないかも」
焦るな俺。よく考えろよ。今の服装はボロボロのローブでいかにも旅人?に見えるかな。メガネをとって...メガネ外したら周囲の警戒ができない。とりあえずここにいても仕方ない。騎士たちの様子を伺いつつ移動した方がいい。
「今後は旅人の設定でいこう。ただ、あの騎士たちにわざわざ顔見せる必要もないしもう少し距離をとって様子をみる。ユリさんは周囲の警戒をお願い」
「そうですね、あの騎士たちも奴隷商人に関して知っていた場合厄介事に巻き込まれるかもしれませんね」
スマホで確認できる距離まで離れて様子を伺いながら休息する。待つのも時には必要なのだ。
「この世界に来てから一番のんびり出来ているよ。このまま何事もなく騎士たちが立ち去ってくれるとありがたいな」
ああ、自らフラグを立てる俺。そもそもフラグ回収イベントとか現実に起こり得るのか?アニメや小説だけでの展開であって起きるワケ...
「ユリさんや、騎士たちがこちらに向かって来てるんだけどどうしましょうか」
「ええ!?私の目では全く見えないのにどうやってあの騎士たちは...」
「もしかしたらさ、このマジックバックに何か細工してあるんじゃないの?」
「マジックバックに細工ですか?それは...なくはないですね。実際、探知魔法は存在しますし」
フラグ回収イベントなのか分からないけど、対応しなくてはいけない。魔法の道具をユリさんに渡し作戦を伝える。
「この魔法の道具はモノクルという名前らしい。装着してみて?少し視力が上がる効果がある。俺が囮をするからユリさんが持っているマジックバックを貸して。ユリさんは俺と騎士を監視、出来ればなるべく遠くに。弓の届く範囲でお願いね」
「分かりました。何か合図を決めませんか?合図があれば援護に向かいます。もしくは弓で対応します」
「うーん、俺が剣を抜いて上に向けたら戦闘の合図。合図がなければそのまま待機。特に何もなければ手を振るよ、そしたら騎士たちの動向を観察しつつ戻ってきて」
「分かりました、では私は隠密行動しつつ距離をとりますね」
「よろしく」
ユリさんの気配がなくなったのを確認してから再度スマホの画面をみる。
「全身筋肉痛で戦闘は避けたいし、穏便にことを進めたいなー。あいつらどう見てもこちらを指差して向かってきやがる。やっぱりこのマジックバックに細工がされていると考えた方がいいよな」
スマホ越しではなく自分の目でも確認が出来る距離まで騎士たちが来ている。
そっと木の上まで登りマジックバックを引っ掛けて、俺はその場から少し距離をとり騎士たちの行動をみる。
「この辺りに奴隷商人のドミニクが使用していたマジックバックの反応があります。団長、どうしますか?」
「あの奴隷商人も可哀想に。奴隷と武器を第一王子に売るためとはいえ、金を出すのを渋って護衛をつけないから死ぬなんて...本当に残念だ」
「団長、本当は残念なんて思ってないですよね?」
「分かるかね?極秘任務として依頼を受けたのだからな。マジックバックの中身が少し減っても分かるまい」
「さすが団長。奴隷のエルフはどうしますか?」
「もうくたばってるだろう。この森は危険な場所で有名だ。我々はマジックバックを発見する事だけに集中すれば良い」
「遺留品から探知魔法を掛けられることを知らないモンスターの仕業ですね、これは」
「うむ、知性が低いモンスターの仕業で間違いあるまい。それにその遺留品を持っているのは私だけだ。つまり我々だけがマジックバックを回収することができる」
6人の騎士たちの会話を聞きつつ俺は深く反省する。遺留品で探知出来るなんて思いもよらないだろ普通は。このままでは今後の生活が苦しくなる。仕方ない、こいつらを始末する他ないな...
俺は隠密スキルで騎士の1人の背後に忍びより短剣を首に刺す。そしてユリさんに合図を出す。もちろんその合図は戦闘の合図だ。
「何事だ!!?お前は...かひゅ」
矢が騎士の額に刺さる。
さすが、ユリさん。頼りになるね。狙うは団長!!
「悪いがこのままここで死んでくれ」
「なにぃっ!?」
身体能力向上、乱れ切りのスキル発動させ団長とやらの首を刎ねる。その間にユリさんの的確な矢が騎士の2人の額に刺さる。
「残りは2人か...じゃ、殺し合おうかっ!!」
俺は、団長が帯剣していた剣を抜き取り騎士に斬りかかる。この剣を受け止められるの想定済みだ。剣を離し騎士たちから距離をとると、矢が騎士の額に刺さる。俺に注意向ければ矢で死ぬ。矢を警戒して俺から距離をとると、瞬時に間合い詰め斬りかかる。
「お、お前たちは何者なんだ!俺たちを殺して...あ」
身体能力向上のスキルを使うまでもなかったかも。あまりに弱すぎる。最後の騎士の首を刎ねた剣を左右に大きく振り血を飛ばす。
ここも時期に血の匂いを追ってモンスターたちが寄ってくるだろう。マジックバックを回収し、団長が持っていた奴隷商人の遺留品を拾い上げる。
「ケンさん、やはり戦闘になってしまいましたね。この騎士たちはどうして私たちの場所が分かったんですか?」
騎士たちの会話をユリさんにそのまま伝えると、
「探知魔法ですか。厄介ですね、奴隷商人の遺留品がまだ交易都市に残っていたらまた同じことの繰り返しです」
「そうなんだよね...ただ、これだけのものを捨てるのは勿体無い。交易都市の近くにマジックバックを隠して、正規でマジックバックを買おうと思う。それに移し替えればいいさ。金だけ持って交流都市に早く向かおう。もう身体バキバキだよ」
俺はお金と魔法の道具をカバンに入れ、団長が持っていた地図を見つけてそれを写真で保存する。ユリさんは食料と衣服を大きなリュックに入れて持ち運ぶ。
「よし改めて交易都市にむけ出発だ!まだ見ぬ風呂とベットよ。待ってておくれ」
「だいぶこの騎士たちに時間取られましたからね、着くのは夜のうちになると思います」
「ほんと、俺たちの邪魔するなよな。もう、人間怖い」
「私も身体能力向上のスキルを使用していますので、人の目がつかないように隠密スキルも発動させて走りましょ?」
「最高の提案だね!それでいこう」
俺たちは森を抜け外道の端を気配を消しながらとにかく走る。走って走って日が落ちそうになる前に城塞の門につきしれっと列に並んで順番を待つ。ちなみに奴隷商人のドミニクの2つのマジックバックは交易都市の近くの道の端に埋めた。そろそろ俺たちの番だな。
「次、お前たち2人だけか?なんのようでこの街に来た」
「流浪の旅をしている。食料が尽きたから立ち寄った」
「なるほど。確かに旅な格好しているな。最近は魔人族が各地で暴れているから気をつけろよ?身分証は持っているか?」
「その話が本当なら一旦この街でゆっくりするよ。平民だから俺たちに身分証はないな」
「そうか、なら1人銀貨1枚だ。冒険者なら身分証の代わりとしてカードが発行される。その方が手間が少ないから旅に最適だと思うぞ」
「考えておくよ。はい、2人で銀貨2枚。よろしく」
「ああ、確かに受け取った。いい旅になる事を祈るよ」
ありがとうと返事をして俺たちは門をくぐる。
「ユリさん、ローブのフード被っていいよ。もう身体中が痛いから風呂あり宿にさっさといこう」
「はい、私もそろそろ限界です。どこの宿がいいのでしょうか」
「うーん、露店があるしそこで買い物しつつ店主に聞こうか」
結構賑わっている街だな。露店では声を出して客引きしているし、値段交渉をしている人たちも見かける。
「あの串に刺さっている肉旨そうだ。あそこで何本か買っていくか」
「なんのお肉でしょうか?味付けは良さそうでけど...少し不安です。ケンさん以外が作った料理はあまり食べたくないですね」
「そうなの?店主に聞いて食べれそうな肉であればパンに挟んで食べよう。俺以外の料理を食べられるようにしなよ」
ユリさんと会話しながら露店に到着して、串に刺さった肉を4本購入する。1本8銅貨。家畜の馬の肉らしい。口に入れて食べると...
「少し硬い...なんのタレを使っているか知らないが結構味が濃いな。パンに挟むと丁度いいかも」
露店の店主から聞いた宿に向かう前に少し横道にそれてから堅パンをユリさんから貰い、ナイフでパンを切り肉を挟む。パンに挟めばなんでも食えるさ、きっと。食べながら宿へ向かう。
「あそこが店主が言ってた商人御用達の宿だけど、なんか敷居が高そうだな。情報収集するつもりであの宿を選んだけど...」
「あの店主さんはなんであの宿を教えたのでしょうか?見る限り、とても私たちの格好では入れそうにありませんよ」
「はぁー、あそこの宿はやめよう。地道に聞いて回っていこうか」
交流都市に着いたのは良いのだが、まだ休めそうにないな...
後書き
次回 情報収集
前回のあらすじ
主人公 エルフと死合いする
本文
どーも、バテバテのオッサンです。
あれから交代で周囲の警戒をしつつ睡眠をとり身体を休めていたんだけど...起きたら身体が悲鳴を上げており思うように行動出来ない状態の2人。
「や、やばい。全身筋肉痛で訓練どころじゃない...」
「私もです...歩くので精一杯です」
「ご飯食べたら顔洗って交易都市に向かおう。無茶な訓練した結果がこれか。仕方ない、仕方ない」
「さすがにこの状態での戦闘は避けたいですね。ケンさんの意見に賛成です。湯に浸かって、ベットで寝たいです」
「そうだね、朝食の準備するから洗濯物取り込んでおいて。あと質素な格好でボロボロになったローブに着替えてね」
「分かりました。変装のネックレスで耳と髪の毛の色を変えることが出来るので装備しますね」
よろしくと返事をして、俺は朝食を準備しつつローブを着る。今日の朝食はパンに干し肉と野菜を詰めてサンドイッチ。それとコンソメスープを添えて、完了。腹がかなり減ったので量はいつもの2倍用意した。
「さあ、たくさん召し上がれ!この森を出て交易都市に着くまで干し肉だけだから今のうちに腹に詰めといてね」
「はむ、うーん!美味しいです!あっ、私の血を入れてません!」
「じゃーとりあえずこのパンに染み込ませて」
針で指の腹を刺しパンに染み込ませるユリさん。笑顔である。怖いよ、その笑顔。
血が染み込んだサンドイッチを食す。
「うん?あまり鉄の味がしない...種族が異なると血の味が変わるのか?」
「私はケンさんの血がとてもまろやかな味で美味しかったです。ふふふ」
「あ、そう...人前で血を飲むのはやめてね。交易都市に着いたら即宿屋の確保。時間があれば食料の調達と情報収集だな。あー、あと身分証も必要かも」
「私はそこまで血に飢えてませんけど...たまに血が飲みたいです...。今日は宿を確保したらはじめに身分証の取得をした方が良いかもしれません。城壁の門を通るたびに銀貨1枚取られてしまうので」
「たしか、銅貨10枚で銀貨1枚。銀貨100枚で金貨1枚。金貨1000枚で白金貨1枚だったよな?あの奴隷商人が蓄えてくれていて助かったよ」
「そうですね、私を売るのに前金で白金貨500枚でしたので...あの商人が、役に立つなんて皮肉ですね」
「この世界は、ほんとに残酷だよな…それでも、生きていく為には必要なことなら何だってするさ。掃除でもモンスター討伐でも殺人でもだ。躊躇ったら最後、俺たちに未来がないことを胸に刻んで行動しよう」
無言で頷くユリさん。そのまま無言で用意した朝食を全て食べ終えてしまう。お互い支度をして交易都市に向かう。
「交易都市って言うからには物流が盛んなのか?」
「私が耳にしたのは商品が値上がりしているそうです。なんでも、魔人族が攻め込んできて対応に追われてると話してました」
「魔人族ねぇ、そのあたりの情報も収集した方がいいね。普通な暮らしをする為には世の中平和が一番だよ」
「ふふ、ケンさんが望む普通ってなんですか?私が思うにケンさんの人生は波瀾万丈になる気がします」
「冗談でもそれを言うなよ。俺もそんな気がしているんだから。普通な人生は人それぞれだけどさ、普通に働いて普通の家に住んで普通な暮らしが出来ればあとはなんだっていいよ」
「ふふふふ。そうなるといいですね。私もケンさんと一緒に普通の生活をしてみたいです」
「えー、俺は一人暮らしでのんびり生活したいんだけど」
「その希望はもう存在しません。私と一緒に暮らすのです!」
「あー、はいはい。その時になったら考えるわ。スマホでズームしたら外道が見えてる。そろそろ周囲の警戒しておこう...うん?ちょっと待って。このスマホみて」
「はい?えーと、あの商人が死んだ場所に騎士たちがいますね」
「やっぱり騎士か。さて、どうするか...様子見つつ対応を考えようか」
「ケンさん、少し離れた場所から森を出て旅人に装うのはいかがでしょうか?」
「それはリスクが高いな。旅人なら地名ぐらい知っている...待てよ。別に地名を言わなくてもいけるかもしれない。交易都市の次の大きな街が王都なら別に怪しくないかも」
焦るな俺。よく考えろよ。今の服装はボロボロのローブでいかにも旅人?に見えるかな。メガネをとって...メガネ外したら周囲の警戒ができない。とりあえずここにいても仕方ない。騎士たちの様子を伺いつつ移動した方がいい。
「今後は旅人の設定でいこう。ただ、あの騎士たちにわざわざ顔見せる必要もないしもう少し距離をとって様子をみる。ユリさんは周囲の警戒をお願い」
「そうですね、あの騎士たちも奴隷商人に関して知っていた場合厄介事に巻き込まれるかもしれませんね」
スマホで確認できる距離まで離れて様子を伺いながら休息する。待つのも時には必要なのだ。
「この世界に来てから一番のんびり出来ているよ。このまま何事もなく騎士たちが立ち去ってくれるとありがたいな」
ああ、自らフラグを立てる俺。そもそもフラグ回収イベントとか現実に起こり得るのか?アニメや小説だけでの展開であって起きるワケ...
「ユリさんや、騎士たちがこちらに向かって来てるんだけどどうしましょうか」
「ええ!?私の目では全く見えないのにどうやってあの騎士たちは...」
「もしかしたらさ、このマジックバックに何か細工してあるんじゃないの?」
「マジックバックに細工ですか?それは...なくはないですね。実際、探知魔法は存在しますし」
フラグ回収イベントなのか分からないけど、対応しなくてはいけない。魔法の道具をユリさんに渡し作戦を伝える。
「この魔法の道具はモノクルという名前らしい。装着してみて?少し視力が上がる効果がある。俺が囮をするからユリさんが持っているマジックバックを貸して。ユリさんは俺と騎士を監視、出来ればなるべく遠くに。弓の届く範囲でお願いね」
「分かりました。何か合図を決めませんか?合図があれば援護に向かいます。もしくは弓で対応します」
「うーん、俺が剣を抜いて上に向けたら戦闘の合図。合図がなければそのまま待機。特に何もなければ手を振るよ、そしたら騎士たちの動向を観察しつつ戻ってきて」
「分かりました、では私は隠密行動しつつ距離をとりますね」
「よろしく」
ユリさんの気配がなくなったのを確認してから再度スマホの画面をみる。
「全身筋肉痛で戦闘は避けたいし、穏便にことを進めたいなー。あいつらどう見てもこちらを指差して向かってきやがる。やっぱりこのマジックバックに細工がされていると考えた方がいいよな」
スマホ越しではなく自分の目でも確認が出来る距離まで騎士たちが来ている。
そっと木の上まで登りマジックバックを引っ掛けて、俺はその場から少し距離をとり騎士たちの行動をみる。
「この辺りに奴隷商人のドミニクが使用していたマジックバックの反応があります。団長、どうしますか?」
「あの奴隷商人も可哀想に。奴隷と武器を第一王子に売るためとはいえ、金を出すのを渋って護衛をつけないから死ぬなんて...本当に残念だ」
「団長、本当は残念なんて思ってないですよね?」
「分かるかね?極秘任務として依頼を受けたのだからな。マジックバックの中身が少し減っても分かるまい」
「さすが団長。奴隷のエルフはどうしますか?」
「もうくたばってるだろう。この森は危険な場所で有名だ。我々はマジックバックを発見する事だけに集中すれば良い」
「遺留品から探知魔法を掛けられることを知らないモンスターの仕業ですね、これは」
「うむ、知性が低いモンスターの仕業で間違いあるまい。それにその遺留品を持っているのは私だけだ。つまり我々だけがマジックバックを回収することができる」
6人の騎士たちの会話を聞きつつ俺は深く反省する。遺留品で探知出来るなんて思いもよらないだろ普通は。このままでは今後の生活が苦しくなる。仕方ない、こいつらを始末する他ないな...
俺は隠密スキルで騎士の1人の背後に忍びより短剣を首に刺す。そしてユリさんに合図を出す。もちろんその合図は戦闘の合図だ。
「何事だ!!?お前は...かひゅ」
矢が騎士の額に刺さる。
さすが、ユリさん。頼りになるね。狙うは団長!!
「悪いがこのままここで死んでくれ」
「なにぃっ!?」
身体能力向上、乱れ切りのスキル発動させ団長とやらの首を刎ねる。その間にユリさんの的確な矢が騎士の2人の額に刺さる。
「残りは2人か...じゃ、殺し合おうかっ!!」
俺は、団長が帯剣していた剣を抜き取り騎士に斬りかかる。この剣を受け止められるの想定済みだ。剣を離し騎士たちから距離をとると、矢が騎士の額に刺さる。俺に注意向ければ矢で死ぬ。矢を警戒して俺から距離をとると、瞬時に間合い詰め斬りかかる。
「お、お前たちは何者なんだ!俺たちを殺して...あ」
身体能力向上のスキルを使うまでもなかったかも。あまりに弱すぎる。最後の騎士の首を刎ねた剣を左右に大きく振り血を飛ばす。
ここも時期に血の匂いを追ってモンスターたちが寄ってくるだろう。マジックバックを回収し、団長が持っていた奴隷商人の遺留品を拾い上げる。
「ケンさん、やはり戦闘になってしまいましたね。この騎士たちはどうして私たちの場所が分かったんですか?」
騎士たちの会話をユリさんにそのまま伝えると、
「探知魔法ですか。厄介ですね、奴隷商人の遺留品がまだ交易都市に残っていたらまた同じことの繰り返しです」
「そうなんだよね...ただ、これだけのものを捨てるのは勿体無い。交易都市の近くにマジックバックを隠して、正規でマジックバックを買おうと思う。それに移し替えればいいさ。金だけ持って交流都市に早く向かおう。もう身体バキバキだよ」
俺はお金と魔法の道具をカバンに入れ、団長が持っていた地図を見つけてそれを写真で保存する。ユリさんは食料と衣服を大きなリュックに入れて持ち運ぶ。
「よし改めて交易都市にむけ出発だ!まだ見ぬ風呂とベットよ。待ってておくれ」
「だいぶこの騎士たちに時間取られましたからね、着くのは夜のうちになると思います」
「ほんと、俺たちの邪魔するなよな。もう、人間怖い」
「私も身体能力向上のスキルを使用していますので、人の目がつかないように隠密スキルも発動させて走りましょ?」
「最高の提案だね!それでいこう」
俺たちは森を抜け外道の端を気配を消しながらとにかく走る。走って走って日が落ちそうになる前に城塞の門につきしれっと列に並んで順番を待つ。ちなみに奴隷商人のドミニクの2つのマジックバックは交易都市の近くの道の端に埋めた。そろそろ俺たちの番だな。
「次、お前たち2人だけか?なんのようでこの街に来た」
「流浪の旅をしている。食料が尽きたから立ち寄った」
「なるほど。確かに旅な格好しているな。最近は魔人族が各地で暴れているから気をつけろよ?身分証は持っているか?」
「その話が本当なら一旦この街でゆっくりするよ。平民だから俺たちに身分証はないな」
「そうか、なら1人銀貨1枚だ。冒険者なら身分証の代わりとしてカードが発行される。その方が手間が少ないから旅に最適だと思うぞ」
「考えておくよ。はい、2人で銀貨2枚。よろしく」
「ああ、確かに受け取った。いい旅になる事を祈るよ」
ありがとうと返事をして俺たちは門をくぐる。
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「はい、私もそろそろ限界です。どこの宿がいいのでしょうか」
「うーん、露店があるしそこで買い物しつつ店主に聞こうか」
結構賑わっている街だな。露店では声を出して客引きしているし、値段交渉をしている人たちも見かける。
「あの串に刺さっている肉旨そうだ。あそこで何本か買っていくか」
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「そうなの?店主に聞いて食べれそうな肉であればパンに挟んで食べよう。俺以外の料理を食べられるようにしなよ」
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「少し硬い...なんのタレを使っているか知らないが結構味が濃いな。パンに挟むと丁度いいかも」
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商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。
*この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。
**週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**
異世界で家をつくります~異世界転移したサラリーマン、念動力で街をつくってスローライフ~
ヘッドホン侍
ファンタジー
◆異世界転移したサラリーマンがサンドボックスゲームのような魔法を使って、家をつくったり街をつくったりしながら、マイペースなスローライフを送っていたらいつの間にか世界を救います◆
ーーブラック企業戦士のマコトは気が付くと異世界の森にいた。しかし、使える魔法といえば念動力のような魔法だけ。戦うことにはめっぽう向いてない。なんとか森でサバイバルしているうちに第一異世界人と出会う。それもちょうどモンスターに襲われているときに、女の子に助けられて。普通逆じゃないのー!と凹むマコトであったが、彼は知らない。守るにはめっぽう強い能力であったことを。
※「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。
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