どーも、反逆のオッサンです

わか

文字の大きさ
58 / 145
シーワーズ帝国復讐編

第58話 どーも、エピローグです

しおりを挟む
前書き

前回のあらすじ

主人公 神龍に身体を預け帝王を倒す


本文


どーも、帝王を神龍にお願いして倒してもらったオッサンです。
戦争?内戦?を仕掛けて3日しか経っていないのに、もう終戦してしまった。結果から見れば大勝利と言える。これだけのことをしてしまったにも関わらず、俺に後悔の気持ちはない。きっとこの先も変わらないだろう。俺はただ普通の生活を望んでいるだけ。

「ケン様、ここが帝王の私室です。帝王本人のみ入ることが出来る部屋で、詳細なことは分かっておりません」

「ありがとう、姫さま」

玉座の間から移動して、姫さまの案内の元、帝王の私室の前に到着する。

「トラップが設置されているかもしれない。ユリさん、龍眼化で探知出来る?」

魔力系トラップなら微弱な魔力が流れているので龍眼化の能力で確認してもらう。

「ケンさん、扉には魔力系トラップはありません。さすがに部屋の内部は分かりません」

「あの帝王のことだ、必ず罠が仕掛けられているはずだし、もし帝王本人が死んだ場合のことも想定していると思う。うーん...皆んなはどう思う?」

「ケンさんが望まれるなら扉を破壊して探索しますよ?」

「私たちも、ケン様の意見を尊重致します」

えー、俺が判断するのかよ。あの帝王こと爺ちゃんの研究や私蔵している物に興味はあるけどさー、こんなに厳重そうな扉を見ると入るのがためらわれるんだよね。壊滅した国の生き残りの住民が押し寄せる可能性があるから、さっさと逃げるのが1番良いんだろうけど。

「この部屋自体、地下の隠し部屋同等の頑丈性であれば、破壊するのに時間がかかる。扉を開ける鍵は、神龍の炎によって溶けてしまった。ダメじゃん!」

「仕方ありませんよ、ここは諦めて一旦地下の隠し部屋に行きましょう?」

勿体ない...という気持ちはあるが、仕方ないな。切り替えて次に進もう。隠密スキルを発動させ、俺たちは孤児院の近くまで行くが、そこには数十人の兵や住民がいる。

「あっ、忘れてた。商人にこの場所を密告したんだった。この様子じゃ、戦闘になること間違いない。ユリさん、姫さまたちにあの場所教えても良い?」

「今はケンさんの奴隷なので構いませんよ」

「はぁー、奴隷については後で解除するんだけど。まぁ良いや、ポイントAの隠し部屋に行こう」

孤児院の廃墟というより瓦礫の山を取り囲んでいる兵や住民たちは何もない地下室に姫さまたちがいると思っているのだろうか。もしもそうだったら間抜けだな。

「ここは、倉庫ですか?」

「倉庫の中に隠し部屋に繋がる道があるんだ。姫さまたちに教えなかったのは察してくれ」

「はい、力不足なのは痛いほど分かっております」

「今はもう立派な戦士だと思うよ。とりあえず地下の隠し部屋に入るね」

俺たちは隠し部屋に入り、各々寛ぐ。姫さまたちが押収した後宮の家具をマジックバックから取り出し設置する。中々豪華な家具だなー、ソファーとか革張りで出来ていてオシャレ。

「ケンさん、説明忘れていませんよね?」

「あー、そのまま聞かないでくれた方が楽だったのに!」

「ダメです!しっかり説明してください。私含めて全員聞きたいことが山ほどあるんですから!」

「分かった、分かった。何から話せばいい?」

「タダノ・ヒトシのことからお願いします」

テーブルと椅子を配置し、コップに紅茶を注ぐアルテさん。良い香りだ、こんな茶葉あったけ?

「ケン様、この茶葉は後宮で使用されていたものです。いかがですか?」

「アルテさん、これ美味しいね。淹れてくれてありがとう。さて、全員席に着いてくれ」

俺の指示があるまで座らない姫たちに命令をだす。こういうのめんどくさいな。全員が着席したのを見て説明を始める。

「えーと、タダノ・ヒトシについてだったね。ユリさんには話したけど姫さまたちには言ってないよね?アイツ、俺の爺ちゃんだ。断定は出来ないけど、おそらく間違いないと思う。ここから先の話は、奴隷とか関係なく俺が知っていることを全て話すから何でも聞いてくれ。あと、言葉遣いも気にしなくていい」

「分かりました。早速ですが私から質問よろしいですか?ケン様のお爺さまという考えに至った経緯を教えて下さい」

「姫さま。まず、俺のフルネームを教えておこう。俺の名は、タダノ・ケン。別の世界から転移したことは話したよね?タダノ・ヒトシも俺と同じ世界から転移してきた者だ。証拠は、この日記だな。この文字は日本語という言語で書かれている。それと、前の世界での爺ちゃんは行方不明になっている。もちろん、同姓同名。ここまで出揃えば察しは着く。転移した年月にかなりのズレはあるが、何かの影響でこちらの世界の1000年前に転移したんだ」

ユリさんを除き、姫さまたちは驚愕の顔を浮かべている。少し間をあけ、アルテさんとハルさんから質問される。

「ケン殿、その日記に書かれているのは真実ではないと帝王が言っていました。それを信用しても大丈夫なのですか?」

「嘘ではないとも帝王が言っていたはず、何を信じればいいんだ僕たちは...」

ハルさんの言葉に同意だけど、全てを疑っていてはこの話がここで終わってしまう。

「アルテさんとハルさんの質問は、俺も同じことを思っている。正直、これを書いた人物が初代帝王であるタダノ・ヒトシという事実しか確認が取れていない」

「では、その日記は何なんですか?」

「ユリさん、この日記はあくまでもタダノ・ヒトシが転移者に解読させ自分の元まで来させる切符のようなものだと考えればいいよ。日記の内容の一部は本当かもしれないけど、それを証明できるものがない」

「うーん、難しい話で私には分からない!」

「私も分からん」

「私もだ」

モイラちゃん、ライアさん、カーラさんが手を上げ考えることを放棄した。

「まだ話の前半なんだけど…」

「貴女たち!少しは頭を使いなさい!」

姫さまに叱られる3人。でも、いつもこんな感じなんだろう。3人とも叱られることに慣れているのか、反省の色が見えない。

「いいよ、姫さま。俺の説明が下手なだけだから。モイラちゃんたち、簡単に説明するとこの日記を読んだ転移者は帝王の元に行くように仕向けられていたんだよ。それを利用して帝王ことタダノ・ヒトシはその転移者に乗り移ってこの世界を支配しようと企んでいた。以上」

「おおー、私にも分かる説明ありがとう!」

重要な部分を省いて、モイラちゃんたちが見たものを繋ぎ合わせただけの結論を説明した。

「どーも。姫さまたちも真相はどうあれ復讐は出来たんだしこれで納得してくれ。ユリさんには後で説明するから」

「分かりました。それでケンさん、姫たちを解放されるのですか?」

「もちろん解放する。えーと、鍵は?」

ユリさんから鍵をもらい、奴隷の鎖を解除する。あと、後宮で押収したマジックバックから数100枚白金貨を抜き取り手元に置き、残り全てを姫さまにマジックバックごと渡す。逃走ルートと商人から貰った鍵について話す。

「てな訳で、君たちは晴れて自由だ!」

「本当によろしいのでしょうか?」

「姫さまたちは、散々苦労したんだろ?もう身売りなんてする必要はない。余生を好きに過ごせばいいさ」

「ケン様たちは、どちらに行くのですか?」

「さあ?適当に旅して何処かの国でまったり過ごすと思うよ」

「うっ、うう。本当にありがとうございました!」

「泣かないで姫。貴女たちが必死になって掴み取った自由よ。こういう時は笑いなさい」

ユリさんから姫さまに言葉と共に腕輪を渡される。使い方を説明し終わり、姫さまたちとの最後のご飯を食べる。彼女たちは、お腹が膨れ、戦闘の疲れで寝てしまった。起こさないように、俺とユリさんは隠し部屋を後にする。



後書き

次回 エピローグ2
しおりを挟む
感想 31

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……

タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。

処理中です...