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第一章 聖剣に転生?
裏切られた真実
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「な、なんだと!」
声を上げたのはグレゴリオだった。俺は恐る恐る目を開けた。するとそこには思いもしない光景が広がっていた。ヘルハウンドは空中に制止したまま、死んでいるのか動かなかった。そしてその体中には苔が繁殖しているのだ。
「え、えっと……ノイエ……これ、どうなってんだ?」
「う、うむ。ワシも目を閉じていてわからんのじゃが……」
「あれだよあれ!」
リルルがナマケモノを指さしている。
「リ、リルル? ナマケモノが……どうしたんだ?」
「うーん。なんかねえ~オオカミさんが勢いよく飛び込んできたんだけど、領域? ハルハルの領域に入った途端、動きが超スローモーになったんだよ~。でね、ナマケモノさんがめんどくさそうに爪でオオカミさんを突いたら、オオカミさんの体中に、あっという間にあの緑色の苔がムシムシていった感じかな?」
「ハ、ハルハル?」
「そそ、ハルトだからハルハルって呼んでいい? いいよね?」
「あ、ああ。それは……いいけど……てか、よく状況が分からんなあ」
「なるほど」
ノイエが頷いた。どうやら今の説明で分かったらしい。
「ノ、ノイエ。解説を……」
「うむ。つまりはこの領域の支配者である聖獣ナマケモノ氏によって、敵の動きもまたスローモーション化されるようじゃ」
「な、なるほど。そこまでは……なんとなく理解できるけど……苔は? なんなんだ?」
「うむ。ナマケモノは、そのあまりの動きの遅さに、体に苔が生えるという」
「え? 嘘! マジで?」
「ああ。そしてそれを自分で食べるのじゃ」
「うわ~究極だな。究極のニートだなあ」
「うむ。オマエの理想というわけじゃな」
「いやいやいや~俺は二日に一度は風呂に入るしぃ~」
「汚いのぅ」
「い、いや……そ、そんなことより! それがどうしてヘルハウンドを覆い尽くしているんだよ!」
「うむ。そこは、まあ推測なのじゃが……おそらく苔もナマケモノ氏の体にとりついている間は動きが抑え込まれ遅くなっている。しかし、一度それが外に放たれると、それまで蓄えられていた速度が一気に解放され敵の、ヘルハウンドの体を覆い尽くしたのじゃろう」
「うわぁあああ~怖え~なんか怖え~ナマケモノ怖え~」
「うむ。モフモフ最強じゃな。が……抱きつくわけにもいかんということか……」
「な、なに残念がってんだよ。そこじゃねーだろ。で?で?で? じゃ、じゃあやっぱ俺最強なのか?」
「い、いやあ……それはどうじゃろう。ナマケモノ氏の能力はあくまで防御。こちらから攻撃できなければ、勝てんじゃろう」
「あ、ああ~確かに」
「まあ、しかし時間は稼げるな。時間さえ稼げれば勝機はある」
ノイエにはなにか考えがあるようだった。瞳に明かりがさしたように見えた。しかしそれが曇るのも早かった。
――ズシャッ
同時に状況を理解したらしいグレゴリオは剣を下げ、魔法陣をついた。するとヘルハウンドは霧のように消え、魔法陣に吸い込まれていった。
「なるほど……弱者は弱者らしく、防御に特化しているといういわけか……」
「面倒くさいことになったようだな」
「りょ、領主、なぜ来た」
そこに領主が現れた。アルベルトの父、ゲルロ・ダーシュウィンだ。領主ゲルロは2名の神官を連れてグレゴリオの前に立っていた。
「グレゴリオ……マスターと呼べと言っておるだろう?」
「ち、マスターさんよ。今バトル中なんだがなあ」
「ワタシもなあ~すぐにカタが付くだろうとひかえておったんだがな。長引きそうじゃないか。聖剣協会が動き出したという噂がはいっておるから、早々にカタをつけねばならんのだ」
「ち」
「あ~そこの娘は……確か、オルシュタイン家の娘だったな?」
「あ、ハイ! 領主サマ!」
リルルはその場に傅いた。
「リ、リルル。ダメだろ、簡単に認めたら!」
「それで~そこの聖剣士は……どこの者か知らんが、魔法陣を解くがよい!」
「と、解くかよ! そ、そこのグレゴリオのほうから攻撃してきたんだからな!」
「ふむ。聖剣というのもさまざまということかの。この領主の命令を聞けんとは。おい! 小僧を連れてこい!」
「はっ」
領主ゲルロが従者に指示すると、背後からロイが連れてこられた。手足を縛られ、殴られたのか、顔は腫れあがってる。
「ロ、ロイくん!」
「待て! リルル」
駆け出そうとしたリルルを止めたのはノイエだった。
「ふむ。そうじゃそうじゃ。ロイという名前だったかなあ~。ガキの命が惜しくば……と言えばわかるかな? 聖剣士よ」
「ち、チキショー!」
俺は聖剣を大地から引き抜き鞘に収めた。すると魔法陣が吸い込まれ、聖獣ナマケモノも吸い込まれるように消えていった。
「よろしい。真正の愚か者でなくて助かった。では沙汰をくだす! オーベルシュタイン家は取り潰しとする。ロイは奴隷に、そこの娘、リルルは遊郭送りとする!」
「いや……は? な、何をいってるんだよ!」
「おお~忘れておった。そこのボロ布を着た魔女は火あぶりとする。そして……聖剣士よ。そなたは聖剣と貴族との盟約を破った罪により、溶かして別の剣とする、以上!」
「フ、フザケルナ! 黙って言うことを聞くとでも思ってんのかよ!」
俺は叫んでいた。賛同するとばかり思いノイエを見たが、ノイエは首を振っていた。
「逆らえん。ロイ、そして両親が人質に取られていてはな……」
「そんなぁ~」
そんな姿を見ては、俺も諦めるしかなかった。
声を上げたのはグレゴリオだった。俺は恐る恐る目を開けた。するとそこには思いもしない光景が広がっていた。ヘルハウンドは空中に制止したまま、死んでいるのか動かなかった。そしてその体中には苔が繁殖しているのだ。
「え、えっと……ノイエ……これ、どうなってんだ?」
「う、うむ。ワシも目を閉じていてわからんのじゃが……」
「あれだよあれ!」
リルルがナマケモノを指さしている。
「リ、リルル? ナマケモノが……どうしたんだ?」
「うーん。なんかねえ~オオカミさんが勢いよく飛び込んできたんだけど、領域? ハルハルの領域に入った途端、動きが超スローモーになったんだよ~。でね、ナマケモノさんがめんどくさそうに爪でオオカミさんを突いたら、オオカミさんの体中に、あっという間にあの緑色の苔がムシムシていった感じかな?」
「ハ、ハルハル?」
「そそ、ハルトだからハルハルって呼んでいい? いいよね?」
「あ、ああ。それは……いいけど……てか、よく状況が分からんなあ」
「なるほど」
ノイエが頷いた。どうやら今の説明で分かったらしい。
「ノ、ノイエ。解説を……」
「うむ。つまりはこの領域の支配者である聖獣ナマケモノ氏によって、敵の動きもまたスローモーション化されるようじゃ」
「な、なるほど。そこまでは……なんとなく理解できるけど……苔は? なんなんだ?」
「うむ。ナマケモノは、そのあまりの動きの遅さに、体に苔が生えるという」
「え? 嘘! マジで?」
「ああ。そしてそれを自分で食べるのじゃ」
「うわ~究極だな。究極のニートだなあ」
「うむ。オマエの理想というわけじゃな」
「いやいやいや~俺は二日に一度は風呂に入るしぃ~」
「汚いのぅ」
「い、いや……そ、そんなことより! それがどうしてヘルハウンドを覆い尽くしているんだよ!」
「うむ。そこは、まあ推測なのじゃが……おそらく苔もナマケモノ氏の体にとりついている間は動きが抑え込まれ遅くなっている。しかし、一度それが外に放たれると、それまで蓄えられていた速度が一気に解放され敵の、ヘルハウンドの体を覆い尽くしたのじゃろう」
「うわぁあああ~怖え~なんか怖え~ナマケモノ怖え~」
「うむ。モフモフ最強じゃな。が……抱きつくわけにもいかんということか……」
「な、なに残念がってんだよ。そこじゃねーだろ。で?で?で? じゃ、じゃあやっぱ俺最強なのか?」
「い、いやあ……それはどうじゃろう。ナマケモノ氏の能力はあくまで防御。こちらから攻撃できなければ、勝てんじゃろう」
「あ、ああ~確かに」
「まあ、しかし時間は稼げるな。時間さえ稼げれば勝機はある」
ノイエにはなにか考えがあるようだった。瞳に明かりがさしたように見えた。しかしそれが曇るのも早かった。
――ズシャッ
同時に状況を理解したらしいグレゴリオは剣を下げ、魔法陣をついた。するとヘルハウンドは霧のように消え、魔法陣に吸い込まれていった。
「なるほど……弱者は弱者らしく、防御に特化しているといういわけか……」
「面倒くさいことになったようだな」
「りょ、領主、なぜ来た」
そこに領主が現れた。アルベルトの父、ゲルロ・ダーシュウィンだ。領主ゲルロは2名の神官を連れてグレゴリオの前に立っていた。
「グレゴリオ……マスターと呼べと言っておるだろう?」
「ち、マスターさんよ。今バトル中なんだがなあ」
「ワタシもなあ~すぐにカタが付くだろうとひかえておったんだがな。長引きそうじゃないか。聖剣協会が動き出したという噂がはいっておるから、早々にカタをつけねばならんのだ」
「ち」
「あ~そこの娘は……確か、オルシュタイン家の娘だったな?」
「あ、ハイ! 領主サマ!」
リルルはその場に傅いた。
「リ、リルル。ダメだろ、簡単に認めたら!」
「それで~そこの聖剣士は……どこの者か知らんが、魔法陣を解くがよい!」
「と、解くかよ! そ、そこのグレゴリオのほうから攻撃してきたんだからな!」
「ふむ。聖剣というのもさまざまということかの。この領主の命令を聞けんとは。おい! 小僧を連れてこい!」
「はっ」
領主ゲルロが従者に指示すると、背後からロイが連れてこられた。手足を縛られ、殴られたのか、顔は腫れあがってる。
「ロ、ロイくん!」
「待て! リルル」
駆け出そうとしたリルルを止めたのはノイエだった。
「ふむ。そうじゃそうじゃ。ロイという名前だったかなあ~。ガキの命が惜しくば……と言えばわかるかな? 聖剣士よ」
「ち、チキショー!」
俺は聖剣を大地から引き抜き鞘に収めた。すると魔法陣が吸い込まれ、聖獣ナマケモノも吸い込まれるように消えていった。
「よろしい。真正の愚か者でなくて助かった。では沙汰をくだす! オーベルシュタイン家は取り潰しとする。ロイは奴隷に、そこの娘、リルルは遊郭送りとする!」
「いや……は? な、何をいってるんだよ!」
「おお~忘れておった。そこのボロ布を着た魔女は火あぶりとする。そして……聖剣士よ。そなたは聖剣と貴族との盟約を破った罪により、溶かして別の剣とする、以上!」
「フ、フザケルナ! 黙って言うことを聞くとでも思ってんのかよ!」
俺は叫んでいた。賛同するとばかり思いノイエを見たが、ノイエは首を振っていた。
「逆らえん。ロイ、そして両親が人質に取られていてはな……」
「そんなぁ~」
そんな姿を見ては、俺も諦めるしかなかった。
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