【完結】侍女と氷の貴公子

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カルミンツは、取り乱したまま、それでも、言葉を継いだ。
「娼婦など、あなたには1番なれない存在だ。おそらくあなたは聖女なのだから」
アリセンティアも聖女様のことは知っていた。たいてい高貴な生まれで、8歳くらいで認定される。教会で大事に育てられ、いずれは国の重要人物になるのだ。
「おかしなことをおっしゃるのはもうやめて、朝食をお召し上がりください」
アリセンティアが聖女であるわけがない。
もし聖女なら、母は亡くなってなかったかもしれないではないか。
悲しみがアリセンティアを包んだ。

カルミンツはいったん引き下がり、
アリセンティアが持ってきた朝食を食べ始めた。食欲があるのもずいぶん久しぶりだった。
出されたものを一気に食べると、侍女は果物やヨーグルトをカルミンツに差し出した。
それもあっという間に食べてしまった。
体も軽い。
もしかして、と氷の魔法を試してみた。
すると、コップの中に氷ができた。
小さな四角い氷だ。集中力がなくてはできない魔法だった。
「あなたのおかげで、魔法酔いは治った。聖女殿」

「いい加減なことを言わないでください。私が聖女様なら今頃ここにはいません」
「あなたの能力は見つかりにくいんです。浄化の聖女。それがあなたの力です。魔法での呪いや病気を払い除ける力です」
カルミンツが急に丁寧に話し出したから、アリセンティアは焦った。
浄化の聖女。
魔法に関する浄化しかできない。
普通の病気には使えない。
発見されるのが遅くなる力だった。
それが自分?アリセンティアには想像もつかなかった。


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