【完結】あいしていると伝えたくて

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「はい。そこでターン」
トルドは顔を赤くしながらも、シファラを上手にリードする。座学は苦手なシファラもダンスは得意だ。トルドに導かれてきれいにくるっと回った。
「いいですよ。おふたりとも、きれいです」
ダンスの先生は優しい。だからよけいに、
シファラはダンスが好きだ。
トルドの顔から赤みは消えないものの、笑顔だから大丈夫だろう、とシファラは思った。

「ちがいますよ。発音はこうです」
「アーミィナスハ」
「ちがいます」
シファラは外国語が1番苦手だ。自国の言葉すらあやしい。
なのに、5カ国語も勉強しているのだ。
できるなら、ずっとダンスだけしたい。
おじぎのマナーの時間でもいい。シファラは体を動かすことは得意だが、じっと座って学ぶのは苦手だ。

「シファ、休憩時間だから、アップルパイを食べないか?」
トルドは、シファラの好きな物をよく知っていて、いつも優しい。
シファラはトルドが大好きだ。
トルドに聞いたことはないけれど、トルドもシファラが好きだと思う。
そうでなければ、こんなにシファラの好きなことに詳しくなったりしないだろう。

ダンスも一緒に練習している。ただ、来年から、トルドは学園に通うので、一緒にいる時間は短くなるらしい。シファラは今からさみしくてしかたない。
「学園から帰ってきたら、お茶しよう」
トルドは優しい笑顔で言う。
シファラは少し不安なのだ。
新しい友達ができたら、シファラのことを忘れてしまうのではないかと。

「学園に行っても、シーと遊んでくれる?」
「当たり前だろ。シファは俺の1番だもん」
シファラは心がほっこりした。誰かに今のトルドの言葉を言って回りたい。
少なくともマディアには話したい。
大事なシファラの家族。
シファラはずっとここにいたいのだ。
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