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第十一王女の外交官生活3

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休憩を長めにして、それぞれの大使に別々に話を聞きました。トリティア皇国のホートレス大使は特に問題はないとおっしゃいます。
「サファサファ国の大使も優秀で素晴らしい。私側には問題はない。貿易についてもお互いのためになることばかり。こちら側から圧力をかけたりはしていないよ。」

たしかにホートレス大使の言うように、会談はうまくいっているように思えました。しかし、サファサファ国側からはちがうのかもしれません。
サファサファ国のラベル大使に話を聞きに行きました。

「申し訳ない。何か不満があるわけではないのです。あなたのアシストは素晴らしいし、ホートレス大使も聞いていたより柔軟に判断される方です。会談で必要な大部分が終わったら、ちょっと気が抜けてしまいました。気負っていたのです。相手はあのトリティア皇国皇帝の懐刀、ホートレス大使。ですが、この後、ちゃんと続きはできますよ。」
ホートレス大使はだいぶいろんな方に恐れられているのだなと思いつつ、会談が続けられることに、ほっとしました。

30分ほど休憩を入れ、会談は無事終了。両者にとって有益な話し合いができたようで、何よりです。

「今日はおつかれさまでした。無事会談の終了おめでとうございます。」
ホートレス大使に声をかけると、くるりと振り向き、にっこり笑いかけられましたわ。私も笑顔を返しました。
「お名前を聞いてもよいかな?」
その言葉に、その場にいた外交官や文官が緊張したのがわかりました。
よくわからないまま、お返事しました。
「ルティアと申します」
名前しかないので、平民だとすぐわかるでしょう。ホートレス大使の反応を待ちました。

「ルティア嬢、これから通訳が必要なときはあなたを指名したい。かまわないだろうか?」
ホートレス大使の言葉にさっきとはちがう緊張がその場にいた人たちに走っているようでした。
私はにっこりと、
「いつでもご指名ください」 
とお返事しました。
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