【完結】あたしはあたしです

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あたしじゃいけないの?

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パン粥から、もっと固いものを食べられるようになるまで、2週間かかった。その間、毎日、同じ服を着た3人が私を洗い、なんだか変な匂いのものを塗りたくった。毎回髪まで洗い、髪にも別の匂いの何かを塗る。別に嫌な匂いじゃないけど、慣れない。
「これ、塗らないとダメ?」
3人は困った顔をした。そう、3人はあたし専属のじじょってやつらしい。ピカピカおじさんじゃなくてお父さんが命令して、あたしのじじょになったのだ。どこへ行くにも誰か1人は必ずついてくる。
とてもきれいで、優しい。あたしよりもずっと「しゅくじょ」に見えた。

体調が整うと、お父さんは「今度家庭教師が来るからね、いろいろ教わりなさい」と言ったよ。
「かていきょうしがあたしをしゅくじょにするんだって」
全然意味がわからないよ。でも、1日3食におやつ、誰とも取り合わない、この生活は捨てたくない。
チョコレートケーキだって1人分食べられるようになったんだよ。
だから、がんばろう!そう思ってたんだけど、最初に来た「かていきょうし」はあたしと10分しゃべってから、いなくなってしまった。
「いや、手違いがあってね。先生は明日から来るから」
そんなことを3回繰り返して、4人目の先生がやって来た。

4人目の先生はとても背が低くくて、かわいい顔をしていた。
「ミスルン子爵が三女、アルタと申しますわ。仲良くしてくださいね」
6歳の私と比べるとアルタ先生の方が背が高いけど、あたしの「じじょ」たちよりはだいぶ低い。
「まずは一緒におやつをいただきましょう」
「はい!あたしね、クルミのパウンドケーキを先生と一緒に食べようって、用意してもらったんだよ」
今までの先生はこのあたりでもう、何も言わずにいなくなってた。アルタ先生は、ニコニコしていた。
「あらあらまあまあ、フェリシア様はお優しいのですね」

先生といつものようにおやつを食べていたら、アルタ先生はニコニコしながら、私の口元をハンカチで拭った。
「マナーというのは自分のためだけではなく、一緒に食べている人への気遣いでもあるんです」
先生の言っていることがまったくわからない。あたし、何かしちゃった?助けを求めて「じじょ」たちを見るけど、3人とも顔色がよくない。病気かもしれないから、お医者さんを呼ばなきゃと思ったところで、
アルタ先生がまた、よくわからないことを言い始めた。
「フェリシア様、フェリシア様がお口の周りにたくさんお菓子をつけていると、私はパウンドケーキをいただくより、フェリシア様のことが気になります。つまり、私はせっかくのおやつを楽しめません」
え?そうなの?それはダメじゃん。
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