【完結】あたしはあたしです

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さて、ついにあたしのデビューです

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その日は天気が良くて、まるであたしを応援してくれてるみたいに、気持ちのいい朝が来た。
「フェリシア様、準備いたしますよ」
マリとソナリとフィリがあたしの身支度を始める。まだ7歳になったばかりのあたしは、化粧をしたりしないから、大きな令嬢みたいに時間がかかるわけではないそうよ。
でも、今日はあたしの誕生日パーティーで、あたしが主役。ドレスや靴や装飾品にはお父様の気合いが入っている。
誘拐されて道端で見つかった令嬢だということはみんなが知ってるんだって。アルタ先生が言ってた。
「フェリシア様を珍しい生き物みたいに見物に来る方もいらっしゃいます。今まで身につけたすべてが、お嬢様の武器になります」
アルタ先生は、結構作戦を考えるのが好きらしい。
「皆様を驚かせましょう」

公爵邸は広いので、あたしのお祝いをしてくれる人たちが全員入る大広間がある。そこにサービスする使用人たちが配置され、
パーティーの準備は整った。
ある程度お客様が揃ったところで、お父様のエスコートで、あたしは大広間に入った。
「タラス・ミルナルド公爵、フェリシア・ミルナルド令嬢の入場です」
全員の目があたしに向かってる。優雅な微笑みを浮かべながら、姿勢を意識して歩く。お父様のエスコートを受け、淑女らしく。

ざわざわざわと会場がざわめいている。
「聞いていたのとちがうな」
「綺麗なお嬢様ですわ」
「さすが公爵」
聞こえるような大声ではないのに、あたしの耳にもちゃんと伝わる。
入場は成功したみたいだ。アルタ先生とハイタッチしたい。あれ、令嬢らしくないか。
急ごしらえで、ダンスも練習してある。あたしは何でもうっすら器用にこなせるタイプらしく、今披露しても恥はかかない。アルタ先生の合格点はもらえていないが。
「お父様、踊らなくてよろしいの?」
「まあ無理はしないでいい。アルタ先生からの許可はあるが、今日が初めてのパーティーだし、まだ7歳なんだから」

「それより、フェリシア。ドレスがよく似合っている。リーナシスに見せてやりたかった」
お父様は少ししんみりしてしまう。お母様が大好きだったのだろう。
あたしもいつかそんな風に思える人に会えるだろうか?あたしはあたしのままで。



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