【完結】冷たい手の熱

ここ

文字の大きさ
3 / 12

3.

しおりを挟む
「生まれた!私たちの可愛い赤ちゃん。
まぁ、女の子よ。あなたの希望通りね」
淡いブロンドに青い瞳が印象的な美しい女性が、生まれたばかりの赤子を抱いて、夫に見せている。
「ミランダ。無事でよかった。どっちでも私たちの大事な子だが、初めての女の子。ミランダ、ありがとう」
泣き始めそうな表情をした夫であり伯爵であるアラン・シルファドは妻を労った。


「なんて名前にしましょうか?あなたはいくつか考えていたわよね」
「ミランダ。まずは体を休めてほしい。出産で亡くなる方はとても多いのだから」
「アランは心配症ね。今度で5回目の
出産なのよ。だいたいの体調はわかるわ。少し休めば大丈夫。それに早く赤ちゃんに名前をつけてあげたいの」
優しい笑顔に身惚れながら、アランは考えていた名前を並べてみる。
「アレキサンドリア、ミルコリア、ユキノ、サマンサって、悩んでるんだ。どうかな?」
「ユキノがいいわ。呼びやすいし珍しいもの。あっ」
ミランダが叫ぶ先には、不思議な光景が広がった。赤子の全身が光った。そして、ゆっくりと光が集まり出し、小さなウサギの姿に変わった。赤ちゃんのそばにくっつくと安心したような顔をして、また姿を消した。


「幻獣だ」
「初めて見たわ」 
「驚いた。本当にいるんだな」
夫婦はしばし顔を見合わせた。
だが、笑顔になると、
「神様の祝福を受けたユキノ、おめでとう!」
この国では、特別に神に愛された子には誕生時に、幻獣が共に産まれててくる。生涯離れずに神に愛された子を守るという。
すでに言い伝えになっていて、身近に見たことのある人はほとんどいない。
夫婦も初めて見る光景に驚いた。
だが、眠る新しい命を愛し守ることに何の迷いもない。
 
こうして、雪乃はユキノ・シルファドとして生まれ変わった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢は鏡映しの夢を見る

重田いの
ファンタジー
とあるファンタジー小説の悪役令嬢の身体の中に入った日本人の社畜の魂である「私」。 とうの悪役令嬢は断罪イベントの衝撃で死んでしまったあと。 このままいけば修道院に押し込められ、暗殺されてしまう! 助けてくれる男はいないので魔物と手を組んでどうにかします!! ほぼ一人で奴らをみなごろすタイプの悪役令嬢です。

転生小説家の華麗なる円満離婚計画

鈴木かなえ
ファンタジー
キルステン伯爵家の令嬢として生を受けたクラリッサには、日本人だった前世の記憶がある。 両親と弟には疎まれているクラリッサだが、異母妹マリアンネとその兄エルヴィンと三人で仲良く育ち、前世の記憶を利用して小説家として密かに活躍していた。 ある時、夜会に連れ出されたクラリッサは、弟にハメられて見知らぬ男に襲われそうになる。 その男を返り討ちにして、逃げ出そうとしたところで美貌の貴公子ヘンリックと出会った。 逞しく想像力豊かなクラリッサと、その家族三人の物語です。

乙女ゲームの悪役令嬢、ですか

碧井 汐桜香
ファンタジー
王子様って、本当に平民のヒロインに惚れるのだろうか?

ざまぁされるための努力とかしたくない

こうやさい
ファンタジー
 ある日あたしは自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生している事に気付いた。  けどなんか環境違いすぎるんだけど?  例のごとく深く考えないで下さい。ゲーム転生系で前世の記憶が戻った理由自体が強制力とかってあんまなくね? って思いつきから書いただけなので。けど知らないだけであるんだろうな。  作中で「身近な物で代用できますよってその身近がすでにないじゃん的な~」とありますが『俺の知識チートが始まらない』の方が書いたのは後です。これから連想して書きました。  ただいま諸事情で出すべきか否か微妙なので棚上げしてたのとか自サイトの方に上げるべきかどうか悩んでたのとか大昔のとかを放出中です。見直しもあまり出来ないのでいつも以上に誤字脱字等も多いです。ご了承下さい。  恐らく後で消す私信。電話機は通販なのでまだ来てないけどAndroidのBlackBerry買いました、中古の。  中古でもノーパソ買えるだけの値段するやんと思っただろうけど、ノーパソの場合は妥協しての機種だけど、BlackBerryは使ってみたかった機種なので(後で「こんなの使えない」とぶん投げる可能性はあるにしろ)。それに電話機は壊れなくても後二年も経たないうちに強制的に買い換え決まってたので、最低限の覚悟はしてたわけで……もうちょっと壊れるのが遅かったらそれに手をつけてた可能性はあるけど。それにタブレットの調子も最近悪いのでガラケー買ってそっちも別に買い換える可能性を考えると、妥協ノーパソより有意義かなと。妥協して惰性で使い続けるの苦痛だからね。  ……ちなみにパソの調子ですが……なんか無意識に「もう嫌だ」とエンドレスでつぶやいてたらしいくらいの速度です。これだって10動くっていわれてるの買ってハードディスクとか取り替えてもらったりしたんだけどなぁ。

望まない相手と一緒にいたくありませんので

毬禾
恋愛
どのような理由を付けられようとも私の心は変わらない。 一緒にいようが私の気持ちを変えることはできない。 私が一緒にいたいのはあなたではないのだから。

聖女は聞いてしまった

夕景あき
ファンタジー
「道具に心は不要だ」 父である国王に、そう言われて育った聖女。 彼女の周囲には、彼女を心を持つ人間として扱う人は、ほとんどいなくなっていた。 聖女自身も、自分の心の動きを無視して、聖女という治癒道具になりきり何も考えず、言われた事をただやり、ただ生きているだけの日々を過ごしていた。 そんな日々が10年過ぎた後、勇者と賢者と魔法使いと共に聖女は魔王討伐の旅に出ることになる。 旅の中で心をとり戻し、勇者に恋をする聖女。 しかし、勇者の本音を聞いてしまった聖女は絶望するのだった·····。 ネガティブ思考系聖女の恋愛ストーリー! ※ハッピーエンドなので、安心してお読みください!

雨の少女

朝山みどり
ファンタジー
アンナ・レイナードは、雨を操るレイナード家の一人娘。母キャサリンは代々その力を継ぐ「特命伯爵」であり、豊穣を司る王家と並び国を支える家柄だ。外交官の父ブライトは家を留守にしがちだが、手紙や贈り物を欠かさず、アンナは両親と穏やかな日々を送っていた。ある日、母は「明日から雨を降らせる」と言い、アンナと一緒に街へ買い物に出かける。温かな手を引かれて歩くひととき、本と飴を選ぶ楽しさ、それはアンナにとってかけがえのない記憶だった。 やがて雨が降り始め、国は潤ったが、異常気象の兆しが見え始める。キャサリンは雨を止めようと努力するが、うまくいかず、王家やサニダ家に助けを求めても返事はない。やがて体を壊し、キャサリンはアンナに虹色のペンダントを託して息を引き取った。アンナは悲しみを胸に、自らの力で雨を止め、空に虹をかけた。 葬儀の後、父はすぐ王宮へ戻り、アンナの生活は一変する。ある日、継母ミラベルとその娘マリアンが屋敷に現れ、「この家を任された」と告げる。手紙には父の字でそう記されていた。以来、アンナの大切な物や部屋までも奪われ、小屋で一人暮らすことになる。父からの手紙はミラベルとマリアンにのみ届き、アンナ宛てには一通も来ない。ペンダントを握って耐える日々が続いた。 「なろう」にも投稿しております。

悪役女王アウラの休日 ~処刑した女王が名君だったかもなんて、もう遅い~

オレンジ方解石
ファンタジー
 恋人に裏切られ、嘘の噂を立てられ、契約も打ち切られた二十七歳の派遣社員、雨井桜子。  世界に絶望した彼女は、むかし読んだ少女漫画『聖なる乙女の祈りの伝説』の悪役女王アウラと魂が入れ替わる。  アウラは二年後に処刑されるキャラ。  桜子は処刑を回避して、今度こそ幸せになろうと奮闘するが、その時は迫りーーーー

処理中です...