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第八話
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2人の婚約は貴族社会のビッグニュースとして、世間を騒がせた。あの冷たい女嫌いのノエルと多情なミーナ。ミーナの話し方も話題になり、あまりの身分差にすぐに婚約はだめになるだろうとも言われた。
「ミーナお姉様」
玉の輿に乗りたい令嬢たちが、ミーナを盛り立て近寄ってくるようになった。
「ノエル、ミーナはなんだか怖いですぅ」
「大丈夫だ。俺がいる」
とはいっても、ノエルは軍略以外の頭脳戦にはあまり向いてないのよね、とミーナは思いながら、ノエルの腕にしっかりつかまった。
ラント兄様は誰とも全然似ていなかったな、とミーナは思い浮かべた。口にはできない。その名前を今の王国で出したら、きっと処刑騒ぎになる。
「ミーナ、もう行こう。今日はウェディングドレスの仮縫いだろう」
「そのあと、お姉様とお茶会ですぅ」
「あぁ、殿下もいらっしゃる」
「ミーナ、緊張しますぅ」
そうだ、ついにここまで来た。王太子まで。先は長いが、ノエルのおかげでただの男爵令嬢が王太子殿下とお茶ができる。まずは仲良くならなければ。
「お花がきれいですぅ」
「姉上の庭は姉上らしい華やかさだから」
ノエルにエスコートされながら、ミーナはお茶会に向かう。王太子がやってくる特別なお茶会だ。選ばれた貴族しか参加できない。ミーナは決めている。王太子の人柄を見極める。今後の作戦の重要ポイントだ。
「王国の夜明け・ミアルタージュ王太子殿下にガラナ公爵家が長男ノエルがご挨拶いたします」
まずはノエルが挨拶を始める。
「ここにはほぼ身内になる予定の者しかいない。そんな挨拶は不用だ」
ミアルタージュ殿下は、笑顔を見せた。
一緒にいたミーナも挨拶するつもりだったが、その言葉で止めた。
「君が凍りついたノエルの心を溶かした天使さん?」
「ミーナ、そんなことないですぅ」
ミーナは真っ赤になって、ノエルにしがみついた。王太子はまだ面白そうな顔のまま、ミーナを見ていた。
あれよね、珍しい動物を観察してるってとこよね、ミーナは心の中で冷静に分析した。
そして、どこから壊していくかも冷徹に考えた。
ラント兄様の無念を晴らすのだ。そのためなら、ミーナは何でもする。
「うん?あれは?」
見慣れない身なりの客に、さっきまでミーナに注目していた王太子ミアルタージュが反応した。
「ミーナのお友達ですぅ。聖カロン国の司祭になったばかりですのぉ」
あたりがざわめいた。聖カロン国は一切戦争をしない、神への信仰で成り立つ特別な国だ。
ミーナは、正確にはラント兄様の親友だと思いながら、みんなに紹介する。
「ミーナお姉様」
玉の輿に乗りたい令嬢たちが、ミーナを盛り立て近寄ってくるようになった。
「ノエル、ミーナはなんだか怖いですぅ」
「大丈夫だ。俺がいる」
とはいっても、ノエルは軍略以外の頭脳戦にはあまり向いてないのよね、とミーナは思いながら、ノエルの腕にしっかりつかまった。
ラント兄様は誰とも全然似ていなかったな、とミーナは思い浮かべた。口にはできない。その名前を今の王国で出したら、きっと処刑騒ぎになる。
「ミーナ、もう行こう。今日はウェディングドレスの仮縫いだろう」
「そのあと、お姉様とお茶会ですぅ」
「あぁ、殿下もいらっしゃる」
「ミーナ、緊張しますぅ」
そうだ、ついにここまで来た。王太子まで。先は長いが、ノエルのおかげでただの男爵令嬢が王太子殿下とお茶ができる。まずは仲良くならなければ。
「お花がきれいですぅ」
「姉上の庭は姉上らしい華やかさだから」
ノエルにエスコートされながら、ミーナはお茶会に向かう。王太子がやってくる特別なお茶会だ。選ばれた貴族しか参加できない。ミーナは決めている。王太子の人柄を見極める。今後の作戦の重要ポイントだ。
「王国の夜明け・ミアルタージュ王太子殿下にガラナ公爵家が長男ノエルがご挨拶いたします」
まずはノエルが挨拶を始める。
「ここにはほぼ身内になる予定の者しかいない。そんな挨拶は不用だ」
ミアルタージュ殿下は、笑顔を見せた。
一緒にいたミーナも挨拶するつもりだったが、その言葉で止めた。
「君が凍りついたノエルの心を溶かした天使さん?」
「ミーナ、そんなことないですぅ」
ミーナは真っ赤になって、ノエルにしがみついた。王太子はまだ面白そうな顔のまま、ミーナを見ていた。
あれよね、珍しい動物を観察してるってとこよね、ミーナは心の中で冷静に分析した。
そして、どこから壊していくかも冷徹に考えた。
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「うん?あれは?」
見慣れない身なりの客に、さっきまでミーナに注目していた王太子ミアルタージュが反応した。
「ミーナのお友達ですぅ。聖カロン国の司祭になったばかりですのぉ」
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