【完結】深く青く消えゆく

ここ

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3.ミッシェルの父は

ミッシェルの父アレスは夢を見ていた。その夢とは、愛しい妻との息子に騎士になって活躍してもらうことだった。
だが、妻はミッシェルを産むときに亡くなり、残されたミッシェルは女の子だった。アレスは最初はあきらめようと思った。妻の忘形見である娘と、細々と生きていけばよいと。
だが、成長するにつれ、ミッシェルには魔法の才能があることがわかった。
アレスはミッシェルを鍛えてみようと思った。才能がなければ、やめればいい。

「まだまだだ」
黙々と訓練に取り組むミッシェルには才能があった。非力なのはなかなか厳しいのだが、身体強化魔法でカバーすることができた。ミッシェルの魔力はかなり強い。魔力だけなら、魔法騎士長に引けをとらないほどだ。ミッシェルは魔法騎士を目指して、日々鍛錬を続けている。

アレスは家の存続、つまりはミッシェルの結婚については、何も考えていなかった。
ミッシェルが本当は女であることを隠したことは一度もない。特に騎士は男でなければならないという決まりはなかった。だから、もし今のミッシェルと結婚したい男がいても、頭から反対する気はなかった。ただ、気持ちも腕っぷしも強い男でなければ許す気はない。今のところ、ミッシェルは現状に前向きに見えた。父に鍛えられることも嫌そうには見えなかった。

いつかもっと大人になって、騎士は嫌で普通の女性として暮らしたいと言われれば、受け入れるつもりではある。
「才能がなければ、あきらめたのだが」
アレスは自分のやっていることを悪いことだとは思わない。だが、ミッシェルをちゃんとした女の子らしい女の子に育てなかったことを妻は怒っているかもしれないとは時々思った。

ミッシェルとよく一緒にいるレオのことはよく知っている。まさか、ミッシェルの性別を知らないとは思わなかった。二人はとても仲がいい。アレスにだってわかるほどに。あるいはレオが、求婚してきたならば、事態はかなり変わるだろう。ミッシェルにぴったりの相手だとアレスは思う。ただ、その場合、ミッシェルは騎士を目指すのをやめてしまうだろうか。

アレスはミッシェルの幸せを望んでいたが、それが騎士になること込みだといいと思っている。自分勝手で嫌になるが、ミッシェルを騎士にしたい。それはどうしてかわからないほどの執着があった。ミッシェルだって嫌がっていないのだから。いつか立派な騎士になって、こう言ってくれる。
「今の自分になれたのは父さんのおかげだ」
それがアレスの夢なのだ。

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