DREAM

真亭 甘

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HUNTER FUNG

前兆

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 王都レプロパンは、陸地から離れた小島に港町を築き、満ち潮の時には海に浮かび、引き潮の時には自然に現れる陸橋で陸と繋がっていた。トンボロ現象。普段は海によって隔てられている陸地と島が、干潮時に干上がった海底で繋がる現象。
という自然の橋を利用した陸地の海岸線に王都街レプロパンを築き上げた大都市だ。トンボロの橋の北側にブレナス城がある。



ブレナス城は、ゴシック様式など、さまざまな中世の建築方式が混ざり合って出来た構造になっている。高さは12階建て(灯台塔を入れると15階建て)の構造体である。
地下階は、地下牢・拷問部屋・研究室などがある。1階に玄関ホール・大広間・厨房・物置・事務室・使用人の待機部屋・軍隊の部屋などがある。2階は、図書館・医務室・食事室などがある。3階は、謁見の間・客間・会議室などがある。4階からは王族スペースとなる。が6階と8階には執事とメイドの休憩部屋がある。灯台塔は、軍の管轄になっていて、偶数階ごとに屋外デッキと渡り廊下がもうけられている。警備のため渡り廊下を経由して軍は巡回警備を行っている。


各種ライフラインは水道以外通っていないらしい。と言うより、建設当時にあったライフラインが水道なだけで、他を配備することもなかった。それに配備すると白の価値観を失うという意見もあり、配備されてない。

大広間は、玄関ホールの右横の扉から入ることができる、王・官職が食事や式典をする為の広間である。奥には王族達が座る長テーブル、その前には客などが座る長テーブルごとに座る。天井は天井板が無く梁や屋根構造が丸見えになっている。イベントなどのときは、市民を持て成すため飾りつけも変えられる。普段は長テーブルは置かれていない。
厨房は、大広間の隣りに配置されている。たくさんの料理人が日中働いている場所である。灯台塔は、ブレナス城でで最も高い位置にある塔。またこの塔からレプロパンの街全てを見渡すことができ、敵国が攻めて来た時に敵の軍隊などの配置をいち早く把握することができる。また海に近いことから灯台としても利用されていることから、灯台塔と呼ばれている。



王都レプロパンの第一外壁があり、防衛をよくするために主要交通路がある。その中の1つ北東路を永遠の行軍は進んでいる。後々進んでいくと外壁を通るための関門が設置されている。北東路の関門の名はバルボ門。バルボ門を進むとすぐさまに館がある。

バルボ門の内側、左手の「町民隊の館」。
町民隊とは、王都の城下町の治安を管理している部隊。いわゆる自衛団だ。何もかも軍隊で賄うと税金がとんでもない額に増えることから、市民が考えて設立にいたった。ほとんどが商業組合によるものだ。

また外からは見えなかったが、壁には大砲が設置されていて、少しだけ開けられた穴から大砲を撃っていると思われる。



ここから先は、町を貫く1本道が城や外広場入り口まで続いている。通りの両側にはレストラン、土産物店、宿屋が軒を連ね、人を出迎えるようになっている。奥に進むとまず見えてくるのが、有名なレストラン、ふわふわのオムレツが美味しいと言う店だ。

落とし格子も見られる門がある。中門とも呼ばれ中門の周りに城や中の建物を守るように壁がある、外壁から中門までを下町と言う。中門の上に鐘楼の付いた高い建物がある。この建物は役所やクエストなどの換金を行う組合の建物だ。

中門を超えると、教会や修道院や軍隊などの駐在所がある。また下町や中町の家の屋根は薄い石板のストレート葺になっている。また歩いていて気づいたが、壁の上端部が凸凹としていている。万が一の場合に、この隙間から矢か光弾を放つのだろうと思う。

そんな風に王都を見渡しながら歩いていると、城門に着いた。簡単に手続きが終わり、うちら永遠の行軍は我峰のおかげで城壁内の広場に誘導された。そして昨日の打ち合わせを思い出した。


昨日の宴の後、シュルスの偵察の報告を合わせて、打ち合わせを行った。メンバーは、俺らダルフ・シロン・ハルに、シュルス、ソルス、我峰と袈の7人だ。

「シュルス。報告やい」と我峰が訛りながらいった。

「わかりました。明日は大型船や我峰さんの招待状にもあったように、城の外広場兼港の大広場で模様しがあるそうです。トンボロの橋は軍の管轄にあるので、もうそこに入ると手出しは出来なようです。なのでスケジュールの流れで行くと、まず乗員メンバーは城の内部に招待され国王と挨拶。次に摂政であるスットマンとの話、その後誘導されながら橋を渡り、乗船・出港となっています。のでスットマンが我峰さんたちの前に行く前に仕留めることが前提条件になってきます」


シュルスの説明もあってか、スットマンの首の難易度が伝わってくる。そしてシュルスが話を続けた。


「偵察調査によりますと中広場の所には、城内へと続く階段があります。ので、そこから潜入してスットマンを倒すのがいいと思います。また明日のこともあり、城門を超えるとほとんどの軍隊は外広場・港・橋・外壁・関門などに配置されて人は少なくなります。がこの前みたいな親衛隊がいますので、数ではなく個の力が強いと思ってください」



「「はい」」と俺たちは返事をした。がここで1つ驚きなことが起きた。


「シュルス、おめも行くんやで」と我峰が言った。


「えっ!なんで」とシュルスは慌てて聞き返した。


「なんや、おめ。嫌かい」


「嫌ではないが」


「ならいけ。嫌なわいを倒せ」


しぶしぶとシュルスは「わかりました・・・」と言った。

これによりシュルスも同行していくことになった。



そんな事を思い出していると、目的の城の内部へと繋がる階段に近づいてきた。


「では、ありがとうございます」

とダルフ達は永遠の行軍のグループから離れ、衛兵のいない階段から侵入し、城内へと入っていった。



そんな王宮の中を歩く兵隊がいた。その男の名は、リバロ。先日のハニルの街での戦いでダルフを倒した男だ。
リバロは、左側から日差しを浴びながら廊下を突き進んでいた。そのまま突き当たりに差し掛かると木製の扉の前に来た。石を何十にも積み上げられた壁と扉の両サイドを照らすロウソクの間に、木の板が何枚も重なり上下に鉄の板でつなぎ止められていた扉だ。
リバロはその扉を手の甲で2,3回ほど、コン、コンと、ノックをした。そしてリバロは外開きの扉を塞いでいる木の板を退かし、扉をギー、ギーと軋む音を立てながらゆっくりと扉を開けた。

中は薄暗かったが、音が聞こえてきた。はぁ、はぁ、と人の息遣いのような音が、すると「んっ、あっああ」 我慢しきれずに女性の小さな声をあげるが薄暗い奥から聞こえてきた。リバロは壁にかけてあるロウソクを取り出し部屋の中を照らす。
中には、ベットの上でオッパイを採まれ突きつけられ何も抵抗できずになるがままに泣き叫びながら苦行そうな顔の女性と、その行為を楽しんでいる男性がいた。突然、女性が「ああっ、あああーっ」 切なく長く尾を引く高い声を叫びながら、脚は開かれ真っ直ぐに伸びて、腰が勝手にピクッピクッと小刻みに震えて絶頂を感じていた。



男は何もなかったかのように、女性から離れパンツ・ズボン・シャツの順に服を着て、Yシャツのボタンを下から順に締め出す頃に話しかけてきた。

「少佐、そろそろか」



リバロは右腕を胸の前に持ってき、お辞儀をした。
「はい、スットマンさま。船の出港、各国の来客者、12神獣・亥の紫郭我峰(しかくがほう)もお越しになられ、もろもの準備がととのいました。あとは挨拶回りを済まして、出港するだけです」



スットマンは報告を聞き「そうか」と答えると、上着のジャケットを羽織りフックなどを締め、木の箱の上に置かれていた。ブレスレットを両腕にはめて、禍々しいブローチを付けた。



「全く征政権もわからんな、なんであんな野蛮な遊牧民族みたいな組織のリーダーを12神獣にするんだ」



薄暗い小部屋を出て行き、その後をリバロが付いて行く、その後扉は締められ木の板で、また元通りに塞がれた。



ブレナス城の王宮の外広場は、レプロパンの港広場公園と一緒になっており、多くの船を国総出で持て成すようになる作りになっておることで、世界的に有名な都市名物である。


そんな場所もあって、征政権のコルマト島への出港や多くの外国の人が来ていることもあり外広場に、王都の住人や他の街・近隣諸国からも人がたくさん来ている。外広場の人口密度は開発計画時の予定の定員量を突破、上から見ていると物置小屋のゴミ屋敷のように足の踏み馬もない。また人々の細々とした動きが、海面に大量発生した赤潮がうねっているように見え、船酔いな気分を味わう。そんな人々を監視している衛兵の中にもやせ我慢して立っているが、顔が青ざめているのがわかる。


わー、わー、と外が叫ぶ中を何も感じずにすました顔で、スットマンは歩いているところに、伝令が伝えに来た。


「報告します。12神獣紫郭我峰さま客間へのご案内完了しました」


「わかりました。ではそちらに向かいます。王へもこのことを連絡を」


その途端、城内で軽い爆発音。大きな揺れも無く、広場の人間は誰も気づいていない。


「何事です」


駆けつけてきた兵が、伝えた。
「報告します。先日ハニルで襲撃してきた4人組が、また襲撃してきました」


「なんですって、またあの連中ですか!これも取り逃がしたせいで・・・」


スットマンは、怒りを露わにした顔を出し、強ばっていたが、深呼吸をしだして、冷静をとりもどした。その間にもリバロは姿を消して、現場へと向かった。


「リバロ少佐・・・」

「リバロ少佐は先ほど、向かわれました」

「なら早く、暗騎を出しなさい。客人や王には大事無いと伝えろ。もしこんなことがあれば、この国が終わってしまう。それよりも私のメンツがない!」と言い、スットマンは大急ぎで屋外デッキに走った。


屋外デッキにたどり着くと、スットマンが吠えた。するとデッキの中央に人影が現れた。

「ジェス、貴様にまた仕事だ。今度こそ排除してこい!貴様には後がないと思え」とジェスの胸ぐらを掴み捲くし立てた。

だがジェスには、なんの焦りもなくスットマンに言った。
「相当焦っているようだな・・・まぁいい。ボクもヤツに怨みがあるでね」

と言って姿を消して去っていった。
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