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第一章 拒絶と旅立ち
第19話 死よりも怖いもの
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【隠密】を発動したロックは、震える足を押さえつけながらディランに近づいた。
…本当に【隠密】が効くのか?
…【麻痺針】だって効くかわからない。
…あんな化け物の10mまで近づく?
…10秒間も動けなかったら絶対に死んでしまう。
…麻痺が成功しても、痺れが取れたあとは?
そんな考えが頭の中をぐるぐるとまわる。
怖くて怖くて吐きそうだ。
でも、ロックの足は止まらない。
一歩一歩、「死」に向かって近づいていく。
(なんでこんなこと、してるんだ…。)
頭が痺れてきて、考える力がなくなっていく。
(死にたくない…。でも、大事な人が死んでしまうのは…、いやだ。)
ロックがティナをここまで大事に思っているのは、下心ではない。
ヨムじいさんだとしても、同じことをするだろう。
大好きだった両親に殺されかけたロック。
ロック自身は気づいていないが、その心は修復不可能なくらいの傷を負っていた。
ロックの心が壊れないでいれたのは、ヨムじいさんが、カイルが、村の人たちが助けてくれたから。
同じように辛い思いをしながら、それでも他人を、自分に優しさをくれたティナがいたから。
ずっと支えてくれた幼馴染のミラの存在があったから。
死にそうなくらい辛い思いをし、死をはっきりと意識したからこそわかった、
人の温かさ。
人との繋がりの大切さ。
それを失うのは、自分の死よりも怖いことなのだ。
だが、ロックはそんなことは理解していない。
ただ、本能が身体を突き動かしている。
そして、気づいたらディランは、目の前。
10mの距離だが、あまりに巨大なディランは、まるで壁のようにロックの前に立ち塞がる。
(<麻痺針>。)
5秒後、大きく発達したディランの頭部へ、針が届く。
ディランは声をあげようとするも、声どころか身体も動かない。
そして、ロックの身体も動かない。
ドスッ。
ディランの右目に、矢が突き刺さった。
ティナだ。
氷のように冷え切っていたロックの心と身体に、温もりが戻る。
「ロック!!!!」
ディランの動きが止まってしまった。
ロックは、あの怪物のすぐそばまで近づいて、そして今身体が動かせずにいる。
その事実がティナの冷静さを全て奪い去った。
(逃げちゃえばよかったのに!!!
なんで…、なんで!)
一欠片の冷静さもないはずのティナ。
人生を救ってくれた、大事な大事な人が、死んでしまう。
その最悪な未来を否定するために、身体は最適な選択をする。
【全能力50%UP】
ロックが救ってくれるまで死ぬほど恨んでいた、スキル。
それが今では希望の光。
その光に可能性を求め、唱える。
しかし、あの怪物の命には到底、届かない。
命どころか皮膚にすり傷を与えることもできないだろう。
わかっていながら身体が矢を放った先は、怪物の「目」。
ディランの弱点である「目」に無意識に狙いを定め、放った。
それは急所攻撃となり、ディランに確かなダメージを与えた。
次の矢を弓につがえる。
ロックはまだ、動けないのだろうか?
1秒が10秒にも10分にも1時間にも感じる。
もはや、何秒経ったのかまるでわからない。
2本目を放つ。
外すことなんて考えない。
ただ、早く。速く。疾く。
あの怪物が動き出す前に。
倒さなきゃ。
助けなきゃ!
2本目も、ディランの目に刺さる。
まるで吸い込まれいくように。
3本目。
止まることは許さない。
動きを止めること、緩めること、最短距離を外れること。
ティナの意思が、それを許さないのだ。
ディランの目には3本の矢が刺さっている。
「グゥギャァぁああアアアアァアアア!!!!!!」
大気を、大地を揺るがすと思えるほどの、ディランの叫び。
まるで、それが現実かのように、ティナの足元が揺れる。
いや、ティナの足が震えているのだ。
ディランへの恐怖。
それよりも、脳裏をよぎったのは、ロック。
…なぜ、ディランが叫んでいる?
…麻痺がとけたということは、20秒たった?
…そんなに?
…ロックは動けるようになったの?
「お願い。逃げて…。」
無意識に口からこぼれたティナ。
4本目の矢を、ディランの目に放つ。
しかし、麻痺の解けたディランにとって、避けるのは造作もないこと。
もともと視力のないディランにとっては、目が潰されても何も問題ない。
それでも、ティナは矢を放つ。
それしかできないから。
その行為は、当然ディランの怒りの矛先となる。
ちっぽけな非力な生き物が、我に手傷を?
許さない。
ディランがティナに向かって走り出す。
それでもティナは攻撃をやめない。
死んでもいいから、ロックを助ける。
4本目以降の矢は、微々たるダメージすら与えていない。
だがそれすら、ティナにとって、ロックを助けるための最適解。
ディランはもう、目の前。
これで、ロックが逃げる時間を作れた。
例えほんの少しだけでも。
ディランはいくつもの生命を噛み砕いた口を開く。
そして、まるで息を吸うように自然な動作で、ティナを噛み砕こうと頭を下げる。
「ロック、ありがとう…。」
…本当に【隠密】が効くのか?
…【麻痺針】だって効くかわからない。
…あんな化け物の10mまで近づく?
…10秒間も動けなかったら絶対に死んでしまう。
…麻痺が成功しても、痺れが取れたあとは?
そんな考えが頭の中をぐるぐるとまわる。
怖くて怖くて吐きそうだ。
でも、ロックの足は止まらない。
一歩一歩、「死」に向かって近づいていく。
(なんでこんなこと、してるんだ…。)
頭が痺れてきて、考える力がなくなっていく。
(死にたくない…。でも、大事な人が死んでしまうのは…、いやだ。)
ロックがティナをここまで大事に思っているのは、下心ではない。
ヨムじいさんだとしても、同じことをするだろう。
大好きだった両親に殺されかけたロック。
ロック自身は気づいていないが、その心は修復不可能なくらいの傷を負っていた。
ロックの心が壊れないでいれたのは、ヨムじいさんが、カイルが、村の人たちが助けてくれたから。
同じように辛い思いをしながら、それでも他人を、自分に優しさをくれたティナがいたから。
ずっと支えてくれた幼馴染のミラの存在があったから。
死にそうなくらい辛い思いをし、死をはっきりと意識したからこそわかった、
人の温かさ。
人との繋がりの大切さ。
それを失うのは、自分の死よりも怖いことなのだ。
だが、ロックはそんなことは理解していない。
ただ、本能が身体を突き動かしている。
そして、気づいたらディランは、目の前。
10mの距離だが、あまりに巨大なディランは、まるで壁のようにロックの前に立ち塞がる。
(<麻痺針>。)
5秒後、大きく発達したディランの頭部へ、針が届く。
ディランは声をあげようとするも、声どころか身体も動かない。
そして、ロックの身体も動かない。
ドスッ。
ディランの右目に、矢が突き刺さった。
ティナだ。
氷のように冷え切っていたロックの心と身体に、温もりが戻る。
「ロック!!!!」
ディランの動きが止まってしまった。
ロックは、あの怪物のすぐそばまで近づいて、そして今身体が動かせずにいる。
その事実がティナの冷静さを全て奪い去った。
(逃げちゃえばよかったのに!!!
なんで…、なんで!)
一欠片の冷静さもないはずのティナ。
人生を救ってくれた、大事な大事な人が、死んでしまう。
その最悪な未来を否定するために、身体は最適な選択をする。
【全能力50%UP】
ロックが救ってくれるまで死ぬほど恨んでいた、スキル。
それが今では希望の光。
その光に可能性を求め、唱える。
しかし、あの怪物の命には到底、届かない。
命どころか皮膚にすり傷を与えることもできないだろう。
わかっていながら身体が矢を放った先は、怪物の「目」。
ディランの弱点である「目」に無意識に狙いを定め、放った。
それは急所攻撃となり、ディランに確かなダメージを与えた。
次の矢を弓につがえる。
ロックはまだ、動けないのだろうか?
1秒が10秒にも10分にも1時間にも感じる。
もはや、何秒経ったのかまるでわからない。
2本目を放つ。
外すことなんて考えない。
ただ、早く。速く。疾く。
あの怪物が動き出す前に。
倒さなきゃ。
助けなきゃ!
2本目も、ディランの目に刺さる。
まるで吸い込まれいくように。
3本目。
止まることは許さない。
動きを止めること、緩めること、最短距離を外れること。
ティナの意思が、それを許さないのだ。
ディランの目には3本の矢が刺さっている。
「グゥギャァぁああアアアアァアアア!!!!!!」
大気を、大地を揺るがすと思えるほどの、ディランの叫び。
まるで、それが現実かのように、ティナの足元が揺れる。
いや、ティナの足が震えているのだ。
ディランへの恐怖。
それよりも、脳裏をよぎったのは、ロック。
…なぜ、ディランが叫んでいる?
…麻痺がとけたということは、20秒たった?
…そんなに?
…ロックは動けるようになったの?
「お願い。逃げて…。」
無意識に口からこぼれたティナ。
4本目の矢を、ディランの目に放つ。
しかし、麻痺の解けたディランにとって、避けるのは造作もないこと。
もともと視力のないディランにとっては、目が潰されても何も問題ない。
それでも、ティナは矢を放つ。
それしかできないから。
その行為は、当然ディランの怒りの矛先となる。
ちっぽけな非力な生き物が、我に手傷を?
許さない。
ディランがティナに向かって走り出す。
それでもティナは攻撃をやめない。
死んでもいいから、ロックを助ける。
4本目以降の矢は、微々たるダメージすら与えていない。
だがそれすら、ティナにとって、ロックを助けるための最適解。
ディランはもう、目の前。
これで、ロックが逃げる時間を作れた。
例えほんの少しだけでも。
ディランはいくつもの生命を噛み砕いた口を開く。
そして、まるで息を吸うように自然な動作で、ティナを噛み砕こうと頭を下げる。
「ロック、ありがとう…。」
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