レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン

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第二章 美少女とはじめる、むっつりスケベの冒険

第67話 ミラの行方

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「帰って…、来たわね。」

「そうだね…。」


バルキア帝国首都に到着した。

馬車に乗っているときは、長い旅の終わりを感じ、少し浮かれていた2人。

しかし、この場所は2人にとって決して心地の良い場所ではない。

この街のどこかに自分たちを殺そうとした人間がおり、蔑む人間がいる。

それでも帰ってきた理由は、ロックにとって大事な幼馴染がいるから。


「ひとまず宿をとって、今後の動きを話し合おう。」

旅にかかったお金を差し引いても、所持金は600万ゴル以上。

いつもよりお高めの宿をとった。


各々の部屋でしばらく休み。夕食へ。

いい宿なので、食事も豪華。

「美味しそう…!」

ティナはご飯を食べる時が1番良い顔をする気がする。

食事をしながら、ミラに会う算段をつける。


「やっぱりそれでお願いしようかな。」

「前回のようなことは避けたいもんね。」

およそ1年前この街に立ち寄った際、ロックが知り合いに罵倒されるトラブルがあった。

それを避けるために、ミラの家をティナに伝え、まずはティナ1人で様子を見てこよう、とう作戦だ。

「それに、ミラの両親にもあまりよく思われてないんだよね。」

「そうなの?
 幼馴染なのに?」

「実はミラも孤児でね。
 ミラの両親も実の親じゃなくて育ての親なんだ。」

「ミラも?
 ロックにミラ、確か旅で知り合ったイーザさんの恋人もだったわよね?」

「いくらなんでも偶然が重なりすぎだよね。」

「うーん。」

「まあ、そういう事情もあってか、あまり向こうの両親は僕にいい顔をしてくれていなかったんだ。
 だから、ミラの友達、ということで様子を聞いてきてもらえるかな?」

「わかったわ。」

「よろしくね。」




翌日。


「いってくるわね。」

「いってらっしゃい。
 気をつけてね。」

ロックは宿でティナを見送った。

ティナの手にはミラの家までの道筋が書かれた手書きの地図が握られている。


(しょうがないとはいえ、女の子の幼馴染に会いに行くのを任せるって、ロックは私のことどう思ってるのかしら?)

そんなことを考えながら、ティナはミラの家へと向かった。



(ここを…、左ね。)


首都は広い。

足早に歩いたが、朝早く出発したのにもう陽が真上にのぼっている。


「…ここね。」

ティナの目前には、大きな屋敷の立派な門がそびえ立っている。


「ごめんください。」

「はい。
 どちら様でしょう?」

「わたくし、ティナ・イブレーアと申します。
 ミラさんいらっしゃいますか?」

「イブレーア家のお嬢様ですね。
 少々お待ちください。」


ミラの家ほどではないが、ティナの家も首都に拠点を構える貴族だ。

ロックもそうだが、両親との関係性から姓を名乗ることはなかった。

だが、この場合は貴族として名乗るべきだと判断したのだ。


しばらくして、男性がやってきた。

「お待たせしました。
 執事のエヴァンと申します。
 ミラ様のご友人でいらしゃいますか?」

「はい。
 しばらく会っていなかったので訪ねてきたんですけど、ミラさんはいらっしゃいますか?」

「…実は、スキル覚醒のレベル上げに行ってから、しばらく戻ってきていないのです。
 担当教官も戻ってきていないらしく…。
 高ランクの教官だったので無事だとは思うのですが…。」

「え?!
 エシアドの崖で行方がわからなくなったということでしょうか?!」

「それなら捜索が行われるはずなんですが、教官の所属する軍からは『心配ない。訓練の途中だ』という返答でして…。
 ただ、通常よりも長期間ですし、かなり無茶な訓練を課す教官だったみたいなので心配しているところです…。」

「そうですか…。
 他に何か手がかりのような情報はありませんでしょうか?」

「今はこれといって何も…。
 担当している教官の名前くらいですね。
 スレッグ大佐という方が担当です。」

「スレッグ大佐ですね…。
 ありがとうございます。」


ティナはお礼を伝え、宿へ戻ることにした。

言い知れぬ胸騒ぎを覚えながら。

到着したのはもう夕暮れ時だった。


「おかえり、ティナ!」

「ただいま…。」

「…何かあった?」

「話す前に部屋で着替えてくるわね。
 夕食の席で話すわ。」

「うん。
 …わかった。」


ただならぬ雰囲気に不安を覚えながら、ロックは先に食堂に向かった。

しばらくして、着替えたティナがやってきた。


「まずは、行ってくれてありがとう、ティナ。
 それで、何があったの?」

「ミラね、訓練に行ったっきり戻ってきてないらしいの。
 教官も一緒で、軍は訓練中だから心配ないって言ってるみたいなんだけど…。」

「訓練期間が不自然に長い、ということだね?」

「執事さんの話し方からすると、そうみたいね…。
 かなり心配していたわ。」

「なにか嫌な予感がする…。」
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