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第二章 美少女とはじめる、むっつりスケベの冒険

第75話 3人目のパーティメンバー

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将軍たちと別れた後、ロックとティナ、レイカは医務室へ向かった。


ミラはまだ目を覚ましていなかった。

「ミラ…。」

ミラの手を握り名前を呼びかけるロック。

ロックの呼びかけにミラが応じないまま、ミラ救出の1日は終わりを迎えた。



翌朝。

ロックはミラの手を握ったまま、ベッドの脇で眠っていた。

ティナは別室で眠っている。


「…う…ん…。」


かすかに聞こえたミラの声に、バッと目覚めて起きるロック。


「ミラ!?
 気が付いた?!」

「うー…ん。」

うっすらとミラの目が開く。

開いたミラの目には、ぼんやりと誰かの顔が映る。

次第にはっきりしてきたその顔の正体は、ずっと会いたかった幼馴染。


「…ロッ…ク?」

「そうだよ!
 僕だよ!
 ミラ、大丈夫!?」

「ロック?
 本当にロックなの!?」

ロックの顔をペタペタと触るミラ。

「ロック!
 ロックが生きてる!!
 夢じゃないよね!?」

「夢じゃないよ!
 生きて帰ってきたんだよ!」

「ロック…。
 …生ぎででよがっだ…!」

ロックに縋り付くように抱きつき、大粒の涙をポロポロ流すミラ。

「死んだっで聞いでで…。
 もう会えないど思っでだ…。」

ミラを抱きしめ、頭を優しく撫でるロック。

しばらくして、ミラの嗚咽もおさまってきた。

「ロック、本当に生きてたんだね。」

「うん。
 1度ミラに会いにきたんだけど、知り合いに見つかって騒ぎになっちゃってさ。
 会えなかったんだ。」

「あ~…、ロックのことバカにする嫌な奴らね。
 しょうもない奴らよね!
 
 でも、また会えて本当によかった…。」

「僕もだよ…。
 ミラ、身体は大丈夫?」

「からだ?
 っていうかわたしなんでこんなところで寝てるの?」

何かを思い出したように、突然顔が青ざめるミラ。

「うっ…。」

「大丈夫!?」

「なんか頭が…。
 教官に過酷な訓練をさせられて…、スキルを全部覚えた…。
 それから…。
 
 それから…?
 
 思い出せない。
 …でも、とっても辛かったのだけは覚えてる。
 終わりのない地獄にずっといるような…。

 もしかして、ロックが助けてくれたの?」


バタン。


そこにティナがやってきた。

「目が覚めたの!?」

「ティナ!
 うん、さっき目を覚ましたよ。

 ミラ、この人は僕のパーティメンバーのティナだよ。
 2人でミラを助けたんだ。」

「私は結局なんにもできなかったけどね…。」

「そんなことないよ!」


そんなやりとりを、ミラがジト目で見ている。

「なんだかずいぶん仲良いようね…。」

ジト目の視線がティナの顔から足まで下がり、そして胸まで上がって…、止まる。

「ふ~ん…。」

なにか不穏な空気を感じ取ったロック。

「ど、どうしたのミラ?
 まだ病み上がりだからかな?
 回復術師さんに一応見てもらおう。」

そう言って部屋を出て行った。

「ティナ、さん?
 私のこと助けてくれたそうね。
 ありがとう。」

「いえ。
 私は本当に何もできなかったから。」

「…ところで、ロックとはどこまで進んでるの?」

「え?
 なにが?」

「しらっばくれないでよ!
 男女2人で旅してたんでしょ?
 いかがわしいことしてたんじゃないの!?
 そんなでっかいおっぱいして!」

「してないわよ。
 手も繋いでないわ。」

(手は…握ったことはあったかしら。)

「本当に…?」

「本当よ。
 ロックって、女の人に興味津々の割に、奥手でなにもできないのよね。
 そういうところもいいところだけど。」

「そうね!
 あいつはむっつりスケベよ!
 ていうかなんであなたロックと旅してるのよ!?」

ティナはロックにあったこと、自分にあったこと、そして出会ったこと。

そして、それからの旅のことをミラに話した。


「う…、うぇ~ん!」

また泣き出すミラ。

「ど、どうしたの?」

「なんでロックもあなたもそんな酷い目にあわなきゃいけないの!?
 かわいそう!」

泣きじゃくるミラをあやすように話すティナ。

「ミラ、あなたも大変だったのよ。
 体調はなんともない?」

ティナはミラに起こったことも話した。

「わたし、そんなことになってたんだ…。
 助けてくれて…、ありがとね。
 失礼なこと言って、ごめんなさい…。」

「いいのよ。
 ロックにとって大事な人は、私にとっても大切だから。」

「な、なんかそれは引っかかる言い方…。
 あなたがいい人なのはわかったけど、ロックは渡さないんだからね!」

「それはなんとも言えないわ。
 ロックはとても大切な人だもの。」

「き~!
 そんなこと言って!
 そんなS級おっぱいで誘惑されたら、わたし勝てないじゃない!!」

「そんなことないわよ。
 ロック、ずっとミラの話してたわよ。
 唯一自分を支えてくれた、大切な人だって。」

「た、大切だなんて…。
 照れちゃう…。

 でも、あいつ肝心なところで鈍感だったりするのよね!
 むっつりだけど!」

「確かに、むっつりよね。」

「わかる!?
 反応見てると面白いよね~!」

「ずっと見てても飽きないわ。」

「たしかに~!」


扉の外ではむっつり呼ばわりにショックを受け、とてもじゃないが入れなくなったロックが立っていた。

話がひと段落した時に、回復術師さんと何食わぬ顔で部屋に戻ったのであった。


「でも、ミラがなんともなくてよかったよ。」

「少し頭がぼーっとするけどね!
 でも大丈夫!
 2人ともありがとう!」

「どういたしまして。」

「それでそれで?
 これからどうするの?」

「まだ決めてないな。」

「どこ行こうか!?」

「ミラ、君も来るの?」

「当たり前じゃない!!
 わたしはロックとパーティ組むって決まってるの!」

「そ、そうだったんだ。」

「何よ?
 わたしがいると都合悪いわけ?
 ティナのおっぱいに悪いことしようとしてない!?」

「な、なに言ってんだよ!!
 そんなこと考えたこともないよ!」

「いやいや。
 あのおっぱい見て何も思わないわけないじゃない。
 わたしが男だったら、もう…。」

「もういいから!
 ミラがパーティメンバーになること、僕はもちろん異論ないよ!
 ティナはどう?」

「私もないわよ。
 楽しくなりそうね。
 よろしく、ミラ。」

「よろしく~、ティナ!!」


こうして、3人目のパーティメンバーが加わった。




~第二章 完~
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