レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン

文字の大きさ
83 / 283
第三章 魔王の真実

第81話 スキル集め④

しおりを挟む
「しまった…!
 スキルになかったから油断していた…!」

「毒になってたなんて…。
 少しずつだけどHPが減ってる…!」

ティナは虹蛇の攻撃によって毒状態となっていた。

「まずい…。
 この減り方じゃあと1時間も持たない…。」

「どうしよう…。」

この世界には飲んだだけでHPが回復したり、状態異常が治ったりするアイテムはない。

いや、あるかもしれないが、一般には流通していない。

薬草なども、あくまで傷薬に使うものであって、HPが即座に回復するものではないのだ。


「…ミラ、近くにモンスターがいる方角を教えて?」

「どうするの!?」

「回復魔法が使えるモンスターからスキルを奪ってくるしかない。」

「え?!
 ロックだって怪我してるし、そんなにうまくスキル持ってる敵に会えるの!?」

「やるしかない。」


回復術師がいない状態で今までやってこれたのは運が良かったからだ。

遅かれ早かれこのような状態になっていたことだろう。


「わかった。
 …。
 あっちの方に2体いる。
 それから、その近く、あっちの方にもう1体。」

ミラは気配を探り、ロックに伝える。

「ありがとう。
 行ってくる。」

「無茶しないでね。」

「戦ってる暇はないからね。
 なんとか撒いてくるよ。」


ロックは【隠密】を発動し、ミラの差し示した方角へ急ぐ。



遭遇したのはキングリザード。

持っているのは、剣と杖。


(杖!
 頼む…!

 <スキルスナッチ>!)



『どのスキルを奪いますか?』

『【中級攻撃魔法】スキル
 【魔力10%UP】スキル
 【毒の分泌】スキル』


(くそっ!!
 【中級攻撃魔法】!)


『【中級攻撃魔法】スキルを奪いました。』


回復魔法ではなかった。

そしてキングリザードに気づかれる。


(もう1匹が持ってるかもしれない…!

 <スキルスナッチ>!)


剣持ちがロックに向かってくる。

それに構わず、スキルを発動する。



『どのスキルを奪いますか?』

『【剣豪】スキル
 【器用さ30%UP】スキル
 【力10%UP】スキル』


「ダメか!!
 【剣豪】!」


剣持ちの剣がロックに襲いかかる。

防御するが、集中しきれず攻撃をもらう。


『【剣豪】スキルを奪いました。どのスキルと入れ替えますか?』


「【中級攻撃魔法】!」


『【中級攻撃魔法】スキルは完全に消滅しますが、よろしいですか?』


「ああ!」


『【中級攻撃魔法】スキルと【剣豪】スキルを入れ替えました。』


杖持ちは攻撃手段を奪われ、狼狽えている。

剣持ちもスキルがなくなったことで動揺している。


ダメージをもらい痛む身体を無理矢理動かし、敵が動きを止めている隙にロックはその場を離脱した。


再び【隠密】を発動し、もう1匹がいるという方向に向かう。

「頼む…!
 回復魔法持っていてくれ…!」


しばらく進むと、モンスターを発見。

しかし、ロックの願いとは裏腹に、グランガチという二足歩行のワニのようなモンスターだった。

(どうみても接近戦タイプ…。
 しかし、こいつが持っていなければ、ティナが…!)

どちらにしろロックに選択肢はない。


(<スキルスナッチ>…!)

祈るような気持ちでスキルを発動するロック。



『どのスキルを奪いますか?』


(頼む!!)



『【武闘家】スキル…




(回復を持っていてくれ!!!)







 【中級回復魔法】スキル』


(よし!!!!
 【中級回復魔法】!!」


『【中級回復魔法】スキルを奪いました。どのスキルと入れ替えますか?』


(【剣豪】!)


『【剣豪】スキルは完全に消滅しますが、よろしいですか?』


(いいよ!)


『【剣豪】スキルと【中級回復魔法】スキルを入れ替えました。』


(よし!!
 よし!よし!!!)


思い切りガッツポーズをとるロック。

【隠密】が解けていたため、グランガチの思いっきりその姿を見られる。


ロックは知る由もないが、グランガチとは、元はワニの姿をした精霊の一種。

精霊に関するモンスターはほぼ魔法を持っている。

さらに、高ランク帯で単独でいるモンスターはなんらかの回復手段を持っていることが多い。

実は圧倒的に分の悪い博打、というわけでもなかったのだ。


念願の回復魔法を手に入れたロックはティナの元へ帰ろうとする。

…が、グランガチは[武技]の範囲攻撃で牽制してきた。

ステータス差で振り切れるだろうが、倒した方が早いとロックは判断。

リスクを顧みず、早期決着を重視して突っ込む。


倒すことはできたが、結局HPが4分の1ほどまで減ってしまった。


だがロックは痛みを無視してティナの元へ走った。

時間に余裕はない。


しかし、結構な距離を移動したため、正確な場所がわからなくなってしまった。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!! 「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。

ヒツキノドカ
ファンタジー
 誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。  そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。  しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。  身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。  そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。  姿は美しい白髪の少女に。  伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。  最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。 ーーーーーー ーーー 閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります! ※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

悪役貴族に転生したから破滅しないように努力するけど上手くいかない!~努力が足りない?なら足りるまで努力する~

蜂谷
ファンタジー
社畜の俺は気が付いたら知らない男の子になっていた。 情報をまとめるとどうやら子供の頃に見たアニメ、ロイヤルヒーローの序盤で出てきた悪役、レオス・ヴィダールの幼少期に転生してしまったようだ。 アニメ自体は子供の頃だったのでよく覚えていないが、なぜかこいつのことはよく覚えている。 物語の序盤で悪魔を召喚させ、学園をめちゃくちゃにする。 それを主人公たちが倒し、レオスは学園を追放される。 その後領地で幽閉に近い謹慎を受けていたのだが、悪魔教に目を付けられ攫われる。 そしてその体を魔改造されて終盤のボスとして主人公に立ちふさがる。 それもヒロインの聖魔法によって倒され、彼の人生の幕は閉じる。 これが、悪役転生ってことか。 特に描写はなかったけど、こいつも怠惰で堕落した生活を送っていたに違いない。 あの肥満体だ、運動もろくにしていないだろう。 これは努力すれば眠れる才能が開花し、死亡フラグを回避できるのでは? そう考えた俺は執事のカモールに頼み込み訓練を開始する。 偏った考えで領地を無駄に統治してる親を説得し、健全で善人な人生を歩もう。 一つ一つ努力していけば、きっと開かれる未来は輝いているに違いない。 そう思っていたんだけど、俺、弱くない? 希少属性である闇魔法に目覚めたのはよかったけど、攻撃力に乏しい。 剣術もそこそこ程度、全然達人のようにうまくならない。 おまけに俺はなにもしてないのに悪魔が召喚がされている!? 俺の前途多難な転生人生が始まったのだった。 ※カクヨム、なろうでも掲載しています。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

処理中です...