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第三章 魔王の真実

第97話 作戦会議

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「お?
 お前はゴルドじゃねえか。」

「久しぶりだべな。
 こいづらは、ちょっど前におらが面倒見でたんだが、特別なやづらなんだ。
 会っだ時がら格上のモンスターを倒しでて、最近はS級モンスターや無限ガエルを倒したんだべ。」

「なに!?
 B級冒険者がS級を!?」

「どうせ嘘だろ。」

ギルド内はまだざわついている。

「しがも、今回の出兵はバルキア帝国皇帝、直々の要請だべ。
 信じらんねえなら、バルキアのギルドに問い合わせでみな。」


ギルマスはしばらく考え込んで、口を開いた。

「ゴルドの言うことなら信憑性があるが、さすがにここにいるみんなは納得いかないだろう。
 問い合わせて確認してくるから、ちょっと待っててくれ。」

そういうと、中に引っ込んでいった。

冒険者たちの多くはロックを罵るような言葉を吐いている。

ミラが怒って言い返そうとするのを、ロックがなだめる。

そして、ギルマスの帰りをじっと待っていた。


「待たせたな。」

ギルマスが戻ってきた。

場が一瞬沈黙し、その沈黙をギルマスが破った。


「さっきこいつらが言ってたことは…、



 事実だ。」


「「なに!?」」

「「まじか!!」」


先ほどとは一転、驚きの声がギルド内を覆う。


「疑ってしまってすまなかった。
 お前、名前は?」

「ロックです。」

「よし、ロックのパーティとA級冒険者がいるパーティのリーダー、それから防御に特化したスキルを持ってるパーティのリーダーで作戦会議をしよう。
 他のみんなはまた集合をかけたらすぐ集まってくれ!
 よろしく頼む!」




会議室。

「…以上だ。
 他に何かあるか?」

「1つお聞きしていいですか?」

ロックが手を挙げる。

「なんだ?」

「1つの国に平均1人のS級冒険者がいると聞いたんですが、ダートにはいないんですか?」

「いることはいるんだがな…。
 ちょうど数日前アルカトルに出発したばかりだったんだ。
 あいつがいてくれたらな…。」

「何か連絡手段はないんでしょうか?」

「一応連絡はしているのだが、間に合う可能性は低いだろうな。」

「そうですか…。」

「他には…、ないな?
 街には1匹も入れさせんぞ!
 いいな!?」

「「「おう!!」」」



翌朝、B級以上の冒険者がギルドに集結した。

C級冒険者はそれぞれ割り当てられた場所へ配置されている。

「よく集まってくれた!
 これから作戦を伝える!」

ダートのギルマスが昨日話し合われた作戦を伝えた。

昨日とはうってかわり、B級ながらS級モンスターを倒したロックたちに期待する雰囲気。

「気をつけて欲しいのは、地中を移動してくるA級モンスターだ!
 対象が見えてねえと、ロックのユニークスキルは使えねえらしい!
 繰り返しになるが、作戦通り【気配察知】を持ってる奴らは地中も警戒を頼む!」

砂漠のモンスター生息域では、地中を移動するモンスターがいるらしい。

Aランクエリアからは【気配察知】スキルを持っていないパーティにとっては恐怖のエリアなのだ。

「飛龍の目撃があったのが昨日の昼。
 今日にでも攻めてくる可能性がある。
 みんな、各々のポジションに陣取ってくれ!」

配置は基本的にパーティ単位だが、特殊魔法や回復魔法が使える冒険者をバランスよく振り分けてある。

また、【気配察知】が使える冒険者は前衛で警戒をする。

地中を進んでくるモンスターの警戒はもちろん、A級モンスターの居場所を味方に伝えるのも重要な役割だ。

B級冒険者がメインで戦い、A級モンスターがきたらA級冒険者が相手をする作戦となる。

ただ、こちらのAランクの方が少ないので、A級モンスター VS B級冒険者となってしまう場面が必ず出てくる。

ロックが優先して弱体化させるのはB級冒険者と戦うA級モンスターだ。


迎え撃つための準備もされている。

モンスターがやってくる方向はダートの近くにあるモンスター生息域、アプテロザル砂漠がある方だ。

その方向は、岩に挟まれた一本道になっている。

自然にできた地形ではなく、スキルによって人為的に作られた道だそうだ。

【驚天動地】という★3のスキルらしい。

地形を変形させることができるスキルなのだが、急激に大きな地形変化はできないので、複数人で時間をかけて作ったのだとか。

元々は砂地がただ広がっていただけで、防衛が難しくなってしまうため話し合って対処したそうだ。

とはいっても、空を飛ぶモンスターや、地中を移動して襲ってくるモンスターがおり、他の方向から来る可能性もあるため、C級冒険者はアプテロザル砂漠の方角を中心にかなり広範囲に配置されている。



カン!カン!カン!カン…



そして、その時がやってきた。
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