レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン

文字の大きさ
121 / 283
第三章 魔王の真実

第119話 アルカトル防衛戦⑤

しおりを挟む
「しまった…!」

【魔獣化】は変身時のみにMPを消費し、基本的には時間制限もない。

しかし、あまりに長時間使用していたり、使用者の体力消耗が激しい時は解除されることがある。

大量のモンスターとの戦い、そして【バーサーカー】状態のアッサールとの戦いで急激に消耗し、想定よりもかなり早く魔獣化が解けてしまった。

グリゴリーのパーティメンバーの中にはロックからスキルを与えてもらった冒険者がおり、【光輝の壁】や【上級特殊魔法】によって戦力が底上げされているため、まだ大丈夫だと考えていたのだ。

【魔獣化】が強制的に解除されてしまった場合、再度スキルを発動するまでしばらく時間がかかる。


【魔獣化】が解けてもステータスに影響はない。

問題は、【状態異常無効】スキルがなくなること。

【乗り移り】は状態異常ではないのだが、【状態異常無効】で回避できることがわかっている。

グリゴリーもアッサールと同様に、パワータイプである。

魔力は鵺に及ばない。


「ぐっ!」


そして恐れていた事態が。

グリゴリーも【乗り移り】により、モンスターにその体を乗っ取られてしまった。


「グリゴリーさん!」

残されたA級冒険者たちは周りをモンスター、そして2人のS級冒険者に狙われた状態となった。

A級冒険者にも【乗り移り】を使うことは可能だが、モンスター側も意図して強い相手を対象にしている。

「グリゴリーのパーティメンバーを守って」という指令を受けたロックの分裂体がいたこともありなんとか持ち堪えていた。

そして、【光輝の壁】でダメージが半減していることもかなり大きい。


それでも。

【全能力50%UP】を発動しているグリゴリー、特に【バーサーカー】状態のアッサールの攻撃はあまりに強力すぎる。

アッサールの攻撃は【光輝の壁】を使用していても、A級冒険者が1~2発でやられてしまう。


バフがかけられず、スキルも使えないロックの分裂体も、いかにステータスが高いとはいえ、まともに戦えなかった。

S級冒険者2人にあっという間に倒されてしまった。


いよいよ、A級冒険者3人はあとが無くなった。

周りからモンスターが、目の前から乗り移られたS級冒険者が迫る。

「[ダークネス]!
 [スタン]!
 [チャーム]!」

【上級特殊魔法】を使える冒険者マーチが状態異常魔法を連発する。

周りのモンスターの一部が暗闇状態となり、統率が乱れる。

しかし、肝心のS級2人には成功しない。

グリゴリーが槍を振りかざし迫ってくる。


ガキッッ!!


前衛を務めるA級冒険者オーバンが剣で受け止めるが、吹き飛ばされ、後衛の2人が支える。

【光輝の壁】と[ハイシールド]でダメージは受けていない。


「ぐわぁっ!!」

その直後、追撃してきたアッサールの攻撃でシールドはいとも簡単に破壊され、さらにオーバンは甚大なダメージを受けた。

「[ハイヒール]!」

回復役の冒険者ティアミーがすぐに回復魔法を唱える。

「[ハイシールド]!」

マーチがシールドをかけ直す。

この間も他のモンスターから攻撃を受けており、3人全員へシールドをかけ直した。

「このままじゃ、MPが持たない!
 [チャーム]!」

残り少ないMPでアッサールに魅了の魔法をかける。


「うっ…。」

運よくアッサールを魅了状態にすることができた。

魅了状態になると、術者に恋に落ちた状態となり周りがどうでもよくなる。

恋に落ちた相手マーチがグリゴリーやモンスターに襲われている状況に遭遇した事になるアッサールは、怒り狂って暴れ出した。

近くにいたグリゴリーは突然襲ってきたアッサールの攻撃を槍で防ぐが、衝撃を殺しきれずモンスターの群れの中に吹き飛んだ。

アッサールの周りにいたモンスターたちは、振り回される斧の餌食となっていた。


「今のうちに!」

本陣の方に避難を始める3人。

アッサールが暴れてくれているおかげで、グリゴリーも3人を追えない。

B級モンスターだけならなんとかかき分けて進んでいける。


B級モンスターだけなら。


「ぐっ…!
 マンティコア…!」

3人の目の前に、ライオンの躰にコウモリの羽根が生え、尻尾はサソリの合成獣、マンティコアが立ち塞がった。

それも、3体。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!! 「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様

コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」  ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。  幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。  早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると―― 「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」  やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。  一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、 「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」  悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。  なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?  でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。  というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!

さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。

ヒツキノドカ
ファンタジー
 誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。  そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。  しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。  身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。  そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。  姿は美しい白髪の少女に。  伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。  最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。 ーーーーーー ーーー 閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります! ※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!

無能と呼ばれてパーティーを追放!最強に成り上がり人生最高!

本条蒼依
ファンタジー
 主人公クロスは、マスターで聞いた事のない職業だが、Eランクという最低ランクの職業を得た。 そして、差別を受けた田舎を飛び出し、冒険者ギルドに所属しポーターとして生活をしていたが、 同じパーティーメンバーからも疎まれている状況で話は始まる。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

処理中です...