レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン

文字の大きさ
142 / 283
第三章 魔王の真実

第140話 フラグ回収

しおりを挟む
「この勝負、もらったね!」

思わずリッチェルがそう言ってしまうほど、地上での戦いは優勢に進んだ。


一方、上空では…。


フォースドラゴンに乗るティナと、グリフォンに乗る魔族の弓矢の攻撃による応酬が繰り広げられていた。

グリフォンは地上への【光輝の壁】を使う余裕がない。

魔族側からの矢はロックの分裂体が防ぎ、フォースドラゴンであるファルクは当たっても【再生】スキルにより回復していた。

だがティナの攻撃も、S級モンスターであるヒッポグリフの【上級回復魔法】で回復されていた。

さらに、ヒッポグリフは鋭い爪でフォースドラゴンに張り付くように攻撃してきた。

【吸魔】のスキルを持っているため、ファルクのMPが吸い取られていく。

【龍化】の変身時にはMPを消費しないが、飛行にはMPが必要なファルクは空中でフラフラと不安定になってしまう。

分裂体がヒッポグリフに攻撃をするが、【深淵の闇】スキルにより吸収されてしまう。

足場が安定しなくなり、ティナの矢の命中度も下がってしまった。


「ちょっとファルク!
 しっかり飛びな!」

イーザが檄を飛ばす。

「グゥオオオ!!」

ファルクは力任せにヒッポグリフを引き離した。


ズドンッ…!


その瞬間、ヒッポグリフから【深淵の闇】による闇球が飛んでくる。

ファルクは翼でガードし、ティナとイーザを守る。

「ファルク大丈夫かい!?」

「これは厳しいわね…。」




冒険者優勢の地上戦は、いよいよマンティコアの影分身が尽きようとしていた。

「もらった!」

リッチェルが闇球をマンティコア本体へ放った、その時。


「キャァッ!」

ドガンッ!!


ロック本体の周りに配置した分裂体とミラが突然弾き飛ばされた。

陣形が崩れた瞬間、落雷の魔法が動けないロックを襲った。


「うあっ!!」


ロックは直撃を受け、デルベルトへの【乗り移り】が解除されてしまった。


「ふう…。
 危なかった…。
 まさか乗り移られるとはな…。」

デルベルトが自分の周りの分裂体を一掃する。

かと思ったらロックたちに攻撃をしたS級モンスター、麒麟がデルベルトの側へ移動していた。

「いつの間に!?
 攻撃の瞬間も近づいたのに気づかなかった…!」

そのスピードはロックはおろか、デルベルト以上だった。


「どうにか分離させたかったのだが、勝手に別れてくれて助かったよ。」

デルベルトはそう言うと、麒麟に跨り上空へ飛んでいった。


「ま、待て!」

上空に行かれてはロックに追いかける術はない。

そう思ったが、今ロックの隣には【スキルコピー】を持つリッチェルがいた。

「ファルク、ちょっとスキル借りるよ!
 <龍化>!」

「リッチェルさん!
 失礼します!」

フォースドラゴンとなるリッチェルに分裂体2体と乗り込むロックとミラ。

残りの分裂体に地上の敵を任せて、デルベルトを追いかける。


しかし、上空に上っていた麒麟が、また目に負えないほどのスピードに加速した。

一瞬見失うロックとリッチェル。

その姿を捉えた時、デルベルトを乗せた麒麟はファルクの背中の上にいた。


「え!?」

突然現れた敵に完全に不意をつかれたティナとイーザ。

分裂体がデルベルトに飛びかかるが、一撃でやられてしまう。

もう1体の分裂体も麒麟のスピードに翻弄されて魔法の衝撃で怯んだ隙に、デルベルトにやられてしまった。

「チッ!」

イーザは咄嗟に後ろにいたティナを突き飛ばした。

「イーザ!?」

ティナはファルクの背中から落下する。

「イーザー!!」

ティナは自分を助けようとしたイーザの名を叫ぶ。


「さて。」

麒麟から降りたデルベルトが槍を構える。

「くっ!」

イーザも構える。

ファルクもなんとかしようともがくが、背中にいる2人へは何もできない。


落下したティナを龍化したリッチェルが背中でキャッチし、すぐさまファルクの方へ向かう。

ファルクも少しでもロックたちと早く合流させるため、飛んでくるリッチェルの方へ進路を取る。


しかし…。


「がっ…。」

デルベルトの槍に反応することもできず、…イーザが倒れた。



「「「イーザーーー!!!!」」」

ロックたちがイーザの名を叫ぶ。

「グゥゥウウオオオオオ!!!」

ファルクも…、叫ぶことしかできない…。


「リッチェルさん!
 早く!
 回復しなきゃ…!!」

ミラがリッチェルに訴える。

リッチェルも0.1秒でも早く着くように飛んでいる。


おもむろにイーザを脇に抱え、麒麟に跨るデルベルト。

「悪いな。
 命令なんだ。」

そう言って、消えてしまった。

グリフォンに乗っていた魔族やヒッポグリフもいつの間にか姿を消していた。

MPが限界を迎え、地上に降りるファルク。

それにリッチェルも続く。

地上では分裂体が魔族とマンティコアを倒したところだった。



その場に残ったのは、イーザを…、仲間を攫われたロックたちだけだった。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様

コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」  ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。  幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。  早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると―― 「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」  やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。  一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、 「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」  悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。  なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?  でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。  というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!

さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。

ヒツキノドカ
ファンタジー
 誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。  そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。  しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。  身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。  そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。  姿は美しい白髪の少女に。  伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。  最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。 ーーーーーー ーーー 閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります! ※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!! 「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

悪役貴族に転生したから破滅しないように努力するけど上手くいかない!~努力が足りない?なら足りるまで努力する~

蜂谷
ファンタジー
社畜の俺は気が付いたら知らない男の子になっていた。 情報をまとめるとどうやら子供の頃に見たアニメ、ロイヤルヒーローの序盤で出てきた悪役、レオス・ヴィダールの幼少期に転生してしまったようだ。 アニメ自体は子供の頃だったのでよく覚えていないが、なぜかこいつのことはよく覚えている。 物語の序盤で悪魔を召喚させ、学園をめちゃくちゃにする。 それを主人公たちが倒し、レオスは学園を追放される。 その後領地で幽閉に近い謹慎を受けていたのだが、悪魔教に目を付けられ攫われる。 そしてその体を魔改造されて終盤のボスとして主人公に立ちふさがる。 それもヒロインの聖魔法によって倒され、彼の人生の幕は閉じる。 これが、悪役転生ってことか。 特に描写はなかったけど、こいつも怠惰で堕落した生活を送っていたに違いない。 あの肥満体だ、運動もろくにしていないだろう。 これは努力すれば眠れる才能が開花し、死亡フラグを回避できるのでは? そう考えた俺は執事のカモールに頼み込み訓練を開始する。 偏った考えで領地を無駄に統治してる親を説得し、健全で善人な人生を歩もう。 一つ一つ努力していけば、きっと開かれる未来は輝いているに違いない。 そう思っていたんだけど、俺、弱くない? 希少属性である闇魔法に目覚めたのはよかったけど、攻撃力に乏しい。 剣術もそこそこ程度、全然達人のようにうまくならない。 おまけに俺はなにもしてないのに悪魔が召喚がされている!? 俺の前途多難な転生人生が始まったのだった。 ※カクヨム、なろうでも掲載しています。

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

処理中です...