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第四章 世界中が敵
第157話 冒険者からの包囲
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「少しでも可能性があったら助けに行くのが、ファルクじゃないのかい?」
「……!」
「辛かったら泣いてもいい。
わたしはいつでもここにいる。
でも、やれることがあるうちは…、諦めるんじゃないよ。」
「…院長…先生。」
「大事な仲間もできたんだろ?
いつもイーザと2人きりだったあんたに。」
「…ああ。」
「…やるべきことは見えたかい?」
「あいつらを守る…、魔王を倒す…、…イーザを助ける…!」
「…あんたならできるよ。
今日は、泊まっていくかい?」
「あいつらに相談してみる。
…院長先生。」
「なんだい?」
「…ありがとう。」
「なに水臭いこと言ってるんだよ。
私はあんたの親なんだから、当たり前だろ?」
「…ああ。」
ファルクは涙を拭い、迷いが吹っ切れた顔で部屋を出た。
そして、隣の部屋にいたロックたちを真っ直ぐ見据えて、言葉を発した。
「ロック、ティナ、ミラ。
俺はあの魔王をぜってえ許さねえ。
あの黒いローブの男もまとめてぶっ倒す!
そんで…、イーザとリッチェルを助ける。
俺を、お前らのパーティに入れてくれねえか?」
「2人を…、助ける…?」
ロックはファルクの言葉に衝撃を受ける。
「ああ!
魔王も倒しちゃダメだって信じられてたけど、そうじゃなかった!
魔族にされても助ける方法が、きっとあるはずだ!」
「ファルクさん…。」
「…そうだね!
きっと助ける方法あるよ!」
ティナとミラが頷く。
「そう…ですね…!
きっと助ける!
助けましょう!!
もうパーティメンバーだと思ってましたけど、改めてよろしくお願いします!」
こうしてパーティ「ラフリンクス」にファルクが正式に加わった。
「よし!
頼むな!
これからどうする!?
院長が泊まっていいって言ってるぞ?」
「本当ですか?
じゃあその前にギルドに行きましょう!
レイカさんに話をしておきたいです。」
「おお、あのレイカと知り合いなのか?」
「はい、いろいろとお世話になってます。」
「じゃあ行くか!」
院長に一旦外出する旨を伝え、ギルドに向かう一向。
「…イーザ…!」
ロックたちを送り出した後、1人部屋の中で崩れ落ちる院長の姿があった。
ファルクの前では気丈に振る舞っていたが、大事な子どもが魔族になっていたことにショックを受けないわけがなかった。
本当はファルクが戦うことも止めたかったが、それよりも生きる希望を失わせたくなかった。
イーザを魔族から元に戻せるかどうかなんてわかる術もないが、ファルクの、自分の子どもの幸せを願っての行動だった。
そんな院長の言葉で、ファルクは前を向くことができた。
そして、そんなファルクにロックたちも影響を受け、前に進む覚悟ができた。
「どうしたらいいかわからないけど、レイカさんやギルドマスターに相談して、まずは協力体制を整えないとね。」
「そうね。
今以上に力を合わせないと、奴らには対抗できないわ。」
「アルカトルからの連絡は届いてるのかな~?」
「まだだと思うぜ?
いつもならギルドの連絡より俺の移動速度の方が早い。
ただ、冒険者個人の情報なんかは俺より早いんだよな~。」
「へ~。
どうなってるんでしょうね?
ともかく、ギルドマスターとレイカさんには話をしときましょう。」
そんな話をしているうちに、ギルドへ到着した。
「なんか、いつもより冒険者多いみたい。
ギルドの周りにもいるみたいだし、S級冒険者の気配もするよ。」
「本当か、ミラ?
今いるS級っていったら誰だろうな…。」
ロックたちはギルドの扉を開けて中に入った。
(…なんだ?
このピリついた雰囲気は?)
いつもと明らかに違う雰囲気。
受付へと進んでいくと、後ろから声をかけられた。
「よう。
ファルク。」
「…お前か。
ローザ。」
「お前かはないだろ。」
「ファルクさん、あの方は?」
「バルキアのS級冒険者の1人、ローザだ。」
赤い髪に、切長の目、露出の多い女性がミラの感知したS級冒険者だったらしい。
「…そいつらか。」
「あ?
なんのことだ?」
「厄介な奴らと組んだね。」
「…どういう…」
「ォオオオオオオオ!!!」
ファルクの問いかけを遮るように、冒険者の1人の叫び声がギルド内に響き渡った。
その叫び声により、ティナとミラが体の自由を奪われる。
ファルクもほんの少しだけ動きを阻害された。
【咆哮】スキルだ。
「な?!」
ロックたちの動揺をよそに、続けて状態異常魔法やデバフが飛んでくる。
「一体なんの真似だ!?」
ファルクがローザに向けてほえる。
「それはこっちのセリフだよ。
大人しく捕まりな。」
「……!」
「辛かったら泣いてもいい。
わたしはいつでもここにいる。
でも、やれることがあるうちは…、諦めるんじゃないよ。」
「…院長…先生。」
「大事な仲間もできたんだろ?
いつもイーザと2人きりだったあんたに。」
「…ああ。」
「…やるべきことは見えたかい?」
「あいつらを守る…、魔王を倒す…、…イーザを助ける…!」
「…あんたならできるよ。
今日は、泊まっていくかい?」
「あいつらに相談してみる。
…院長先生。」
「なんだい?」
「…ありがとう。」
「なに水臭いこと言ってるんだよ。
私はあんたの親なんだから、当たり前だろ?」
「…ああ。」
ファルクは涙を拭い、迷いが吹っ切れた顔で部屋を出た。
そして、隣の部屋にいたロックたちを真っ直ぐ見据えて、言葉を発した。
「ロック、ティナ、ミラ。
俺はあの魔王をぜってえ許さねえ。
あの黒いローブの男もまとめてぶっ倒す!
そんで…、イーザとリッチェルを助ける。
俺を、お前らのパーティに入れてくれねえか?」
「2人を…、助ける…?」
ロックはファルクの言葉に衝撃を受ける。
「ああ!
魔王も倒しちゃダメだって信じられてたけど、そうじゃなかった!
魔族にされても助ける方法が、きっとあるはずだ!」
「ファルクさん…。」
「…そうだね!
きっと助ける方法あるよ!」
ティナとミラが頷く。
「そう…ですね…!
きっと助ける!
助けましょう!!
もうパーティメンバーだと思ってましたけど、改めてよろしくお願いします!」
こうしてパーティ「ラフリンクス」にファルクが正式に加わった。
「よし!
頼むな!
これからどうする!?
院長が泊まっていいって言ってるぞ?」
「本当ですか?
じゃあその前にギルドに行きましょう!
レイカさんに話をしておきたいです。」
「おお、あのレイカと知り合いなのか?」
「はい、いろいろとお世話になってます。」
「じゃあ行くか!」
院長に一旦外出する旨を伝え、ギルドに向かう一向。
「…イーザ…!」
ロックたちを送り出した後、1人部屋の中で崩れ落ちる院長の姿があった。
ファルクの前では気丈に振る舞っていたが、大事な子どもが魔族になっていたことにショックを受けないわけがなかった。
本当はファルクが戦うことも止めたかったが、それよりも生きる希望を失わせたくなかった。
イーザを魔族から元に戻せるかどうかなんてわかる術もないが、ファルクの、自分の子どもの幸せを願っての行動だった。
そんな院長の言葉で、ファルクは前を向くことができた。
そして、そんなファルクにロックたちも影響を受け、前に進む覚悟ができた。
「どうしたらいいかわからないけど、レイカさんやギルドマスターに相談して、まずは協力体制を整えないとね。」
「そうね。
今以上に力を合わせないと、奴らには対抗できないわ。」
「アルカトルからの連絡は届いてるのかな~?」
「まだだと思うぜ?
いつもならギルドの連絡より俺の移動速度の方が早い。
ただ、冒険者個人の情報なんかは俺より早いんだよな~。」
「へ~。
どうなってるんでしょうね?
ともかく、ギルドマスターとレイカさんには話をしときましょう。」
そんな話をしているうちに、ギルドへ到着した。
「なんか、いつもより冒険者多いみたい。
ギルドの周りにもいるみたいだし、S級冒険者の気配もするよ。」
「本当か、ミラ?
今いるS級っていったら誰だろうな…。」
ロックたちはギルドの扉を開けて中に入った。
(…なんだ?
このピリついた雰囲気は?)
いつもと明らかに違う雰囲気。
受付へと進んでいくと、後ろから声をかけられた。
「よう。
ファルク。」
「…お前か。
ローザ。」
「お前かはないだろ。」
「ファルクさん、あの方は?」
「バルキアのS級冒険者の1人、ローザだ。」
赤い髪に、切長の目、露出の多い女性がミラの感知したS級冒険者だったらしい。
「…そいつらか。」
「あ?
なんのことだ?」
「厄介な奴らと組んだね。」
「…どういう…」
「ォオオオオオオオ!!!」
ファルクの問いかけを遮るように、冒険者の1人の叫び声がギルド内に響き渡った。
その叫び声により、ティナとミラが体の自由を奪われる。
ファルクもほんの少しだけ動きを阻害された。
【咆哮】スキルだ。
「な?!」
ロックたちの動揺をよそに、続けて状態異常魔法やデバフが飛んでくる。
「一体なんの真似だ!?」
ファルクがローザに向けてほえる。
「それはこっちのセリフだよ。
大人しく捕まりな。」
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