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第四章 世界中が敵
第208話 終戦
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「…クラエッ…!」
背中を向けたファルクにオリハルコンゴーレムの拳が迫る。
「…グッ…?」
握りしめた拳から急激に力が失われるオリハルコンゴーレム。
「…ヤラレタカ…。」
ロックが【拳聖】のスキルを奪ったのだ。
ファルクはそれがわかっていたように、振り向きざまに槍の矛先をオリハルコンゴーレムへと向け、そのまま突き出した。
【拳聖】スキルを失ったオリハルコンゴーレムはファルクの猛攻をただ耐えることしかできなくなった。
それからまもなく、ダメージが蓄積し、動きが鈍ってきたオリハルコンゴーレムは【上級特殊魔法】を奪われることを防ぐことができなかった。
そして、バフが切れたことでロック本体の攻撃も通るようになり、なす術が無くなったオリハルコンゴーレムはついに倒れた。
ロックとファルクが2人がかりでオリハルコンゴーレムの相手をし、分裂体とティナ・ミラはS級魔族を警戒していたが、仲間であるオリハルコンゴーレムが倒れても、微動だにすることはなかった。
「…すまない…。」
そう一言だけ呟くだけだった。
一方ロックは、オリハルコンゴーレムを倒したことで、彼の持っていたユニークスキルを奪うことができた。
そのスキルは【守護神の加護】。
++++++++++++
【守護神の加護 ★★★★★】・・物理攻撃は体力の5倍まで魔法攻撃は魔力の5倍までの攻撃を無効化する。それ以上はダメージ半減。直接触れている仲間にも効果を与えられる。
++++++++++++
MPを消費することもなく、常時発動する超強力な防御型のスキルだった。
体力や魔力といったステータス値に依存する効果なので、ロックが使うのが一番効率的なのだが、どのスキルを消すか難しいところなので、ひとまずミラの【魔力チャージ】と入れ替えた。
「残るは…、あなただけです。」
ロックの言葉にも、S級魔族はじっと見つめ返すだけだった。
そんなS級魔族に、ロックは戦いながらずっと感じていた疑問をぶつけた。
「あなたは…、本当は記憶が残っていたんじゃないですか?」
「……なぜそう思う?」
「魔族にされてしまった時の魔王との戦いの内容によって記憶の残り方が違う、と聞きました。
魔王を追い詰めるような戦いをすれば、記憶がたくさん残ると。
…僕の父がそうだったんです。
あなたの強さなら、魔王を追い詰めたでしょう?
なんなら倒しててもおかしくないはずですから。」
「…そうだな…。
記憶はあるよ…。」
「ではなぜ、記憶がないと…?」
「その前に…、お主の父というのはもしかして、魔王城にいる命令を聞かないS級魔族か?」
「…そうです。」
「そうか…。
儂はやつほど記憶ははっきりしてはいなかったよ。
ただ、さっき斧でそこの2人のお嬢ちゃんを攻撃した時、思い出したんだ。
名前は…、ウルバーノ。
そして、儂が魔王様と戦う時に、…何もできなかったことをな。」
「それほどの強さを持ちながら…?」
「当時、儂のレベルはもっと低かった。
それでも確かに、倒しうる力は持っていただろうな。
【バーサーカー】を使えたなら。」
「…使えなかったんですね…。」
「ああ。
儂の能力は相手に伝わっていたようで、弱点も掴まれていた。
……仲間がいたらスキルを発動できない、というな。」
「今回のように、仲間に距離をとってもらうことはできなかったんですか?」
「正確に言うと、【バーサーカー】を使ったのだ。
しかし、儂は魔王様でなく、連れてこられていた儂の……妻に…、斧をふるってしまったのだ。」
「奥さんに…!?」
「……マークされ、能力以外も調べられていたんだろうな。
単身ボスモンスターを倒しに行ったところで…魔王様は現れた。
【バーサーカー】で全員まとめて倒そうとしたのだが……。
妻も冒険者でな、途中まで一緒にきていたんだ。
もう1人の親友とな。
親友は別れた場所で殺されていて、妻は【バーサーカー】を使った儂の前に突き飛ばされた。
そして……。
その後は【バーサーカー】を使ってもほんの少しだけ自我があることが裏目にでた。
妻を殺してしまったことで完全に戦意を失ってしまったんだ。」
「……。」
「結局抵抗らしい抵抗もできず、魔族にされてしまったよ。
あの時倒せていたかもしれないのに…、仇も討てず情けないことだ。」
「今からでも一緒に戦えませんか?
僕たちと一緒に。」
「…勘弁してくれ…。
この斧を再び握っていたというだけで…、自分を許せなくて狂いそうなんだ。」
「ウルバーノさん…。」
「代わりと言ってはなんだが、儂のスキルをもらってくれんか?
儂が倒したいとすればそれは魔王様だけだ。
しかし、魔族となった今魔王様に危害を加えることはできん。
せめて、お主たちの力になりたい。」
「……わかり…ました…。」
「できれば【斧術師】も奪って欲しい。
もう…この忌々しい斧を…、スキルもろとも消し去りたい。」
「…はい…。」
ロックは【斧術師】を奪い、そのスキルを上書きするようにユニークスキルを奪った。
背中を向けたファルクにオリハルコンゴーレムの拳が迫る。
「…グッ…?」
握りしめた拳から急激に力が失われるオリハルコンゴーレム。
「…ヤラレタカ…。」
ロックが【拳聖】のスキルを奪ったのだ。
ファルクはそれがわかっていたように、振り向きざまに槍の矛先をオリハルコンゴーレムへと向け、そのまま突き出した。
【拳聖】スキルを失ったオリハルコンゴーレムはファルクの猛攻をただ耐えることしかできなくなった。
それからまもなく、ダメージが蓄積し、動きが鈍ってきたオリハルコンゴーレムは【上級特殊魔法】を奪われることを防ぐことができなかった。
そして、バフが切れたことでロック本体の攻撃も通るようになり、なす術が無くなったオリハルコンゴーレムはついに倒れた。
ロックとファルクが2人がかりでオリハルコンゴーレムの相手をし、分裂体とティナ・ミラはS級魔族を警戒していたが、仲間であるオリハルコンゴーレムが倒れても、微動だにすることはなかった。
「…すまない…。」
そう一言だけ呟くだけだった。
一方ロックは、オリハルコンゴーレムを倒したことで、彼の持っていたユニークスキルを奪うことができた。
そのスキルは【守護神の加護】。
++++++++++++
【守護神の加護 ★★★★★】・・物理攻撃は体力の5倍まで魔法攻撃は魔力の5倍までの攻撃を無効化する。それ以上はダメージ半減。直接触れている仲間にも効果を与えられる。
++++++++++++
MPを消費することもなく、常時発動する超強力な防御型のスキルだった。
体力や魔力といったステータス値に依存する効果なので、ロックが使うのが一番効率的なのだが、どのスキルを消すか難しいところなので、ひとまずミラの【魔力チャージ】と入れ替えた。
「残るは…、あなただけです。」
ロックの言葉にも、S級魔族はじっと見つめ返すだけだった。
そんなS級魔族に、ロックは戦いながらずっと感じていた疑問をぶつけた。
「あなたは…、本当は記憶が残っていたんじゃないですか?」
「……なぜそう思う?」
「魔族にされてしまった時の魔王との戦いの内容によって記憶の残り方が違う、と聞きました。
魔王を追い詰めるような戦いをすれば、記憶がたくさん残ると。
…僕の父がそうだったんです。
あなたの強さなら、魔王を追い詰めたでしょう?
なんなら倒しててもおかしくないはずですから。」
「…そうだな…。
記憶はあるよ…。」
「ではなぜ、記憶がないと…?」
「その前に…、お主の父というのはもしかして、魔王城にいる命令を聞かないS級魔族か?」
「…そうです。」
「そうか…。
儂はやつほど記憶ははっきりしてはいなかったよ。
ただ、さっき斧でそこの2人のお嬢ちゃんを攻撃した時、思い出したんだ。
名前は…、ウルバーノ。
そして、儂が魔王様と戦う時に、…何もできなかったことをな。」
「それほどの強さを持ちながら…?」
「当時、儂のレベルはもっと低かった。
それでも確かに、倒しうる力は持っていただろうな。
【バーサーカー】を使えたなら。」
「…使えなかったんですね…。」
「ああ。
儂の能力は相手に伝わっていたようで、弱点も掴まれていた。
……仲間がいたらスキルを発動できない、というな。」
「今回のように、仲間に距離をとってもらうことはできなかったんですか?」
「正確に言うと、【バーサーカー】を使ったのだ。
しかし、儂は魔王様でなく、連れてこられていた儂の……妻に…、斧をふるってしまったのだ。」
「奥さんに…!?」
「……マークされ、能力以外も調べられていたんだろうな。
単身ボスモンスターを倒しに行ったところで…魔王様は現れた。
【バーサーカー】で全員まとめて倒そうとしたのだが……。
妻も冒険者でな、途中まで一緒にきていたんだ。
もう1人の親友とな。
親友は別れた場所で殺されていて、妻は【バーサーカー】を使った儂の前に突き飛ばされた。
そして……。
その後は【バーサーカー】を使ってもほんの少しだけ自我があることが裏目にでた。
妻を殺してしまったことで完全に戦意を失ってしまったんだ。」
「……。」
「結局抵抗らしい抵抗もできず、魔族にされてしまったよ。
あの時倒せていたかもしれないのに…、仇も討てず情けないことだ。」
「今からでも一緒に戦えませんか?
僕たちと一緒に。」
「…勘弁してくれ…。
この斧を再び握っていたというだけで…、自分を許せなくて狂いそうなんだ。」
「ウルバーノさん…。」
「代わりと言ってはなんだが、儂のスキルをもらってくれんか?
儂が倒したいとすればそれは魔王様だけだ。
しかし、魔族となった今魔王様に危害を加えることはできん。
せめて、お主たちの力になりたい。」
「……わかり…ました…。」
「できれば【斧術師】も奪って欲しい。
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「…はい…。」
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