借金まみれの【予知者】、レアアイテムを集めて返済してたら救世主になってました

玉ねぎサーモン

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第一章【予知者】覚醒

第13話 借金 5080万8305ゴル 

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ニクラスの言葉にテレージアは返事もせずに歩いて行ってしまった。


(予知夢で見るのはそんなに遠い先のことじゃなかった。
 今日か明日には現実になるんじゃないだろうか…。)

罵倒された相手だが、なんとかしたいと本気で考えるニクラス。

しかし、被害者は分かったが情報が少なすぎる。

ニクラスは情報を集めようと、ギルドへ戻った。

ギルドに残っていた冒険者たちにテレージアのことを聞くが、【よた野郎】の言葉に耳を傾けるような者はいない。


(だめだ…。
 なんとか夢からヒントを得るしかない。
 思い出せ…。)

ニクラスは夢の内容を詳しく頭に思い浮かべる。

(あの3人が怪しいけど…、夢の中には出てきていない…。)

夢の中に出てくる人物を思い浮かべるが、知っている顔は見当たらなかった。

(場所がわかれば…。)

場所を特定できる目印を探すが、テレージアの家は他の住宅と離れたポツンと一軒家。

近くには目印となるものは見当たらない。

(ちょっと離れててもいいから、何か目印は…。)

再び夢の内容を最初から思い返す。

(あ、これだ!)

テレージアの家からは少し離れているが、教会があった。

(まずは教会を探してみよう!)


ニクラスは道ゆく人に尋ねながら教会を探した。

この町には教会は1つしかないようなので、間違いなくその近くにある。

数十分歩き、教会にたどり着くことができた。

夢で見た教会と実際の教会を見比べることで、おおよその方角も絞れた。

(この調子なら、簡単に見つかりそうだな。)


…その考えは非常に甘かった。

方角が絞れたとはいえ、教会とテレージアの家の距離はかなり離れている。

そうすると、捜索範囲はかなり広範囲となる。


探し出せたのは、結局夕方だった。

「はぁ…はぁ…。
 や、やっと見つけた…。」

テレージアの家はまだ火事になっていなかった。

(でも、今日とは限らないんだよな…。
 時間的にはこのくらいだと思うけど…。)

そう思いながら、家に近づくニクラス。

よく考えてみれば、周りから孤立している女性の家に歩いて向かうのは、怪しい。

(あんまり目立たないところから見張ってた方がいいな。)

ニクラスがいい場所を探していると、誰かがテレージアの家に歩いてきた。

(あ!
 やっぱりあの人たちだ!)

予想通り、ギルドでテレージアと揉めていた3人組がやってきた。

ニヤニヤしながら何やら談笑している。

(何を話しているんだろう?)

話している内容は聞こえない。

しかし、3人が向かう先にはテレージアの家しかない。

テレージアが留守である以上、3人が向かう理由はないはずだ。

ニクラスは決定的な証拠を抑えるため、3人の動きを注視する。

3人は周りの様子を気にしつつ家の裏手に回った。

ニクラスは気付かれないよう細心の注意を払いながら近づく。


「ゲヘヘ。
 ただでさえギリギリの生活らしいからな…。」

「家がなくなればどこかのパーティに入らざるを得ないでしょう。」

「あいつの悪い噂を流してるから、他にパーティを組んでくれるやつはいねえ!
 俺らのパーティに入ったら…、可愛がってやろうぜぇ…。
 ガハハハ!」


(なんでこんな奴ばっかりなんだろう…。)

ニクラスは別の町に来てもすぐに人を陥れる冒険者に出会ってしまい、辟易する。


「さあ、早くしないと帰ってきてしまいますよ。」

「そうだな。」


(まずい!)

「やめろ!!」

いよいよ火をつけようとしていることを察し、ニクラスは3人の前に躍り出る。

「誰だ!?」

「…またお前か!」

「なんのつもりですか?」

息ぴったりに話す3人。

手には火炎瓶を持っている。


「何をしようとしてるんだ!
 やめろ!」

「なんだ?
 偉そうに。
 お前1人で止められると思ってるのか?」

「今火をつけたら、犯人はあなたたちだと僕が証言しますよ!」

「…ククク。
 ガッハッハッハ!!」

「何がおかしいんだ!?」

「【よた野郎】の言うことを信じる奴がいると思うのか!?」

「これでも、私たちはこの町での実績がありますからね。
 …ちょうどいい。
 あなたに罪をかぶってもらうことにしましょう。」

「なんだと!?」

「この家の場所を知らなかったあなたがここにいるということは、ウロウロと探し回ったんでしょう?
 なら、目撃情報はいくらでも出てくる。
 【よた野郎】がやったとなれば、誰も疑わないでしょうね。」

「そりゃあいい!
 なんなら、俺らはそれを止めようとした善人だな!」

そう言いながら、3人組の1人が火をつけようとする。

「や、やめろー!」
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