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第一章【予知者】覚醒
第15話 借金 5080万8305ゴル
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「じゃあな、【よた野郎】。」
ニクラスにトドメを刺そうとする3人組冒険者の1人。
ニクラスの首を狙って剣を振り上げる。
「やめな!」
聞き覚えのある女性の声が、その男の動きを制止する。
「…テレージア!」
「一応気になって早めに帰ってきたんだが…、これは一体どういうことだ?」
(よかった…。)
ニクラスが見た夢では、燃え尽きた家ではなく、炎上中の家の前でテレージアがうずくまっていた。
ある程度時間を稼げれば本人が帰ってくることは予想できていた。
思ったより時間を稼げなかったが、直接話をしていたことで帰りが早くなったことは嬉しい誤算だった。
「テレージアさん、このひ…」
「テレージア!
この【よた野郎】がお前の家に火をつけやがったんだ!」
ニクラスの言葉を遮って、火をつけた張本人たちがニクラスに罪を被せようと喚き始めた。
「そうなんです!
なんとか火をつけたばかりの時に駆けつけられてよかった。
危なかった…!」
そう言いながら、火をつけた冒険者は家に燃え移った火を水魔法で消す。
「なんかこいつがお前の家の場所を聞き回ってるって話を知り合いから聞いてな!
念の為見にきたらこの有様だ!
剣を抜いて襲ってきやがったんで、返り討ちにしてやったところだ!」
「違います…!
この人たちが…!」
「黙れ!
国王様たちを騙したのに飽き足らず、別の町にやってきてまで人を陥れようとするなんて…!
じゃあなんでこの町にきたばっかりのお前がテレージアの家を知ってるんだよ!?」
「そ、それは…、【予知者】の能力で…。」
「その能力があるなら、なんでお前は城を追い出されたんだよ!?」
「能力が使えるようになったのが最近…」
「はっはっは!
そうやって嘘八百並べて国王にも取り入ったんだろ?
誰が信じるか!」
そのやりとりを黙って聞いていたテレージアが口を開いた。
「すまなかったな…。」
「何、気にすんなって!
これで俺たちがお前のことを真剣に考えていたってことがわかっただろ?」
「…そう…だな。」
「あなたの家が無事でよかった。
実力のあるあなたの生活が厳しいのは、きっと何か理由があるんでしょう?
私たちのパーティと冒険すれば、実入りもよくなります。
問題があれば、相談に乗りますよ?」
「……あんな態度を取っていた私をまだ誘ってくれるのか?」
「当然だろ。
お前みたいに若い女が俺たちみたいな粗暴な野郎どもに誘われて、首を縦に振るのはよく考えたら無理だよな…。
今まで無理に誘って悪かった。」
「私は見かけで人を判断してしまっていたようだ…。
本当に…、すまない…。」
「気にすんな。
俺たちゃそういうの慣れてるからよ。」
「…ありがとう…。」
(…どうしよう。
テレージアさん信じちゃってる…。
でも、僕が何言っても信じてもらえない。
どうしたら…。)
「その【よた野郎】は衛兵に突き出すとしよう。
この場で切り捨てたらこいつの使った税金が回収できなくなる。」
「そうだな。
お前、テレージアに感謝しろよ?
命を助けてもらったんだからな。」
ニクラスはその言葉に答えなかった。
夢の内容から、この場を打開する方法を探していたのだ。
「おい、聞いてるのか?」
ニクラスは男の問いかけには答えず、テレージアに向けて言葉を投げかけた。
「テレージアさん、僕の【予知者】の能力が覚醒したということを証明できる方法があります!」
「…何?」
「この野郎!
往生際が悪いぞ!」
「お願いします!
そもそもこの町にきたばかりの僕に、あなたの家を燃やす理由なんてありません!」
「む…。」
テレージアがニクラスの言葉に引っ掛かりを覚える。
「僕は…、僕は嘘なんてついてない!」
今まで嘘などついていないにも関わらず、両親と王女以外の全ての人間から非難され、非道な扱いを受けきたニクラスの心の叫びだった。
思わず涙が溢れてくる。
当然だ。
ニクラスはまだ11歳の少年なのだ。
その叫びはテレージアの心に少なからず届いたようだ。
「いいだろう。
どうやって証明するつもりだ?」
「テレージア!
こんなやつの話を聞く必要はねえ!
さっさと衛兵に突き出そうぜ!」
「まあ、その前に話を聞くぐらいいいだろう。」
「ぐ…。」
焦りの色を見せる冒険者3人。
ニクラスが能力を覚醒している可能性、それがあると感じていたからだ。
なぜなら、この町にきたばかりのニクラスが放火の計画を知っているのはとても偶然とは思えない。
それに、1日で名前しか知らない人間の家を突き止めることができたことも。
「いいや、こんな【よた野郎】の話を聞くとろくなことがねえ!
それで国王たちも騙されたんだからな!」
「そうだ。
もういい!
やっぱりこいつはここで殺しちまおう!」
ニクラスに剣を向けていた男が、再び剣を振りかぶった。
「なっ!?」
咄嗟のことに対応が遅れるニクラス。
そもそも、もう満身創痍で体が思うように動かない。
男が剣を振り下ろした。
ガキ………ン!
「…ふうっ。」
テレージアが凄まじいスピードで間に入り、剣を受け止めた。
「問答無用とは穏やかじゃないな。
話ぐらい聞いても問題はないだろう?
それとも何かやましいことでもあるのか?」
男たちの行動に再び不信感が宿るテレージア。
その様子を見てこれ以上は踏み込めないと感じた男たち。
「そんなもんはねえよ!
ただ、【よた野郎】がまた騙そうとするんじゃないかと思ってな!
おい、証明できなかったら容赦しねえからな?」
ニクラスにプレッシャーを与える男たち。
ニクラスは男たちの言葉には反応せず、テレージアだけに意識を向ける。
「テレージアさん、ありがとうございます…。
僕がこの状況を予知した証拠。
それは…」
ニクラスにトドメを刺そうとする3人組冒険者の1人。
ニクラスの首を狙って剣を振り上げる。
「やめな!」
聞き覚えのある女性の声が、その男の動きを制止する。
「…テレージア!」
「一応気になって早めに帰ってきたんだが…、これは一体どういうことだ?」
(よかった…。)
ニクラスが見た夢では、燃え尽きた家ではなく、炎上中の家の前でテレージアがうずくまっていた。
ある程度時間を稼げれば本人が帰ってくることは予想できていた。
思ったより時間を稼げなかったが、直接話をしていたことで帰りが早くなったことは嬉しい誤算だった。
「テレージアさん、このひ…」
「テレージア!
この【よた野郎】がお前の家に火をつけやがったんだ!」
ニクラスの言葉を遮って、火をつけた張本人たちがニクラスに罪を被せようと喚き始めた。
「そうなんです!
なんとか火をつけたばかりの時に駆けつけられてよかった。
危なかった…!」
そう言いながら、火をつけた冒険者は家に燃え移った火を水魔法で消す。
「なんかこいつがお前の家の場所を聞き回ってるって話を知り合いから聞いてな!
念の為見にきたらこの有様だ!
剣を抜いて襲ってきやがったんで、返り討ちにしてやったところだ!」
「違います…!
この人たちが…!」
「黙れ!
国王様たちを騙したのに飽き足らず、別の町にやってきてまで人を陥れようとするなんて…!
じゃあなんでこの町にきたばっかりのお前がテレージアの家を知ってるんだよ!?」
「そ、それは…、【予知者】の能力で…。」
「その能力があるなら、なんでお前は城を追い出されたんだよ!?」
「能力が使えるようになったのが最近…」
「はっはっは!
そうやって嘘八百並べて国王にも取り入ったんだろ?
誰が信じるか!」
そのやりとりを黙って聞いていたテレージアが口を開いた。
「すまなかったな…。」
「何、気にすんなって!
これで俺たちがお前のことを真剣に考えていたってことがわかっただろ?」
「…そう…だな。」
「あなたの家が無事でよかった。
実力のあるあなたの生活が厳しいのは、きっと何か理由があるんでしょう?
私たちのパーティと冒険すれば、実入りもよくなります。
問題があれば、相談に乗りますよ?」
「……あんな態度を取っていた私をまだ誘ってくれるのか?」
「当然だろ。
お前みたいに若い女が俺たちみたいな粗暴な野郎どもに誘われて、首を縦に振るのはよく考えたら無理だよな…。
今まで無理に誘って悪かった。」
「私は見かけで人を判断してしまっていたようだ…。
本当に…、すまない…。」
「気にすんな。
俺たちゃそういうの慣れてるからよ。」
「…ありがとう…。」
(…どうしよう。
テレージアさん信じちゃってる…。
でも、僕が何言っても信じてもらえない。
どうしたら…。)
「その【よた野郎】は衛兵に突き出すとしよう。
この場で切り捨てたらこいつの使った税金が回収できなくなる。」
「そうだな。
お前、テレージアに感謝しろよ?
命を助けてもらったんだからな。」
ニクラスはその言葉に答えなかった。
夢の内容から、この場を打開する方法を探していたのだ。
「おい、聞いてるのか?」
ニクラスは男の問いかけには答えず、テレージアに向けて言葉を投げかけた。
「テレージアさん、僕の【予知者】の能力が覚醒したということを証明できる方法があります!」
「…何?」
「この野郎!
往生際が悪いぞ!」
「お願いします!
そもそもこの町にきたばかりの僕に、あなたの家を燃やす理由なんてありません!」
「む…。」
テレージアがニクラスの言葉に引っ掛かりを覚える。
「僕は…、僕は嘘なんてついてない!」
今まで嘘などついていないにも関わらず、両親と王女以外の全ての人間から非難され、非道な扱いを受けきたニクラスの心の叫びだった。
思わず涙が溢れてくる。
当然だ。
ニクラスはまだ11歳の少年なのだ。
その叫びはテレージアの心に少なからず届いたようだ。
「いいだろう。
どうやって証明するつもりだ?」
「テレージア!
こんなやつの話を聞く必要はねえ!
さっさと衛兵に突き出そうぜ!」
「まあ、その前に話を聞くぐらいいいだろう。」
「ぐ…。」
焦りの色を見せる冒険者3人。
ニクラスが能力を覚醒している可能性、それがあると感じていたからだ。
なぜなら、この町にきたばかりのニクラスが放火の計画を知っているのはとても偶然とは思えない。
それに、1日で名前しか知らない人間の家を突き止めることができたことも。
「いいや、こんな【よた野郎】の話を聞くとろくなことがねえ!
それで国王たちも騙されたんだからな!」
「そうだ。
もういい!
やっぱりこいつはここで殺しちまおう!」
ニクラスに剣を向けていた男が、再び剣を振りかぶった。
「なっ!?」
咄嗟のことに対応が遅れるニクラス。
そもそも、もう満身創痍で体が思うように動かない。
男が剣を振り下ろした。
ガキ………ン!
「…ふうっ。」
テレージアが凄まじいスピードで間に入り、剣を受け止めた。
「問答無用とは穏やかじゃないな。
話ぐらい聞いても問題はないだろう?
それとも何かやましいことでもあるのか?」
男たちの行動に再び不信感が宿るテレージア。
その様子を見てこれ以上は踏み込めないと感じた男たち。
「そんなもんはねえよ!
ただ、【よた野郎】がまた騙そうとするんじゃないかと思ってな!
おい、証明できなかったら容赦しねえからな?」
ニクラスにプレッシャーを与える男たち。
ニクラスは男たちの言葉には反応せず、テレージアだけに意識を向ける。
「テレージアさん、ありがとうございます…。
僕がこの状況を予知した証拠。
それは…」
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