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第二章 ダンジョン攻略編
第20話 借金 5374万3490ゴル
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ニクラス14歳。
テレージアの家で暮らすようになって3年が過ぎていた。
張り詰めていた感情の糸が切れたニクラスは、はじめのうちは情緒不安定になっていたが、いつもそばにいるテレージアのおかげで逞しく成長していた。
心配なのはどちらかというと、テレージア。
彼女はもともとDランクの冒険者で、ジョブは中級職の【戦鬼】。
ソロでもそこそこ裕福な暮らしができる強さだった。
にも関わらず、下衆な冒険者につけ込まれるくらい厳しい暮らしをしていたのには理由があった。
それは、ぬいぐるみ。
かわいいものに目がないテレージアは、イワトリをはじめとしていろんなモンスターや動物のぬいぐるみを所持していた。
ぬいぐるみは需要がほとんどないため、全て特注。
技術者も少ないため、非常に高価であった。
もともと貴族出身で節約ができなかったテレージアは、生活費が足りなくなり困窮していたのだった。
しかし、ニクラスとの同居で困窮問題は解消された。
テレージアの愛でる対象が、”ぬいぐるみ” から “ニクラス” になったのだ。
もともと可愛い見た目の少年であったニクラス。
心の拠り所となったテレージアへ鳥の雛の ”刷り込み” のような感じでものすごく懐き、頼られる方としては胸がキュンキュンしてぬいぐるみどころじゃなくなったようだ。
ただ、決して裕福な暮らしではなかった。
ニクラスはかなり強固に断ったのだが、結局押し切られる形で借金も一緒に返済している。
一緒に、とは言ってもニクラスは薬草採取などの比較的安全な仕事しかさせてもらえなかった。
「危ないから14歳になるまではダメよ!」
と口調まで変わった過保護なテレージアからストップがかかったのだ。
同居当初は利子すら払うのが厳しかった。
テレージアが過剰なくらいニクラスの洋服や日用品などを買ってくるのだ。
これに関しては、ニクラスが口を酸っぱくして再三注意をしたので、だいぶおさまっている。
という風に、順調に返済しているはずの借金が…、増えていた。
それも、約300万ゴル。
その原因は、テレージアの溺愛っぷりと、ニクラスのアイテム狂いにあった。
生きるので精一杯だったためなかなか発揮する状況がなかったのだが、ニクラスはレアなアイテムが大好きだ。
そして、【予知者】の能力でずっと課題に感じていたことがある。
「いつ」「どこで」の出来事を予知しているのかわからないことだ。
この諸々の状況が化学反応を起こし、
「時間と場所がわかるアイテムを手に入れよう」
という結論に至った。
それ自体は問題がなく、当然の考えなのだが、金額に大きな問題があった。
まず、時間。
小型の時計は高級品で、家族が1ヶ月暮らしていけるほどの金額。
これはニクラスのマジックバッグの中にあったDランクモンスターの売却金で購入することができた。
決して物欲だけでなく、時間がわかればあの時マジックバッグの持ち主だった冒険者を救えたかもしれない、そういう想いもあって購入を決めた。
問題だったのは、場所。
場所といえば地図だが、【予知者】の能力で予知するときに、その場所の地図を持ち、さらに現在地を示すというのはかなり無理がある。
どの場面が予知されるのかわからないのだから。
そうなると、かなり高機能な地図が必要となる。
そもそも、そんな地図が存在するのか?
その答えは…、「存在する」である。
アイテム大好きニクラスは、城に滞在していたときに資料を読み漁っていたため、かなりの知識を蓄えていた。
ニクラスが欲したのは "シーカーズマップ”。
持ち主の移動に合わせて自動生成してくれる地図だ。
記憶機能付きで、生成したマップは後から好きに見ることができる。
さらに、最高級品になると記憶できる範囲が無限となり、現在地を表示してくれるようもになる。
とはいえ、シーカーズマップの品質もピンキリ。
ニクラスが欲しいシーカーズマップは最高級品。
安いシーカーズマップは生成できる範囲が限られていたりする。
当然機能が増えるにつれ金額も跳ね上がる。
ニクラスが12歳のときに、テレージアと出掛けた首都である出来事があった。
街中を歩いていると、流れの商人がシーカーズマップを販売していたのだ。
しかも最高級品だという。
そしてなんと、金額は相場の半値以下の500万ゴル。
どうしても、なんとしても欲しいニクラスだったが、当然手は出ない。
でもどうしてもどうがんばっても諦め切れず2時間その場を離れないニクラスにテレージアが救いの手を差し伸べた。
とはいっても、テレージアもそんな大金を持っているわけはない。
2人で頭金の100万ゴルを出し、残りをテレージアが借金して支払ったのだ。
商人は盗まれてはかなわないと、お金を受け取ってからじゃないと手に取らせてくれなかった。
手にした時のニクラスの喜びようは、三日三晩衰えずに喜び続けるくらいすごいものだった。
普通であれば子どもが買うような金額のアイテムではないし、初めて自分で欲して手に入れたレアアイテムだったので、喜びもひとしおだったのだろう。
ニクラスは絶対に返すから!ありがとう!と、何度も何度もテレージアにお礼を伝えた。
4日目、その喜びは絶望へと変わった…。
商人から買ったシーカーズマップは粗悪品だったのだ。
3日間は町の中をマッピングし、4日目に町の外へテレージアと出た時にそれは判明した。
歩けど歩けど、全然マッピングしないのだ。
それどころか、前日までにマッピングした町の中を見てみようと操作すると、突然何も表示されなくなった。
落ち着けとなだめるテレージアの言葉も耳に入らず狼狽えるニクラス。
結局そのシーカーズマップは完全に動かなくなり、それを売りつけた商人は次の街へ移動した後でお金も戻ってこなかった。
そして、借金だけが増えたのであった。
テレージアの家で暮らすようになって3年が過ぎていた。
張り詰めていた感情の糸が切れたニクラスは、はじめのうちは情緒不安定になっていたが、いつもそばにいるテレージアのおかげで逞しく成長していた。
心配なのはどちらかというと、テレージア。
彼女はもともとDランクの冒険者で、ジョブは中級職の【戦鬼】。
ソロでもそこそこ裕福な暮らしができる強さだった。
にも関わらず、下衆な冒険者につけ込まれるくらい厳しい暮らしをしていたのには理由があった。
それは、ぬいぐるみ。
かわいいものに目がないテレージアは、イワトリをはじめとしていろんなモンスターや動物のぬいぐるみを所持していた。
ぬいぐるみは需要がほとんどないため、全て特注。
技術者も少ないため、非常に高価であった。
もともと貴族出身で節約ができなかったテレージアは、生活費が足りなくなり困窮していたのだった。
しかし、ニクラスとの同居で困窮問題は解消された。
テレージアの愛でる対象が、”ぬいぐるみ” から “ニクラス” になったのだ。
もともと可愛い見た目の少年であったニクラス。
心の拠り所となったテレージアへ鳥の雛の ”刷り込み” のような感じでものすごく懐き、頼られる方としては胸がキュンキュンしてぬいぐるみどころじゃなくなったようだ。
ただ、決して裕福な暮らしではなかった。
ニクラスはかなり強固に断ったのだが、結局押し切られる形で借金も一緒に返済している。
一緒に、とは言ってもニクラスは薬草採取などの比較的安全な仕事しかさせてもらえなかった。
「危ないから14歳になるまではダメよ!」
と口調まで変わった過保護なテレージアからストップがかかったのだ。
同居当初は利子すら払うのが厳しかった。
テレージアが過剰なくらいニクラスの洋服や日用品などを買ってくるのだ。
これに関しては、ニクラスが口を酸っぱくして再三注意をしたので、だいぶおさまっている。
という風に、順調に返済しているはずの借金が…、増えていた。
それも、約300万ゴル。
その原因は、テレージアの溺愛っぷりと、ニクラスのアイテム狂いにあった。
生きるので精一杯だったためなかなか発揮する状況がなかったのだが、ニクラスはレアなアイテムが大好きだ。
そして、【予知者】の能力でずっと課題に感じていたことがある。
「いつ」「どこで」の出来事を予知しているのかわからないことだ。
この諸々の状況が化学反応を起こし、
「時間と場所がわかるアイテムを手に入れよう」
という結論に至った。
それ自体は問題がなく、当然の考えなのだが、金額に大きな問題があった。
まず、時間。
小型の時計は高級品で、家族が1ヶ月暮らしていけるほどの金額。
これはニクラスのマジックバッグの中にあったDランクモンスターの売却金で購入することができた。
決して物欲だけでなく、時間がわかればあの時マジックバッグの持ち主だった冒険者を救えたかもしれない、そういう想いもあって購入を決めた。
問題だったのは、場所。
場所といえば地図だが、【予知者】の能力で予知するときに、その場所の地図を持ち、さらに現在地を示すというのはかなり無理がある。
どの場面が予知されるのかわからないのだから。
そうなると、かなり高機能な地図が必要となる。
そもそも、そんな地図が存在するのか?
その答えは…、「存在する」である。
アイテム大好きニクラスは、城に滞在していたときに資料を読み漁っていたため、かなりの知識を蓄えていた。
ニクラスが欲したのは "シーカーズマップ”。
持ち主の移動に合わせて自動生成してくれる地図だ。
記憶機能付きで、生成したマップは後から好きに見ることができる。
さらに、最高級品になると記憶できる範囲が無限となり、現在地を表示してくれるようもになる。
とはいえ、シーカーズマップの品質もピンキリ。
ニクラスが欲しいシーカーズマップは最高級品。
安いシーカーズマップは生成できる範囲が限られていたりする。
当然機能が増えるにつれ金額も跳ね上がる。
ニクラスが12歳のときに、テレージアと出掛けた首都である出来事があった。
街中を歩いていると、流れの商人がシーカーズマップを販売していたのだ。
しかも最高級品だという。
そしてなんと、金額は相場の半値以下の500万ゴル。
どうしても、なんとしても欲しいニクラスだったが、当然手は出ない。
でもどうしてもどうがんばっても諦め切れず2時間その場を離れないニクラスにテレージアが救いの手を差し伸べた。
とはいっても、テレージアもそんな大金を持っているわけはない。
2人で頭金の100万ゴルを出し、残りをテレージアが借金して支払ったのだ。
商人は盗まれてはかなわないと、お金を受け取ってからじゃないと手に取らせてくれなかった。
手にした時のニクラスの喜びようは、三日三晩衰えずに喜び続けるくらいすごいものだった。
普通であれば子どもが買うような金額のアイテムではないし、初めて自分で欲して手に入れたレアアイテムだったので、喜びもひとしおだったのだろう。
ニクラスは絶対に返すから!ありがとう!と、何度も何度もテレージアにお礼を伝えた。
4日目、その喜びは絶望へと変わった…。
商人から買ったシーカーズマップは粗悪品だったのだ。
3日間は町の中をマッピングし、4日目に町の外へテレージアと出た時にそれは判明した。
歩けど歩けど、全然マッピングしないのだ。
それどころか、前日までにマッピングした町の中を見てみようと操作すると、突然何も表示されなくなった。
落ち着けとなだめるテレージアの言葉も耳に入らず狼狽えるニクラス。
結局そのシーカーズマップは完全に動かなくなり、それを売りつけた商人は次の街へ移動した後でお金も戻ってこなかった。
そして、借金だけが増えたのであった。
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