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赤道直下のドタバタ
ねずみ花火再び
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「ギーギャー」
普段はおとなしいガマズミが突然泣きわめいた。
その怯えがヤミの左腕の黒い骨にも伝わってくるようだった。
「どうしちゃったの」
嫌な予感を感じながらもヤミにはなすすべがなかった。
その嫌な予感はヒカリとミラグロスが食べ比べをしていたアイスを溶かしながら現れた。
アイス屋の店内にするりと侵入したそれはヒカリとミラグロスの間のテーブルをひょいと飛び越えてみせた。
熱風でテーブルの上のアイスは溶けてしまった。
それは着地するなり「ひさしぶりだな」と言わんばかりにその頭をヒカリのほうへ向けた。
店内が混乱する中、ヒカリとミラグロスは職業病的に銃を構えた。
そうこの二人は付き合いたてのアベックではなくあくまでここのサイバー保安員なのだ。
ミラグロスは身長一七五センチで声も男役の女劇団員みたいに低めである。よく男と間違えられる。
そしてこの仕事だ。自分が女扱いされる日などこないだろうと思っている。いま目の前にいる白銀の髪の可憐な女性みたいには自分はなれない、と。
「ねずみ花火!じゃなくて花火ねずみ!これは危険だわ。少なくとも室内からは追い払わないと」
なんと!店内に侵入してきたのはあのねずみのバグスターだったのだ。
ヒカリの張った声をはじめて聞いたミラグロスははっとした。
「いったいあれはなんだ?巨大なねずみ?花火だと」
「あれは花火を吐き出すねずみなんです。こんなとこで火遊びされたら……」
一瞬で事態を把握したミラグロスは店の厨房へ走った。
「しっ、しっ」
ヒカリは手を振ってなんとかねずみを追い出そうとするがねずみは知らんぷり。
「ヒカリー、どいてくれー」
水を張ったバケツを抱えてミラグロスが戻ってくる。
「こんなお店で火遊びなんてだめだ。火の用心」
そのバケツの水をねずみにめがけてかけてやると、ねずみはすぐさま逃げていった。
「よく分からんがねずみ花火なら水が効くと思った。やつは水がニガテなんだろう」「やった!」
ヒカリは小さくガッツポーズを取ると頭ひとつ大きなミラグロスを見上げた。
機転が効いて頼もしいミラグロス。珍しいアイスを食べさせてくれる楽しいミラグロス。
「ミラグロスって素敵ね」
ヒカリは心のなかで呟いた。
普段はおとなしいガマズミが突然泣きわめいた。
その怯えがヤミの左腕の黒い骨にも伝わってくるようだった。
「どうしちゃったの」
嫌な予感を感じながらもヤミにはなすすべがなかった。
その嫌な予感はヒカリとミラグロスが食べ比べをしていたアイスを溶かしながら現れた。
アイス屋の店内にするりと侵入したそれはヒカリとミラグロスの間のテーブルをひょいと飛び越えてみせた。
熱風でテーブルの上のアイスは溶けてしまった。
それは着地するなり「ひさしぶりだな」と言わんばかりにその頭をヒカリのほうへ向けた。
店内が混乱する中、ヒカリとミラグロスは職業病的に銃を構えた。
そうこの二人は付き合いたてのアベックではなくあくまでここのサイバー保安員なのだ。
ミラグロスは身長一七五センチで声も男役の女劇団員みたいに低めである。よく男と間違えられる。
そしてこの仕事だ。自分が女扱いされる日などこないだろうと思っている。いま目の前にいる白銀の髪の可憐な女性みたいには自分はなれない、と。
「ねずみ花火!じゃなくて花火ねずみ!これは危険だわ。少なくとも室内からは追い払わないと」
なんと!店内に侵入してきたのはあのねずみのバグスターだったのだ。
ヒカリの張った声をはじめて聞いたミラグロスははっとした。
「いったいあれはなんだ?巨大なねずみ?花火だと」
「あれは花火を吐き出すねずみなんです。こんなとこで火遊びされたら……」
一瞬で事態を把握したミラグロスは店の厨房へ走った。
「しっ、しっ」
ヒカリは手を振ってなんとかねずみを追い出そうとするがねずみは知らんぷり。
「ヒカリー、どいてくれー」
水を張ったバケツを抱えてミラグロスが戻ってくる。
「こんなお店で火遊びなんてだめだ。火の用心」
そのバケツの水をねずみにめがけてかけてやると、ねずみはすぐさま逃げていった。
「よく分からんがねずみ花火なら水が効くと思った。やつは水がニガテなんだろう」「やった!」
ヒカリは小さくガッツポーズを取ると頭ひとつ大きなミラグロスを見上げた。
機転が効いて頼もしいミラグロス。珍しいアイスを食べさせてくれる楽しいミラグロス。
「ミラグロスって素敵ね」
ヒカリは心のなかで呟いた。
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