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てんやわんや
やぶへびリューミィ
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ここはグリーゼという惑星である。
地球から一六光年ほどの距離にある、「地球に似た地球ではない惑星」である。
大きさはは地球より一回り大きく、環境は地球によく似ていた。
もうひとつの太陽光が降り注ぎ、四季もある。
唯一のちがいは、目ぼしい生命の進化が見られなかった点である。
西暦二〇二〇年、太陽系の外への宇宙進出を果たした人類は手近なこの惑星を開発した。
それから一〇〇年の時が経ち、かつて人類のフロンテアと期待されたグリーゼは廃れてしまった。
それから「地球ではない惑星」がいくつも発見された。
その惑星は、グリーゼとは違い地球とは似ても似つかない環境であったが、人類はその環境に新たな技術力でまったく新しい居住空間を作りあげることに躍起になった。
「人類は環境が変われば進化する」という、モリオ博士の提言が宇宙冒険者たちを駆り立てたのだった。
けっきょく、グリーゼは「地球の二番煎じ」と烙印を押され飽きられてしまった。
人が去っても、人が作ったものは残る。
グリーゼからは多くの人が去ったが、その人数は決してゼロになることはなかった。
ここを去った者たちが残したものがある。
あえて残したいとか、守りたいとかというわけでもないが、グリーゼの地に定着した生活にいまでもそれなりの人数の人がはりつけられている。
チホもその一人。
彼女は家業だった宇宙デブリ屋を継いだ。
宇宙デブリ屋とは、その名の通り宇宙デブリを回収してリサイクルする商売なのだが、折からの人口減により商売は上がったりだ。
でもチホは気にしない。気にしなさすぎだとレイワは言う。
レイワはチホとともにデブリ屋で働いていて、仕事上の立場が対等な、仕事以上友達未満といった関係である。
「あなたってウサギみたい。いつも野菜サラダを食べてるわね」
レイワがチホをからかうと、チホも同じようにからかう。
「あなたってライオンみたい。いつもお肉ばかりたべているわね」
そしてふたりは笑う。
デブリを集めて再利用。それだけの一生でも構わないとふたりは思っている。
おっとりしたチホの気質と、しっかり者だが独りの時間を好むレイワの気質は相性がよかったのだ。
人類は宇宙進出とともに、その欲望や好奇心も大宇宙へと拡散した。
インターネット以外のフロンティアを見いだした人類は、地球上で戦争したり虐殺したりするような危機こそ脱したが、好戦的な気質や強い支配欲求は一部の人間に確実に受け継がれていたのであった。
チホとレイワは一緒に暮らしている。生活コストも下がるし、お互い気心がしれていて寂しくないのだ。
その日も、いつもの割りと静かな朝のはずだった。
チホが野菜サラダを、レイワが鹿肉のステーキを用意してるさなかのことだった。
「すいませーん。このお店は何時から開いてますかー」
突然の来客は、どういうわけかなんの変哲もない一軒家を食堂と間違えたようだ。
その来客は髪のながい女性で、げっそり窶れて着衣も擦りきれているようだった。
そして、くたびれた様子とは裏腹に、宝石のような眼をもっていた。
「なんてキレイな瞳なんだろう……」
チホはその輝きに魅惑されたように彼女を食卓に招き入れた。
面白くないのはレイワだった。
「そりゃ、お腹が空いてるんなら仕方ないけど、朝からご飯が食べられるお店ぐらいこの惑星にだってあるんだから……」
「ごめんなさい。この辺に乗ってきた宇宙船が不時着して、私も疲れきって歩く体力もないから……」
女性は申し訳なさげに言った。
チホはレイワをたしなめる。
女性はリューミィと名乗った。
そしてふたりにあるお願いをした。
リューミィはグリーゼからさらに二十光年ほど離れた惑星から宇宙船に乗ってきそうだが、そんなことをすれば帰れなくなってしまう。
チホとレイワは顔を見合わせた。
「ここは、宇宙デブリを集めているところみたいね。私の宇宙船を解体してくれないかしら?なるべく細かく、跡形もなく」
地球から一六光年ほどの距離にある、「地球に似た地球ではない惑星」である。
大きさはは地球より一回り大きく、環境は地球によく似ていた。
もうひとつの太陽光が降り注ぎ、四季もある。
唯一のちがいは、目ぼしい生命の進化が見られなかった点である。
西暦二〇二〇年、太陽系の外への宇宙進出を果たした人類は手近なこの惑星を開発した。
それから一〇〇年の時が経ち、かつて人類のフロンテアと期待されたグリーゼは廃れてしまった。
それから「地球ではない惑星」がいくつも発見された。
その惑星は、グリーゼとは違い地球とは似ても似つかない環境であったが、人類はその環境に新たな技術力でまったく新しい居住空間を作りあげることに躍起になった。
「人類は環境が変われば進化する」という、モリオ博士の提言が宇宙冒険者たちを駆り立てたのだった。
けっきょく、グリーゼは「地球の二番煎じ」と烙印を押され飽きられてしまった。
人が去っても、人が作ったものは残る。
グリーゼからは多くの人が去ったが、その人数は決してゼロになることはなかった。
ここを去った者たちが残したものがある。
あえて残したいとか、守りたいとかというわけでもないが、グリーゼの地に定着した生活にいまでもそれなりの人数の人がはりつけられている。
チホもその一人。
彼女は家業だった宇宙デブリ屋を継いだ。
宇宙デブリ屋とは、その名の通り宇宙デブリを回収してリサイクルする商売なのだが、折からの人口減により商売は上がったりだ。
でもチホは気にしない。気にしなさすぎだとレイワは言う。
レイワはチホとともにデブリ屋で働いていて、仕事上の立場が対等な、仕事以上友達未満といった関係である。
「あなたってウサギみたい。いつも野菜サラダを食べてるわね」
レイワがチホをからかうと、チホも同じようにからかう。
「あなたってライオンみたい。いつもお肉ばかりたべているわね」
そしてふたりは笑う。
デブリを集めて再利用。それだけの一生でも構わないとふたりは思っている。
おっとりしたチホの気質と、しっかり者だが独りの時間を好むレイワの気質は相性がよかったのだ。
人類は宇宙進出とともに、その欲望や好奇心も大宇宙へと拡散した。
インターネット以外のフロンティアを見いだした人類は、地球上で戦争したり虐殺したりするような危機こそ脱したが、好戦的な気質や強い支配欲求は一部の人間に確実に受け継がれていたのであった。
チホとレイワは一緒に暮らしている。生活コストも下がるし、お互い気心がしれていて寂しくないのだ。
その日も、いつもの割りと静かな朝のはずだった。
チホが野菜サラダを、レイワが鹿肉のステーキを用意してるさなかのことだった。
「すいませーん。このお店は何時から開いてますかー」
突然の来客は、どういうわけかなんの変哲もない一軒家を食堂と間違えたようだ。
その来客は髪のながい女性で、げっそり窶れて着衣も擦りきれているようだった。
そして、くたびれた様子とは裏腹に、宝石のような眼をもっていた。
「なんてキレイな瞳なんだろう……」
チホはその輝きに魅惑されたように彼女を食卓に招き入れた。
面白くないのはレイワだった。
「そりゃ、お腹が空いてるんなら仕方ないけど、朝からご飯が食べられるお店ぐらいこの惑星にだってあるんだから……」
「ごめんなさい。この辺に乗ってきた宇宙船が不時着して、私も疲れきって歩く体力もないから……」
女性は申し訳なさげに言った。
チホはレイワをたしなめる。
女性はリューミィと名乗った。
そしてふたりにあるお願いをした。
リューミィはグリーゼからさらに二十光年ほど離れた惑星から宇宙船に乗ってきそうだが、そんなことをすれば帰れなくなってしまう。
チホとレイワは顔を見合わせた。
「ここは、宇宙デブリを集めているところみたいね。私の宇宙船を解体してくれないかしら?なるべく細かく、跡形もなく」
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