婚約破棄されて森に捨てられたら、フェンリルの長に一目惚れされたよ

ミクリ21 (新)

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本編◆第二章

3◆ルディガー視点

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「貴様、私をどうする気だ!」

私の怒りの波動を全く気にしていない愚か者を、私は殺意に満ちた瞳で睨みつける。

余裕そうな奴は私を見ると、恍惚とした表情で愉快そうに笑った。

「どう?アハハ!君は私の夫になるのだ。王の私に、その辺の男など相応しくない」

傲慢というやつなのだろう。

村にはこんな性格のフェンリルはいないが、招かれざる客は大概傲慢なものだ。

しかし、奴の発言は到底許せるものではなく、私はこれでもかと怒鳴った。

ちなみに、今の私はフェンリルの姿である。

奴を噛み殺してやろうとしたのだが、奴の魔法の鎖で身体をギチギチに縛り付けられ動けなくなってしまった。

しかも魔力も使えなくされているらしくて何もできない。

なんて屈辱だ!

「ふざけるな!私が貴様の夫になるわけなかろう!私には、最愛の妻と子供がいるのだ。貴様などいらんわ!」

最愛のバジルと可愛い息子四匹のためにも、「くっ、殺せ!」なんて敗北宣言はしないからな!

私は地獄の底から聞こえてきそうな唸り声で奴を威嚇した。

奴は呆れたようにため息を吐き、私の目を至近距離でみつめる。

「わかってないな。君に自由などなく、意思など必要ない。必要なのは存在だけ。だから………」

ろくに動かない頭を鷲掴みにした奴は、ニヤリと悍ましく邪悪に微笑んだ。

奴は私に理解できない言葉を囁く。

「!?」

まるでその声は呪いのように私の心を支配する。

そして、奴の忌まわしかった鎖は綺麗に身体から消されたのだ。



私は人の姿に戻った。

………何故姿が勝手に変わった?

奴に微笑みを向けた私を私は怒鳴る。

何故そんな奴に微笑む?やめろ!

奴に触れられてうっとりと愛を囁く私がいる。

どうしてだ!

奴に触れられて嫌悪しているのに、私の愛はバジルにしか囁く気なんてないのに、身体は勝手に動いて喋る。

バジルだけを愛しているのに、あんな奴に愛を囁くなんて吐き気がする。

しかし、異変は続く。

バジルの記憶が次第に思い出せなくなってきたのだ。

バジルの姿も声もわからなくなっていく。

バジルのことを愛しているのに………愛して、いるのに………?

バジル、バジル、バジル………。

バジルとは……誰だったろうか?

私は……フェンリルの長ルディガー・シュヴァ。

そして………エルミラーダ・ジークフリートの夫。



大事なモノを忘れてしまったような気がして心に穴が空いているが、私には大事なモノがなんだったのかわからない。

今はただ、エルミラーダのことしか考えられない。



食事の添え物としてついていた緑の物をみて、私は首を捻る。

「これはなんだったか?」

「あぁ、それは食べられないゴミだから捨てさせよう」

エルミラーダは、そう言って使用人にバジルを捨てさせた。

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