幸せな夢は壊れやすい

ミクリ21 (新)

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2◆モルダンの愛情という名の呪詛

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ハロルドが浮気をした時は、とにかくハロルドを叱りつけた。

しかも同性を愛しているなどとふざけたことを言って、きっとロードとかいう疫病神がハロルドを唆したのだ。

正気に戻るように周囲の者全員で、何度でも何度でもハロルドを叱りつけてやった。

それは、私からの愛情のつもりだった。



疫病神がいなくなったら、ハロルドはレジーナを愛し始めたから、やはりあの疫病神が唆したのだ。

ハロルドは、レジーナと相思相愛になっていった。

このまま結婚して、早く跡継ぎを作ってほしいものだ。



最近、何故か身体がダルい。

ちゃんと食べているのに痩せていく。

病気だろうか?

そう思っていると、ハロルドが私の好きな紅茶をいれてくれる。

最近ハロルドが私にすすめてくれた紅茶なんだ。

ああ……私は何を考えていただろうか?

この紅茶を飲むと、何も考えられなくなる。

紅茶が美味しい……美味しい……おいしい……オイシイ………。



ガシャン!!



紅茶のカップが落ちたのに、私は何も深くは考えられない。

「そろそろ頃合いか……ふふっ、貴方の仕打ちを僕は忘れてない。貴方への細やかなお返しに、貴方には僕の結婚式も孫の姿もみせてあげないよ。貴方が、僕をこんなことする子にしたんだよ」

上手く呼吸が吸えなくて、苦しくて、だけどハロルドは美しいほどの穏やかな微笑みを浮かべていた。



ああ……やっとわかった。

わかってももう遅いが、わかってしまった。

私は、ハロルドに毒を盛られていたんだな。

どうしてなんて言葉は出てこない。

意識が落ちて…落ちて…落ちて………。

きっと私は、このまま死ぬのだろう。



モルダンの葬儀は、結婚式よりも少し前に行われた。

深く悲しみ涙を流すハロルドが、レジーナに慰められている姿を多くの者が目撃したそうだ。

モルダンの死因は、流行り病だったらしい。

………そうハロルドは言っていた。
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