1 / 4
1◆アンセス視点
しおりを挟む
僕はアンセス、記憶喪失だとつい最近気づいた。
何も思い出せないなと思って考えていたら、記憶喪失じゃないかと気づいたんだよ。
そんな僕にはカッコいい婚約者がいるんだ。
何も覚えていないけれど、セシルという素敵な男の人。
僕も男だけど同性でも何も問題ないんだって言われて、記憶のない僕はそうなんだって納得した。
セシルは偉い人らしくて、城に住んでいる。
僕も一緒にその城に住んでいるんだ。
セシルは王様という仕事をしているらしい。
城には使用人がいっぱいいて、皆いい人達ばかり。
シェフの作るご飯はとっても美味しくて、庭師が整える庭はとっても綺麗なんだ。
この城は全体的に暗くて、壁も黒くて絨毯は赤くて、なんだか不思議だけれどそういうものなんだって言われたら、記憶がない僕はやっぱりそうなんだって納得する。
周りにいる人達も不思議なんだ。
でもこの場合、多分不思議なのは僕なんだと思う。
だって、僕だけが周りと違うんだから………。
「ねぇ、セシル。どうして僕だけ角もないし、もふもふしてる部分もないし、羽もないし、尻尾もないの?」
「貴方は私の婚約者だからですよ」
そういうものだと言われてしまえば、やっぱり僕は納得するしかなかった。
だって記憶がないのだから、それが正しいのか間違ってるのかなんてわからない。
分からないから納得するしかないんだ。
セシルは皆よりもとても筋肉がムキムキのマッチョで大きくて、角もとっても太くて、羽もすごく立派で、尻尾もモフモフなんだよ。
どこをどう見てもかっこよくて堪らないよね!
そして、セシルはとても優しいんだ。
城では皆に慕われて誰よりも人気者の素敵なセシル。
僕は記憶がないけれど、それでも毎日が幸せだった。
だけど、僕は気づいていることがある。
セシルは僕に何かを隠している。
それが何かは分からない。
もしかしたら、僕の気のせいかもしれない。
でも、気になるんだ。
………好奇心というのは、猫をも殺すという言葉を本で読んだことがある。
きっと僕は、好奇心を持ってしまった猫なんだろう。
何度も僕は、間違ってしまったんだ………。
そんな感情を持ってしまったがために、セシルがどんな気持ちでいたかなんて知る由もなく、僕は何度も何度もセシルを傷つけ続けてしまったんだ。
そしてそれを毎回毎回忘れてしまう。
………僕は、今もそれを覚えていない。
終わりと共に思い出す。
そして全てを忘れてしまう。
何度も何度も繰り返す。
優しい嘘は、誰のための嘘なのか?
何も思い出せないなと思って考えていたら、記憶喪失じゃないかと気づいたんだよ。
そんな僕にはカッコいい婚約者がいるんだ。
何も覚えていないけれど、セシルという素敵な男の人。
僕も男だけど同性でも何も問題ないんだって言われて、記憶のない僕はそうなんだって納得した。
セシルは偉い人らしくて、城に住んでいる。
僕も一緒にその城に住んでいるんだ。
セシルは王様という仕事をしているらしい。
城には使用人がいっぱいいて、皆いい人達ばかり。
シェフの作るご飯はとっても美味しくて、庭師が整える庭はとっても綺麗なんだ。
この城は全体的に暗くて、壁も黒くて絨毯は赤くて、なんだか不思議だけれどそういうものなんだって言われたら、記憶がない僕はやっぱりそうなんだって納得する。
周りにいる人達も不思議なんだ。
でもこの場合、多分不思議なのは僕なんだと思う。
だって、僕だけが周りと違うんだから………。
「ねぇ、セシル。どうして僕だけ角もないし、もふもふしてる部分もないし、羽もないし、尻尾もないの?」
「貴方は私の婚約者だからですよ」
そういうものだと言われてしまえば、やっぱり僕は納得するしかなかった。
だって記憶がないのだから、それが正しいのか間違ってるのかなんてわからない。
分からないから納得するしかないんだ。
セシルは皆よりもとても筋肉がムキムキのマッチョで大きくて、角もとっても太くて、羽もすごく立派で、尻尾もモフモフなんだよ。
どこをどう見てもかっこよくて堪らないよね!
そして、セシルはとても優しいんだ。
城では皆に慕われて誰よりも人気者の素敵なセシル。
僕は記憶がないけれど、それでも毎日が幸せだった。
だけど、僕は気づいていることがある。
セシルは僕に何かを隠している。
それが何かは分からない。
もしかしたら、僕の気のせいかもしれない。
でも、気になるんだ。
………好奇心というのは、猫をも殺すという言葉を本で読んだことがある。
きっと僕は、好奇心を持ってしまった猫なんだろう。
何度も僕は、間違ってしまったんだ………。
そんな感情を持ってしまったがために、セシルがどんな気持ちでいたかなんて知る由もなく、僕は何度も何度もセシルを傷つけ続けてしまったんだ。
そしてそれを毎回毎回忘れてしまう。
………僕は、今もそれを覚えていない。
終わりと共に思い出す。
そして全てを忘れてしまう。
何度も何度も繰り返す。
優しい嘘は、誰のための嘘なのか?
11
あなたにおすすめの小説
騎士団で一目惚れをした話
菫野
BL
ずっと側にいてくれた美形の幼馴染×主人公
憧れの騎士団に見習いとして入団した主人公は、ある日出会った年上の騎士に一目惚れをしてしまうが妻子がいたようで爆速で失恋する。
来世はこの人と関りたくないと思ったのに。
ありま氷炎
BL
前世の記憶を持つ、いずる。
彼は前世で主人だった三日月と、来世で関わらない事を願った。
しかし願いは叶わず、幼馴染として生まれ変わってしまった。
振られた腹いせに別の男と付き合ったらそいつに本気になってしまった話
雨宮里玖
BL
「好きな人が出来たから別れたい」と恋人の翔に突然言われてしまった諒平。
諒平は別れたくないと引き止めようとするが翔は諒平に最初で最後のキスをした後、去ってしまった。
実は翔には諒平に隠している事実があり——。
諒平(20)攻め。大学生。
翔(20) 受け。大学生。
慶介(21)翔と同じサークルの友人。
僕のために、忘れていて
ことわ子
BL
男子高校生のリュージは事故に遭い、最近の記憶を無くしてしまった。しかし、無くしたのは最近の記憶で家族や友人のことは覚えており、別段困ることは無いと思っていた。ある一点、全く記憶にない人物、黒咲アキが自分の恋人だと訪ねてくるまでは────
happy dead end
瑞原唯子
BL
「それでも俺に一生を捧げる覚悟はあるか?」
シルヴィオは幼いころに第一王子の遊び相手として抜擢され、初めて会ったときから彼の美しさに心を奪われた。そして彼もシルヴィオだけに心を開いていた。しかし中等部に上がると、彼はとある女子生徒に興味を示すようになり——。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる