ここは何の店？ヤクザのボスが経営する猫カフェです

3◆訳あり

青年は誠まことと名乗った。

ダンジョンに軽い気持ちで行ったら死にかけたらしい。

「よく生きてたね」

「えへ！」

誠は、助けてくれたお礼にお店でタダ働きすると言い出した。

気にしなくていいのに、お礼するまで居座るとか言ってる。

随分押しの強い子だ。

まぁ、メンタルが強いなら大丈夫かな？

ほら、このお店は猫カフェとはいっても裏社会の人々がお客様だからね。

メンタル弱い子には難しい仕事なんだ。

というわけで、今日から誠が働くことになったのでキラーキャット達に紹介だ。

「というわけで皆、誠を食べたらダメだよ」

「えっ。わぁーーっ！？ちょっ、宗一郎さん！食べ…食べられてますよ！俺食べられてます！！」

「食べられてないよ。それ愛情表現だから受けいれてね」

皆の愛情表現であるペロペロ×6頭分を受けて、誠は唾液塗れのどこぞのエロ同人みたいになってしまった。



それにしても………。

私は誠の言葉に嘘の気配を感じた。

軽い気持ちで無防備な人がダンジョン深層まで行けるわけがないから。

誠は何かを隠しているけど、訳ありってやつなら聞く気はない。

裏社会の人々も似たようなものだからさ。

私だって、こんなに無害そうにみえてヤクザのボスだしね。

だから誠が何者でも気にしない。