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神様の朝ご飯はちなみに納豆だった

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「貴方は死にました。私のミスで、私の朝食の卵が貴方の頭に落ちて死にました」

「ストレートすぎませんか?あと、死因が酷くないですか?卵が頭に落ちて死ぬって聞いたことないよ」

「私は神です。貴方の願いを叶えましょう」

「俺はモテたことがないので、俺と一生愛し合ってくれる人がいる所に転生とかしたいです!」

「分かりました」

そんなやり取りを自称神様とやった後、俺は異世界の空にほっぽり出された。

ただほっぽり出されたのではなく、とんでもないことをされてからほっぽり出されたようだ。

実は俺はさっき風呂に入ろうとしていて、パンツ一丁の姿なのだ。

つまりほぼ全裸。

その俺のパンツがぐいっと思いっきり上に引っ張られる形で俺の身体を浮かせて、今俺は空を飛んでいる。

思いっきりパンツが俺の股に食い込んでいるから、かなり痛い。

神様、なんでよりにもよってこんな形で空飛ばしてやがる。

ほぼ変態じゃないか!!

というか痛い。

お股痛い。

本当に痛い!

神様、何考えてる!?

まさか俺をドMにでもしようと考えているのか。

なんて奴だ………!

そんな空飛ぶ変態になっている状態で、俺はどこかに運ばれた。

そしてとある男の下で着地する。

………股は痛くなくなったけれど、今度は視線が痛い。

周りの視線が痛い。

目の前にいる男の視線も本当に痛い。

そして心が痛い………。

そんな、ちょっと闇堕ちしかけている俺に対して、目の前にいる男が俺を抱きしめてくれた。

え、どうしたの急に?

「貴方がお告げにあった俺の運命の相手ですね。これから共に幸せな人生を歩みましょう」

「お告げって?」

「夢でお告げがあったのです。そのお告げの内容は、俺の運命の相手がパンツに導かれて俺の下にやってくるというものでした。先ほど、パンツを思いっきり食い込ませて空を飛んでいた貴方こそまさにその運命の相手なのでしょう」

確かに、さっきまで俺はパンツに導かれていた。

けれど、すごく不本意だ。

「あんな変態みたいな登場の仕方で俺のこと愛せるの?」

「とても神々しい程に変態な姿でしたね。何も問題ないですよ。いい変態でした」

「変態好きなの?」

「愛していますが、何か?」

「………」

なんとなく神様がやらかしたんじゃなくて、この人の好みに合わせた結果があれだったのかもしれないと俺は思い始める。

もういいかとため息を吐いて、俺も男を抱きしめた。



その後。

出会いはなんだか複雑な気持ちになる感じだったけれど、その結果幸せになれたから問題ないなと今の俺は思っている。
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