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魔王だってイチコロで惚れる

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皆に親しまれているこの国の王子エリアットは、必殺技が亀甲縛りである。

発動すると敵を強制的に亀甲縛りにするんだ。

ちなみに、これは一応スキルなのでどこからともなく縄は現れる。

穏やかな微笑みでイケメン王子様が縛ってくるんだぜ………トブよ?

実際に、縛られると強制的に状態異常【悶絶】になる。

この王子様に新たな性癖開拓された人は数しれずなのだ。



王子様の必殺技が目覚めたのは、5歳の時の誘拐事件。

近衛隊が救助に向かった先でみたものは、6人のむさ苦しい男たちが亀甲縛りされて、悶絶している姿だった。

………とても、見苦しかったと近衛隊は語る。

身の危険に晒され、王子様のスキルが目覚めた結果なのだが………何故亀甲縛り。

当然だけれど、お子様だった王子様は亀甲縛りの意味がわかっていなかった。

………そのままピュアピュアのままで育ってほしかったと周りは思ってしまったよ。



ある日、そんな王子様のもとに魔王がやってきた。

魔王がこの国を征服しようと王子様の誘拐目的できたのだ。

「貴様がエリアットだな!」

「そうですよ。貴方は魔王ですね」

「いかにも!私は誰よりも美しく・気高く・高貴な存在!魔王である!!魔王を崇めるのだ!!」

「なるほど。ナルシストなんですね」

やたらテンションの高い魔王と、至って冷静な王子様の温度差で風邪ひきそう。

それはともかく、魔王がきて周りの人々がざわめいているし、護衛も剣を抜いて警戒している。

余裕そうな魔王に、王子様は容赦なくスキルを発動してやった。

「あぁんっ!なんじゃこりゃ!?」

「亀甲縛りだよ」

さっきまで余裕だった魔王は、人々の前で亀甲縛り姿という羞恥に悶絶して気絶してしまったのだった。



その辺に放置していた魔王は、再び王子様の下にやってきた。

大きな荷物を持って、魔王は王子様の嫁になるとか笑顔で言う。

「こんな気持ちは初めてだ!私のハートを盗んだからには責任をとってもらわねばな!ということで嫁になりにきた!!」

とてもストレートな求愛だなと王子様は思った。

「なるほど、政略結婚か」

「恋愛結婚の間違いだな!」

「………僕、魔王に恋愛してないよ?」

「私は貴様に恋愛しているぞ!」

「えっ……(胸がドキドキする。もしかして、これが恋?)」

実は王子様、モテるけど求愛されたことはないのだ。

周りが周りをお互いに牽制していて、王子様に近寄ろうものなら王子様ファンクラブからの制裁行きになる。

だから、王子様は魔王のストレートな求愛にコロッと落ちてしまったのだ。

………ちなみに、王子様ファンクラブも流石に魔王には制裁できなかったのだった。



こうして、王子様と魔王は恋愛結婚をした。

そして毎晩、王子様にプレイで亀甲縛りされて魔王は可愛くアンアン鳴くのは、民にまで知られている有名な話だ。
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