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酔わせ過ぎには要注意

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ここは魔王城。

今は魔王と側近のインキュバスと天使が飲み会をしている真っ最中だ。

「あんなに小さかった魔王が、今じゃこんなに大きくなって………」

見た目は若いが二人よりずっと年上の天使はしみじみとツマミのタルトを食べる。

天使は甘党だから、ツマミはいつも甘い菓子なのだ。

「天使よ、またその話か」

天使は魔王が生まれた頃からの付き合い故に、いつまでも魔王の子供時代をネタにする。

魔王の黒歴史を山のように握る天使が苦手なのに、嫌えない………そんな魔王だった。

「魔王様、俺魔王様の小さい頃の話もっと聞きたいっす!」

インキュバスは魔王大好きだから、自分が知らない魔王の話に目がない。

天使にそっと甘いお酒をすすめて、シレッとそのアルコール度数はかなり高めを選ぶ。

全ては天使の口を酔いで軽くし魔王の情報をもっと喋らせるためだ。

「小さい頃の魔王は、一人称が僕だったんだぜ」

「天使よ!やめんか!」

「魔王様の顔が真っ赤!これはレアっすね!」

「インキュバスもやめんか!」

オモチャにされる魔王と愉快そうに笑う天使。

そして、魔王の子供時代に興奮が隠せないインキュバス……実に楽しそうである。

「初恋相手は俺で、大っきくなったら天使たんのお婿さんになるのって可愛いこと言ってた無邪気な魔王が、今は可愛さの欠片もないクールビューティー魔王になって、天使たんは寂しいぜ」

「天使よ、酔い過ぎだ………」

「まぁまぁ魔王様、もっと聞きましょう!」

「インキュバスよ、お前は調子に乗り過ぎだ!」

不機嫌に魔王はインキュバスの尻尾を引っ張り、インキュバスはその痛みにキャンキャンと喚く。

そんな二人をみて天使もインキュバスの翼を引っ張り、さらにインキュバスはキャンキャンと喚く。

「やめてやめて!?インキュバスの尻尾と翼は大事な部分なんすよ!!」

涙目のインキュバス。

しかし、魔王と天使はインキュバスを弄ぶ。

そしてインキュバスは気づいたのだ。

あ……酔わせ過ぎたんだと………。



翌日。

二日酔いに苦しむ二人と、散々弄られたせいで新しいナニかに目覚めたかもしれないインキュバス。

………酔わせ過ぎには要注意と学んだインキュバスだった。
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みんなの感想(1件)

penpen
2024.02.04 penpen

インキュバスが魔王と天使に喰われそう(´゚д゚`)

ミクリ21 (新)
2024.02.04 ミクリ21 (新)

コメントありがとうございます(⁠*⁠´⁠ω⁠`⁠*⁠)
後日、インキュバスは美味しく頂かれました(⁠≧⁠▽⁠≦⁠)

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