欠片の軌跡③〜長い夢

ねぎ(塩ダレ)

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第六章「副隊長編」

止まらない情熱 ☆

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披露宴も終わり会場はがやがやしていた。
俺はウィルをくっつけたまま、ノルに挨拶に行った。

「ノル!今日はお話出来て嬉しかったです。ありがとう。」

「僕こそ、会話ができる同い年くらいの人に会えて嬉しかった。サーク、そちらは?」

「婚約者のウィリアムです。すみません、少し酔っているようで。」

「初めまして、博士。ウィルと呼んでください。」

ウィルは俺に引っ付いたまま、笑顔で挨拶した。
手を差し出し握手を交わす。
ノルは屈託なく笑った。

「やっぱりモテるんだね~サークは。こんな美人の婚約者がいるなんて……。僕はまず、誰とでも話せるようにならないとな~。」

「誰とでも話す必要はないと思いますよ?大切だと思える人達を大切にすればいいんだと思います。数ではないですよ。」

俺もどちらかと言えば、引きこもっていたいタイプだ。
だからノルの気持ちはある程度わかる。
人見知りを気にしているようだが、それはノルが人より慎重で、そしてきっと心ない人の言葉に傷付いて来たからだ。
人は誰もが自分にとっていい人ではない。
だから誰とでも仲良くなる必要はないし、それが出来ない事を気にする必要なんかないのだ。
少なくとも俺はそう思う。
ノルは笑った。

「それがさらっと言えるところが、モテポイントなのかな~。僕も見習わないとな~。」

「博士、サークを見習うのはお止めになった方がいいですよ。サークは誰彼構わず魅了してしまうので、私はいつもやきもきしています。」

ウィルが真顔でそう言った。
いや、俺、別に誰彼構わず仲良くなんかしてないのに……。
でも、ウィルにそう言う心配をかけてる事は覚えておこう。

「あはは。モテすぎるのも考えものだね。気をつけるよ。そうだ、ちょっとふたり、そこに立ってよ。写真を撮ってあげる。」

ノルはそう言って、片付けかけていた写真機をセットした。
ウィルの顔を見ると、嬉しそうに笑っていた。
結婚式の雰囲気漂う大聖堂をバックに、写真を撮ってもらう。
何かちょっと、結婚を意識してしまった。
俺に寄り添うようにくっついていたウィル。
こんな甘えモードの状態で写真なんか残っちゃって、後で見て悶絶しそうだなと思った。
それもまた楽しい。

「出来たら送るよ。手紙も書きたいし。最近、あんまり研究してないみたいだけど、もう辞めたのかな?サーク?」

「いや、仕事で異動になったら、忙しくなってしまって、研究の時間がとれないんです。」

「そうか、簡単には研究だけで食べて行けないもんな……。残念だ。」

今は成功しているとはいえ、同じ研究者として、ノルもその辛い道のりを歩んで来たのだろう。
少しだけ何とも言えない気分になった。

ノルと別れ歩いていると、二次会に誘われた。
会場は敷地内のバーレストランらしい。
参加は自由で会費は各自持ちのようだ。
あそこのテラス席はとても素敵だ。
写真機があったら、今日のウィルをそこで写して残したいなと思う。

「主~!!行くよね!?」

いつの間にかシルクが側にいて、腕を絡めてきた。
いい感じに飲んでいるようだ。
ギルは二次会参加者を呼び掛ける人と話をしている。
多分、ふたりは出るつもりなのだろう。

「サーク?結婚式は終ったよね?」

反対側の腕からウィルが言った。
笑顔で言っているが、圧が凄い。
さすがにここで行くと言ったら婚約破棄されそうだ。

「シルク、ごめん。帰るわ。」

「ええええぇ~っ!?」

「これ以上のウィルの崩壊は避けたい……。」

「ん~、そだね。ヤバいね。」

シルクは納得してそう言った。
回りから見ても、今日のウィルの崩壊っぷりはヤバいようだ。
シルクは名残惜しそうに腕を離した…かと思ったら……。

「えいっ!!」

そう言って俺の体幹を揺らして体制を崩すと、自分の方に引っ張り、チュッと頬にキスをした。

「うわあぁぁっ!!シルク!てめえっ!!」

「あははっ!!隙あり~っ!!」

シルクはけらけら笑っている。
この酔っぱらいが!
何て事をしてくれたんだ!!
ギリギリとウィルに捕まれている腕に痛みが走る。
怖すぎて顔が向けられない。
黙って見ていたギルが、さすがにこれは大惨事になるとシルクを捕まえ、担いで拉致していった。

「ええと……ウィル…今のは不可抗力でして……。」

本当にもう!馬鹿シルク!
何で崩壊してるウィルを刺激するんだ!!
このままでいられる訳もなく、俺は恐る恐る顔を向ける。
ウィルはにっこり笑った。
……怖い~っ!!

次の瞬間、俺はウィルに唇を奪われた。
それはもう、これでもかと言うほど濃厚なのを長々かまされる。

ええええぇ!?
マジか、マジですか!?
人前でここまでしちゃうんですか!?
ウィルさん!?

俺はされるがまま、ねっとりしたキスを受け止め続けた。
最後に、チュッと音をさせてウィルの顔が離れる。
いやもう、待って!?
こっちは頭の中、真っ白だよ!!
ウィルはキラキラの笑顔で言った。

「帰ろうね?サーク?」

ヤバい……。
今日、俺、ウィルに食われるかもしれない……。

ウィルの顔はあからさまに欲情していた。
妖艶でいかにも捕食者の顔で笑っている。
こんな顔のウィルを人目にさらすとか、勘弁してくれ!!
俺はギルを見習ってウィルを担ぐと、姿隠しを使ってその場を離れた。








何とか家に帰ってきた。
ウィルは一階の玄関を開けるなり、俺を押し倒した。
階段に体を打ち付けて痛い。
そのまままた深く口付けられる。

「ウィル……待て……っ!!」

「俺がどれだけ我慢してたか、わかる?」

「わかった!わかったから……うっ!!」

のし掛かられて唇を奪われる。
階段の角に頭がぶつかって痛い。
でもウィルはそんな事、お構いなしにキスを続ける。

………俺がいくら性欲が無くったって、愛する人に、ここまで強く求められて、わからない訳がない。
背中は痛いが、俺はウィルの背に腕を回した。
お互いの口を吸いながら、ウィルの背中や腰、そして臀部を撫でる。
そのまま服越しに、蕾を刺激した。

「あ……っ…サーク……っ!!」

欲情に溺れたウィルがぴくんと体を跳ねさせた。
俺はそれでもウィルを離さず、口を貪った。
ウィルの腰が揺れ、欲に膨れ上がった股間を俺に擦り付ける。
はっきり言って、階段に押し倒されている俺は痛いのだが、ウィルの状況から考えるとそれどころではない。
俺はウィルの頭を押さえて、執拗に口を犯し、蕾を刺激し続けた。

「あ…っ!あ…っ!」

ウィルはキスの合間に小さく声を上げながら、リズミカルに腰を揺らして俺に擦り付ける。
俺は臀部を掴んで、ウィルの動きに合わせて力を加えた。
自分の力を以上に強く押し付けられ、擦れるので、ウィルが小さく悲鳴を上げた。
ヤバいな、エロ過ぎて可愛い。
俺はウィルを抱く腕に力を込め、ぐりぐりと責めてやった。
次第にカタカタとウィルの体が震え、力が抜けていく。
ぐちゅっと舌を吸い上げ、口を離した。

「ん……。」

「ベッドまで待てるね?ウィル?」

ウィルは頷くと、くたっと俺に身を預けた。
体を起こして抱き上げると、作ったばかりの礼服には、大きなシミが出来ている。
後で魔術を使って染み抜きしないと。
階段に押し付けられていた体が痛かったが、俺はウィルを抱えて、ベッドまで運んだ。
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