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遭遇
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ごんぞうの家は静かだった。僕たちがドアの前に立った時、ごんぞうが後ろに立っていた。
ごんぞうは気配もさせずにすぐ後ろに立っていたから、僕たちは心臓が止まるかと思うほど驚いた。そして、その後ろには陸がいたので呆然とした。
「坊ちゃま、何か御用ですか。」
「ええと、友人を連れて来たんだ。できれば2人で馬に乗りたいと思ったんだ。」
「お友達の事は旦那様に聞いてみませんと。」
「そうだよな。2人で乗るくらいはいいかな。」
「それもやはり聞いてみませんと。」
「そうか、そうだろうな。」
「ところで坊ちゃま、こちらは旦那様の遠縁の陸様です。今日ごんぞうの家に来られました。陸様、ご長男の鈴木 新様ですよ。」
「鈴木 陸と言います。よろしくお願いします。」
僕は何と言っていいか分からなかった。一真が肘で僕の脇腹をつついた。
はっと我に帰ってどもりながら、やっとこれだけ言った。
「あ、はじめまして。こちらこそよろしく。」
「なあ、新、フィギアを見せてくれよ。陸君も一緒に行かないか。」
一真はさり気なく陸を誘った。
一真は何度か家に来ていたし、陸を家に入れることを拒む理由はなかった。
「え、いいんですか。」
陸はごんぞうの様子も気にかけているようだった。
「かまわないよ、ぜひ来てくれ。ごんぞう、3人で少しフィギアを見て来るよ。3人ともしばらく僕の部屋にいるからね。」
「わかりました。旦那様、奥様にご報告しておきましょう。」
「母には僕から言っておくし、いつもの事だから、報告する必要はないと思うけどな。」
玄関を開けると、母が待っていた。
「一真と陸君が遊びに来たんだ。一真には久し振りにフィギアを見てもらうんだ。」
「まあ、陸君はごんぞうの所じゃなかったの?陸君は来年から高校生になるの。お父様から今日話があるはずだったのよ。」
「せっかくだから、陸君も一緒に来てもらったのさ。」
僕たちは部屋に入っても何から話していいのか分からなかった。
「あれからどうしてた?いつ見つかったんだ?」
陸が話し始めた。
「あの後、3時間ほどしてだ。敷地の周りは崖で囲まれていて、落ちたら奈落の底だ。助かる見込みはなかった。どこか逃げ出せるところはないか探すうちに見つかったんだ。電源が復旧して監視カメラに発見されたと思う。」
「手荒な真似はされなかったか。」
「うん、素直に捕まったからな。逃げきれないと観念したと思ったんだろう。」
陸は続けた。
「僕はこれまで、母と二人で暮らしてきたんだ。それが急にここに連れてこられた。母が心配で隙をついて逃げようとしたんだ。夕方6時になると決まった男がやってきて、ごんぞう夫婦は寝室に入る。朝9時に男がやってくるまで、外には出てこないんだ。だから、夜、僕は地下室に閉じ込められていたが、ドアをこじ開けて逃げたんだ。」
一真が口をはさんだ。
「ごんぞう夫妻はアンドロイドだ。男はメンテナンスに来てるんだ。夕方6時にリセットしてスリープモードにする。そして朝、起動するんだ。」
「一度目は見知らぬ男たちが犬を連れてやってきてすぐ捕まっただろう。今度は明け方逃げたんだ。そして監視カメラの電源を切った。出てきてすぐ僕に似ている君に会った。どっちに行けばいいんだろうと迷っていると君が助けてくれたんだ。」
陸は一気に話した。
「雨を避けてしばらく洞穴のようなところで休んでから、出口はないか探したのさ。」
「まるで、グランドキャニオンのように周囲は切り立った崖に囲まれていたんだ。」
「逃げ道は見つからなくて、結局何もできなかった。」
一真は何か考えているようだった。
「電源が復旧したんだな。おそらく、それは映像だろうな。」
その言葉が終わろうとした時、突然扉が開いた。
ごんぞうは気配もさせずにすぐ後ろに立っていたから、僕たちは心臓が止まるかと思うほど驚いた。そして、その後ろには陸がいたので呆然とした。
「坊ちゃま、何か御用ですか。」
「ええと、友人を連れて来たんだ。できれば2人で馬に乗りたいと思ったんだ。」
「お友達の事は旦那様に聞いてみませんと。」
「そうだよな。2人で乗るくらいはいいかな。」
「それもやはり聞いてみませんと。」
「そうか、そうだろうな。」
「ところで坊ちゃま、こちらは旦那様の遠縁の陸様です。今日ごんぞうの家に来られました。陸様、ご長男の鈴木 新様ですよ。」
「鈴木 陸と言います。よろしくお願いします。」
僕は何と言っていいか分からなかった。一真が肘で僕の脇腹をつついた。
はっと我に帰ってどもりながら、やっとこれだけ言った。
「あ、はじめまして。こちらこそよろしく。」
「なあ、新、フィギアを見せてくれよ。陸君も一緒に行かないか。」
一真はさり気なく陸を誘った。
一真は何度か家に来ていたし、陸を家に入れることを拒む理由はなかった。
「え、いいんですか。」
陸はごんぞうの様子も気にかけているようだった。
「かまわないよ、ぜひ来てくれ。ごんぞう、3人で少しフィギアを見て来るよ。3人ともしばらく僕の部屋にいるからね。」
「わかりました。旦那様、奥様にご報告しておきましょう。」
「母には僕から言っておくし、いつもの事だから、報告する必要はないと思うけどな。」
玄関を開けると、母が待っていた。
「一真と陸君が遊びに来たんだ。一真には久し振りにフィギアを見てもらうんだ。」
「まあ、陸君はごんぞうの所じゃなかったの?陸君は来年から高校生になるの。お父様から今日話があるはずだったのよ。」
「せっかくだから、陸君も一緒に来てもらったのさ。」
僕たちは部屋に入っても何から話していいのか分からなかった。
「あれからどうしてた?いつ見つかったんだ?」
陸が話し始めた。
「あの後、3時間ほどしてだ。敷地の周りは崖で囲まれていて、落ちたら奈落の底だ。助かる見込みはなかった。どこか逃げ出せるところはないか探すうちに見つかったんだ。電源が復旧して監視カメラに発見されたと思う。」
「手荒な真似はされなかったか。」
「うん、素直に捕まったからな。逃げきれないと観念したと思ったんだろう。」
陸は続けた。
「僕はこれまで、母と二人で暮らしてきたんだ。それが急にここに連れてこられた。母が心配で隙をついて逃げようとしたんだ。夕方6時になると決まった男がやってきて、ごんぞう夫婦は寝室に入る。朝9時に男がやってくるまで、外には出てこないんだ。だから、夜、僕は地下室に閉じ込められていたが、ドアをこじ開けて逃げたんだ。」
一真が口をはさんだ。
「ごんぞう夫妻はアンドロイドだ。男はメンテナンスに来てるんだ。夕方6時にリセットしてスリープモードにする。そして朝、起動するんだ。」
「一度目は見知らぬ男たちが犬を連れてやってきてすぐ捕まっただろう。今度は明け方逃げたんだ。そして監視カメラの電源を切った。出てきてすぐ僕に似ている君に会った。どっちに行けばいいんだろうと迷っていると君が助けてくれたんだ。」
陸は一気に話した。
「雨を避けてしばらく洞穴のようなところで休んでから、出口はないか探したのさ。」
「まるで、グランドキャニオンのように周囲は切り立った崖に囲まれていたんだ。」
「逃げ道は見つからなくて、結局何もできなかった。」
一真は何か考えているようだった。
「電源が復旧したんだな。おそらく、それは映像だろうな。」
その言葉が終わろうとした時、突然扉が開いた。
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