17 / 17
説得
しおりを挟む
僕は2人にどう説明すればいいかわからなかった。
若き日の父が仲間たちと別れる原因になったのは父のせいではないだろうか。とすれば、僕の家に来るように説得するのは難しそうだ。
当初父も心酔していた徐福計画は邪悪なものなのだろう。
美由紀や丈がいる寮は強大な力を持つようになった元部下の支配下にあるのだろうか。佐藤の説明だけでは僕自身も現状がつかめなかった。
美由紀や丈は学校と寮の往復しか認められなかったと言っている。説得するなら、現実的な説明が必要だ。
僕は佐藤に向かって言った。
「父は不老不死という途方もない目的をもって徐福計画を進めてきた。15年程前から、間違いに気づいた父は徐福計画を阻止しようと動いている。
計画を進めてきた父の部下は今では協力者を得て強大な力を持っている。かつて父と事業を始めた鈴木グループ創設者の縁者である美由紀と丈のいる寮にも彼らの力が及んでいるから、僕の家に来るんだ。そういうことだろう。
こんな説明をいきなりして、説得なんてできないよ」
佐藤はじっと僕を見つめると、少し唇の両端を上げながら答えた。
「その通りです。お父様にお話してきます」
30分ほどしてもどってきた佐藤はいくつかの画像を見せた。
「15年前、少年の頃の私です。もう一人は双子の弟です。僕たちは同じ代理母から生まれたクローンでした」
佐藤の声ははっきりとしていた。
「20体ほど作られた胚のうちまともな5個が代理母に託されました。そして生まれたのは僕たち2人だけでした」
他にも4人の代理母いて、それぞれ5個ずつ胚が入れられました。そして少年になるまで成長できたのは僕たち2人だけです。クローンを作るのは今もたやすい事ではない。そして15年前、弟は臓器提供者となって逝ってしまったのです」
佐藤が見せた画像にはクローンを作るために作業している研究者達の姿があった。そして人として形を成さない生物達が廃棄されていた。
陸と僕は事情を説明するために動画や画像を選んだ。
「今までの様な、何もなかったような日々は戻らないな」
一真がつぶやいた。
「遅かれ早かれ、皆様の協力は必要になると思っていました。クローンの権利は限られています。これからの事は皆様にたくされています」
大人たちはいつも未来は若者に託されていると無責任なことを言う。
僕達は身勝手な大人たちが腹立たしかった。
「あかりを巻き込みたくはなかったが」
少し沈黙してから一真が続けた。
「あかりのおばあちゃんにも協力してもらわなければ」
あかりの祖母は創設期のメンバーの一人だった。
「さくらは?彼女だけつまはじきにはできないだろう
若き日の父が仲間たちと別れる原因になったのは父のせいではないだろうか。とすれば、僕の家に来るように説得するのは難しそうだ。
当初父も心酔していた徐福計画は邪悪なものなのだろう。
美由紀や丈がいる寮は強大な力を持つようになった元部下の支配下にあるのだろうか。佐藤の説明だけでは僕自身も現状がつかめなかった。
美由紀や丈は学校と寮の往復しか認められなかったと言っている。説得するなら、現実的な説明が必要だ。
僕は佐藤に向かって言った。
「父は不老不死という途方もない目的をもって徐福計画を進めてきた。15年程前から、間違いに気づいた父は徐福計画を阻止しようと動いている。
計画を進めてきた父の部下は今では協力者を得て強大な力を持っている。かつて父と事業を始めた鈴木グループ創設者の縁者である美由紀と丈のいる寮にも彼らの力が及んでいるから、僕の家に来るんだ。そういうことだろう。
こんな説明をいきなりして、説得なんてできないよ」
佐藤はじっと僕を見つめると、少し唇の両端を上げながら答えた。
「その通りです。お父様にお話してきます」
30分ほどしてもどってきた佐藤はいくつかの画像を見せた。
「15年前、少年の頃の私です。もう一人は双子の弟です。僕たちは同じ代理母から生まれたクローンでした」
佐藤の声ははっきりとしていた。
「20体ほど作られた胚のうちまともな5個が代理母に託されました。そして生まれたのは僕たち2人だけでした」
他にも4人の代理母いて、それぞれ5個ずつ胚が入れられました。そして少年になるまで成長できたのは僕たち2人だけです。クローンを作るのは今もたやすい事ではない。そして15年前、弟は臓器提供者となって逝ってしまったのです」
佐藤が見せた画像にはクローンを作るために作業している研究者達の姿があった。そして人として形を成さない生物達が廃棄されていた。
陸と僕は事情を説明するために動画や画像を選んだ。
「今までの様な、何もなかったような日々は戻らないな」
一真がつぶやいた。
「遅かれ早かれ、皆様の協力は必要になると思っていました。クローンの権利は限られています。これからの事は皆様にたくされています」
大人たちはいつも未来は若者に託されていると無責任なことを言う。
僕達は身勝手な大人たちが腹立たしかった。
「あかりを巻き込みたくはなかったが」
少し沈黙してから一真が続けた。
「あかりのおばあちゃんにも協力してもらわなければ」
あかりの祖母は創設期のメンバーの一人だった。
「さくらは?彼女だけつまはじきにはできないだろう
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
義務ですもの。
あんど もあ
ファンタジー
貴族令嬢の義務として親の決めた相手に嫁いだが、夫には愛する人がいた。夫にないがしろにされても、妻として母として嫁としての義務を果たして誠実に生きたヒロインの掴んだ、ちょっと歪んだ幸せとは。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
元公爵令嬢は年下騎士たちに「用済みのおばさん」と捨てられる 〜今更戻ってこいと泣きつかれても献身的な美少年に溺愛されているのでもう遅いです〜
日々埋没。
ファンタジー
「新しい従者を雇うことにした。おばさんはもう用済みだ。今すぐ消えてくれ」
かつて婚約破棄され、実家を追放された元公爵令嬢のレアーヌ。
その身分を隠し、年下の冒険者たちの身の回りを世話する『メイド』として献身的に尽くしてきた彼女に突きつけられたのは、あまりに非情な追放宣告だった。
レアーヌがこれまで教育し、支えてきた若い男たちは、新しく現れた他人の物を欲しがり子悪魔メイドに骨抜きにされ、彼女を「加齢臭のする汚いおばさん」と蔑み、笑いながら追い出したのだ。
地位も、居場所も、信じていた絆も……すべてを失い、絶望する彼女の前に現れたのは、一人の美少年だった。
「僕とパーティーを組んでくれませんか? 貴方が必要なんです」
新米ながら将来の可能性を感じさせる彼は、レアーヌを「おばさん」ではなく「一人の女性」として、甘く狂おしく溺愛し始める。
一方でレアーヌという『真の支柱』を失った元パーティーは、自分たちがどれほど愚かな選択をしたかを知る由もなかった。
やがて彼らが地獄の淵で「戻ってきてくれ」と泣きついてきても、もう遅い。
レアーヌの隣には、彼女を離さないと誓った執着愛の化身が微笑んでいるのだから。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる