完結 殿下、婚姻前から愛人ですか? 

ヴァンドール

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1話

 アンダーソン公爵は娘に言った。

「ルナ、幾ら王命だからといって何も初めから公妾がいるような男のところになど嫁ぐ必要はない。なんなら家族皆で隣国へ行ってもいいのだぞ」

 父はかなり怒ったご様子。
 
「お父様のお気持ちは嬉しいのですが、もし私達がいなくなってしまったら領民達はどうなってしまうのです? それに弟のアレクの将来だって、どうなさるおつもりですか? それでは永年この領地を守ってこられた御先祖様に、申し訳が立ちません」

 私は毅然と言った。そう言われてしまうと父は黙るしかなかった。
 
「お父様、私なら大丈夫です。初めから殿下に期待などしていませんから、それに公妾だなんて上等じゃないですか、私は私でやりたい事をやらせて頂きますからどうぞご心配なく」
 
「だが、デイビスくんのことは良いのか?」

 痛いところを突いてきた。
 確かにデイビス様のことはお慕いしていますが、王命とあれば誰にもどうすることもできないのです。

「デイビス様との間にはまだ正式なお話しがある訳ではありませんので」

 そう言うしかありませんでした。 
 
「それに私には、やりたい事、やらなくてはいけない事があるのです。
 だから黙って見守っていてください。
 もし本当に無理な時には、お父様に弱音を吐きに参りますから」

 この時、私はある決意をしていた。
 それは父には内緒で、陛下にお目通りを願い出た際に約束をして頂いたある件のこと。

 私が嫁ぐ際に公爵家が用意する持参金と、その他に陛下に出して頂きたいと願いでた資金を全て、私の私財として扱って欲しいとお願いをしていた。
 そして詳しい内容については、全て陛下にお話をし、それを聞き終えた陛下は仰った。

「この件は王妃にも伝えよう、きっとナタリーなら其方の助けになるだろう。あやつも同じ様なことを考えておったからな」

 それを聞き、私は必ずやり遂げてみせると心に誓った。


 私とデイビス様は同じ学院に通い、同じ先生に師事していた。
 その先生からは、本当に多くの事を学ばせていただいた。
 例えば政治のこと、税、戦争、そして貧富の差など、その他にも沢山の事を教えていただいた。
 そして先生は、私とデイビス様に言いました。

「公爵家に生まれた君達だからこそ、出来る事があるんじゃないのか? 私はその時の為に、今知っておいて欲しい事を伝えているだけだよ」

 そう仰いました。そして在学中、世の中の多くの事を教えていただき、その時に学んだ事を役立てる為、私とデイビス様は同じ目標に向かって歩んで行こうと誓い合ったのでした。
 それなのに、まさかこんな理不尽な王命が降されるとは夢にも思っていなかった。
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