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24話
しおりを挟む婚姻の義のあと、エマ嬢が一緒にいた男性を連れ、挨拶に訪れてくれた。
そして私達に彼を紹介してくれた。
「こちらは私のビジネスパートナーのレイモンドよ。今、私は彼のお父様が営んでいるザニール商会を手伝っているの」
すると彼が少し怒ったように言った。
「おいおい、ビジネスパートナーは酷いじゃないか」
「あら、だって事実でしょ?」
「俺は何度も君に結婚を申し込んでいるのに、はぐらしてばかりじゃないか」
「だ・か・ら・今はビジネスパートナーであっているでしょ?」
「あくまでも『今』だけだ」
そしてエマ嬢はキツいことを平然と、言ってのける。
「私、おしゃべりな男性は嫌いよ」
すると彼が言い訳のように返した。
「これはあくまでもおしゃべりではなく説明だ」
いつまでも終わりそうもない会話の応酬だ。
ルナ嬢と私は思わず吹き出してしまった。
すると今度はエマ嬢が怒りながら聞いてきた。
「何がおかしいのかしら?」
「なんだか二人共、似ているなと思っただけだ」
そう言って、今迄の経緯を聞いた。
何でもあの後、リンドバーグで商会を立ち上げる為、姉のシャーロット妃に相談したところ王室と取引のあるザニール商会で少しの間、学んだらどうかとなって、そこの会長のご子息であるレイモンド氏を紹介され、その後、色々と商会について学んでいくうちに親しくなったという。
そして今度マイヤー国にエマ嬢も出資をして支店を出すことになり視察を兼ねて来たそうだ。
その後、父であるブラバント公爵に我々の結婚式のことを聞き急遽、出席してくれることになったという。
エマ嬢にその支店に適した場所はないか、相談に乗って欲しいと頼まれた私は勿論、二つ返事で了承した。
「ザニール商会といえばリンドバーグでも一、二を争う商会ではないか」
「そうなのよ、本当は私が一から立ち上げて一番にしようと思っていたのに」
するとまた彼が怒っている。
「二人でザニール商会をもっと大きくしていけば良いではないか」
やれやれまた始まったぞ、とルナ嬢を見ると楽しそうに微笑んでいた。
その後は具体的に商会の内容を聞き、希望するおおよその場所を絞ってもらい、幾つかの提案をした。
取り敢えず今日はその話しを持ち帰えり、明日はもっと詰めた話しをしようと伝えると、リンドバーグで大事な商談がある為、明日の午後にはこちらを経たないと間に合わないと言うので後日、まずは手紙のやり取りで打ち合わせをすることとし、その日は別れた。
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