完結 虐げられ令嬢はたくましく生きます

ヴァンドール

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7話

 夕食を終え片付けを手伝っていると一人の女の子が寄ってきて

「お姉ちゃん、明日も絵本読んでね」

 と言って去って行った。
 それを聞いていたシスターが、あの子は特に絵本が好きなんだけれど、ここに居るシスター全員が字を読める訳では無いからと言っていた。
 なんでも聖書が読めるように勉強中のシスターが二人いて、それ以外のシスター達は残念ながら読む事が出来ないという。完全に読み書き出来るのは神父様だけだそうだ。

 私は次の日、朝食の片付けが終わり、掃除の手伝いをしていると昨日絵本を読んでねと言った子が側に来た。

「今日はいつ読んでくれるの?」 
 
「お姉ちゃんはこの後、お昼ご飯のお片付けが終わったら、街に行ってお仕事を探がさなくてはいけないので、そうね、昨日と同じ位の時間だったら大丈夫よ」

「えーそんなに待つの?」
 
「ごめんね、なるべく早く帰って来るから良い子にして待っていてね」

 と伝えた。


 午後になり神父様に許可を取り、街に出た。
 そして食堂やパン屋さんなど何件か回ったが、どこも家族でやっていて人を雇う余裕なんて無いよと言われてしまった。
 確かにどこも家族経営の商店が殆どだった。
 もっと簡単に見つかると思っていたが甘かったようだ。
 取り敢えず今日のところは諦めて教会へと戻った。

 教会へ着くと正面に立派な馬車が止まっていた。
 中へ入るとひとりのシスターが教えてくれた。

「今、ここの土地の領主様がいらしているの。この教会にも沢山の寄付をして下さっているのよ」
 
 そして仕事は見つかったか、と聞かれたが今日行った店の事情を伝えたら、そんなに焦らなくても神父様はお優しい方だから大丈夫よと言ってくれた。
 そして夕食の支度まで時間がありそうなので今朝の少女の所へ行った。
 そして昨日の続きから絵本を読んで聞かせてから、少女に自分で読めるようになるともっと楽しいよ、良かったらお姉ちゃんが教えるから字を読むお勉強してみる?  
 と聞くと、やってみたいと答えてくれたので、早速自分の部屋へ行き鞄から紙とペンを持って、少女の所へ戻った。
 そして、先ずは基礎から教え始めた。
 すると他の子供達も集まってきたので皆で字のお勉強を始めた。
 そして皆が楽しく学べる様に自分なりに工夫をしながら教え始めていると、そこへ神父様とのお話を終えた領主様、確かここはバーグ侯爵領だから侯爵様ね、その方が子供達の所へやって来た。

「皆、何しているのかな?」

 そうしたら皆、大きな声で答えた。

「字のお勉強ー」

 すると侯爵様が、驚いた顔で私が書いている紙を覗き込んできた。

「君が教えているのか?」
 
「はい、今始めたばかりですが」  
 
 すると神父様に何か話し掛けながら去って行かれた。
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