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72話
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リリアーナ王女が帰られてからまもなくして、私とルイス様の正式な婚約が交わされ、国民へと発表された。そして結婚式は一年後と決まった。
心配されたブドウの台木も思った以上に用意され、順調に接木も進められた。
しかしブドウは接木してから本格的に収穫できるまで三年から五年はかかるという。それまでは農家に対しては納税が免除され、尚且つ国から一定の補助金が出ることとなった。それら全ては議会で可決されたそうだ。
そして王宮としても農家への寄付がされることになったという。
それに関してはルイス様が決められた。微力ながらも今では私の本の印税もかなりの額が見込まれているので、寄付をさせてもらうことにした。
こうして私も順調に小説を書くことができ、今ではサイン会も開催されている。
素性を隠す必要がなくなった私は、将来の王妃という肩書きも加わり、今までとは比べ物にならない程の売り上げを伸ばした。
ルイス様はもしも何かあったらと心配なさってサイン会は辞めるようにと言われたが、せめて結婚式を迎えるまではとお願いをしたら、しっかりと護衛の方をつけられてしまった。
思わず『本当に心配性なんだから』と呟いた。
ところがそのおかげで命までは落とさなくて済んだことは、この時の私はまだ知る由もなかった。
結婚式を三ヶ月後に控えていたある日の午後、サイン会に出席していた私は、一人の男に襲われた。
その男は私の書いた小説を持って並んでいて、自分の順番が回ってくると内ポケットに隠していたナイフのようなもので私を刺そうと刃を向けてきた。
咄嗟に右腕を庇い背中を向けたら、その背中を勢いよく刃が突き刺した。
そしてその男は『お前さえいなかったらこんなことには』と叫んでいたが、私の意識は薄れていき、その先は聞こえなかった。
その男は直ちに護衛の者に取り押さえられたそうだが、かなりの出血をした私は気を失ってしまったので、その先のことはわからなかった。
そして気がついた時には王宮のルイス様の寝室に寝かされていた。
丸一日、目を覚まさなかったという私が目覚めると周りには私の手を握ったままのルイス様と、泣き崩れたエマ先生、そしてオリビア様とクリス様までもが私を取り囲む形で座っていらした。
エマ先生は私の手を握りしめて泣いている。
「私のせいでごめんなさい」
ルイス様はもう片方の手を握ったまま涙ぐんでいる。
「目覚めて本当に良かった」
そしてオリビア様とクリス様は二人手を取り合ってホッとした様子だ。
後になり全ての説明を受けた私は、犯人がまさかあの婚姻無効となったウィンチェスター侯爵だったとは夢にも思わなかったが、刺された時に聞いたあの声は確かに聞き覚えがあった。
なんでも私が去った後に、マリアさんに多額の慰謝料を払わされ、乗り換えようとしていた子爵家のご令嬢にもマリアさんの存在がバレてかなりの慰謝料を払わされたそうだ。その上、領地から出てこられたご両親にも全てがばれて、そのため、縁戚より養子を迎えられてからは、お金は全て管理され、社交界でも噂が広がり全く相手にされなかったらしい。
それで私を襲うなんて、とんだ逆恨みでしかない。
確かにエマ先生が仕組んだこととはいえ、最終的には自業自得だ。
だからエマ先生には自分を責めて欲しくない。
エマ先生は『私が追い詰めたせいで恨みが貴女に向いてしまった』と仰るけれど、私は少しも先生のせいだなんて思っていない。
むしろ先生は私のためにやってくれたことなのだから。
それにしてもこんな事件を起こしたら、犯罪者となり多分爵位剥奪となるはずだ。
なんと短絡的なことをしたのだろうか。おとなしくしていれば静かに生きてはいけたのに、と思わずにはいられなかった。
心配されたブドウの台木も思った以上に用意され、順調に接木も進められた。
しかしブドウは接木してから本格的に収穫できるまで三年から五年はかかるという。それまでは農家に対しては納税が免除され、尚且つ国から一定の補助金が出ることとなった。それら全ては議会で可決されたそうだ。
そして王宮としても農家への寄付がされることになったという。
それに関してはルイス様が決められた。微力ながらも今では私の本の印税もかなりの額が見込まれているので、寄付をさせてもらうことにした。
こうして私も順調に小説を書くことができ、今ではサイン会も開催されている。
素性を隠す必要がなくなった私は、将来の王妃という肩書きも加わり、今までとは比べ物にならない程の売り上げを伸ばした。
ルイス様はもしも何かあったらと心配なさってサイン会は辞めるようにと言われたが、せめて結婚式を迎えるまではとお願いをしたら、しっかりと護衛の方をつけられてしまった。
思わず『本当に心配性なんだから』と呟いた。
ところがそのおかげで命までは落とさなくて済んだことは、この時の私はまだ知る由もなかった。
結婚式を三ヶ月後に控えていたある日の午後、サイン会に出席していた私は、一人の男に襲われた。
その男は私の書いた小説を持って並んでいて、自分の順番が回ってくると内ポケットに隠していたナイフのようなもので私を刺そうと刃を向けてきた。
咄嗟に右腕を庇い背中を向けたら、その背中を勢いよく刃が突き刺した。
そしてその男は『お前さえいなかったらこんなことには』と叫んでいたが、私の意識は薄れていき、その先は聞こえなかった。
その男は直ちに護衛の者に取り押さえられたそうだが、かなりの出血をした私は気を失ってしまったので、その先のことはわからなかった。
そして気がついた時には王宮のルイス様の寝室に寝かされていた。
丸一日、目を覚まさなかったという私が目覚めると周りには私の手を握ったままのルイス様と、泣き崩れたエマ先生、そしてオリビア様とクリス様までもが私を取り囲む形で座っていらした。
エマ先生は私の手を握りしめて泣いている。
「私のせいでごめんなさい」
ルイス様はもう片方の手を握ったまま涙ぐんでいる。
「目覚めて本当に良かった」
そしてオリビア様とクリス様は二人手を取り合ってホッとした様子だ。
後になり全ての説明を受けた私は、犯人がまさかあの婚姻無効となったウィンチェスター侯爵だったとは夢にも思わなかったが、刺された時に聞いたあの声は確かに聞き覚えがあった。
なんでも私が去った後に、マリアさんに多額の慰謝料を払わされ、乗り換えようとしていた子爵家のご令嬢にもマリアさんの存在がバレてかなりの慰謝料を払わされたそうだ。その上、領地から出てこられたご両親にも全てがばれて、そのため、縁戚より養子を迎えられてからは、お金は全て管理され、社交界でも噂が広がり全く相手にされなかったらしい。
それで私を襲うなんて、とんだ逆恨みでしかない。
確かにエマ先生が仕組んだこととはいえ、最終的には自業自得だ。
だからエマ先生には自分を責めて欲しくない。
エマ先生は『私が追い詰めたせいで恨みが貴女に向いてしまった』と仰るけれど、私は少しも先生のせいだなんて思っていない。
むしろ先生は私のためにやってくれたことなのだから。
それにしてもこんな事件を起こしたら、犯罪者となり多分爵位剥奪となるはずだ。
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