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週刊誌記者の思惑
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数日後、ある編集部の一室。
週刊誌記者の原は、扉を開けて現れた二人を見て目を細めた。
「おお、君か。久しぶりだな」
「お久しぶりです、原さん」
声の主は、大和の現マネージャーであるアスカ。
「三年ぶりか?」
「はい。原さんのおかげで、私は今すごく幸せです」
「それはこっちのセリフだ。君のおかげで、僕も編集長にまで上り詰めたんだからな。……大和は元気か?」
「ええ、もちろん」
「そうか、なら良かった」
そのやりとりのあと、女は封筒を差し出した。
「今回も原さんに喜んでいただけるネタを入手しました」
中を覗いた原は、にやりと笑う。
「ははは。君は、とことん大和を落とし入れるんだなぁ」
女の目は、どこか狂気を帯びていた。
「逆ですよ、原さん。彼を完全に、私のものにしたいだけです」
⸻
そして、事務所。
社長の机の上には、一枚の写真。そこには、泣く愛を抱きしめるヤングの姿が写っていた。
「愛ちゃん、これはどういうことかな?」
「……シンガーソングライター愛、敏腕プロデューサーyoungと交際か?……どうして、この写真……」
「付き合ってるのかい?ヤングと」
「いえ。付き合ってません。ただ、励ましてもらっていただけです」
社長は無表情で椅子にもたれかかる。
「そう。……愛ちゃんはデビュー当初、大和にプロデュースしてもらっていたよね?その後、二年の休止。そして復帰作も大和だった。けど事件で全部潰れた」
「……はい」
「その後はヤングと組んで、そこそこヒットは出した。だが、最大の成功はやはり大和の手によるデビュー曲だ。君と大和は相性が良かった。でも大和はもう使えない。だから――君には話題性が必要なんだ」
社長の言葉は鋭く、逃げ道を塞ぐ。
「来週の授賞式で、ヤングと付き合っていると明言しなさい。そうすれば注目を集められる。そしてヤングの新曲をリリースする。完璧だ」
「……」
「歌が好きなんだろう?より多くの人に届けたいんだろう?」
愛は唇を噛みしめた。
「……はい」
「じゃあ、やるしかない。このままだとクビになっちゃうよ」
その言葉に私は何も返すことができず、ただ頷くことしかできなかった。
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週刊誌記者の原は、扉を開けて現れた二人を見て目を細めた。
「おお、君か。久しぶりだな」
「お久しぶりです、原さん」
声の主は、大和の現マネージャーであるアスカ。
「三年ぶりか?」
「はい。原さんのおかげで、私は今すごく幸せです」
「それはこっちのセリフだ。君のおかげで、僕も編集長にまで上り詰めたんだからな。……大和は元気か?」
「ええ、もちろん」
「そうか、なら良かった」
そのやりとりのあと、女は封筒を差し出した。
「今回も原さんに喜んでいただけるネタを入手しました」
中を覗いた原は、にやりと笑う。
「ははは。君は、とことん大和を落とし入れるんだなぁ」
女の目は、どこか狂気を帯びていた。
「逆ですよ、原さん。彼を完全に、私のものにしたいだけです」
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そして、事務所。
社長の机の上には、一枚の写真。そこには、泣く愛を抱きしめるヤングの姿が写っていた。
「愛ちゃん、これはどういうことかな?」
「……シンガーソングライター愛、敏腕プロデューサーyoungと交際か?……どうして、この写真……」
「付き合ってるのかい?ヤングと」
「いえ。付き合ってません。ただ、励ましてもらっていただけです」
社長は無表情で椅子にもたれかかる。
「そう。……愛ちゃんはデビュー当初、大和にプロデュースしてもらっていたよね?その後、二年の休止。そして復帰作も大和だった。けど事件で全部潰れた」
「……はい」
「その後はヤングと組んで、そこそこヒットは出した。だが、最大の成功はやはり大和の手によるデビュー曲だ。君と大和は相性が良かった。でも大和はもう使えない。だから――君には話題性が必要なんだ」
社長の言葉は鋭く、逃げ道を塞ぐ。
「来週の授賞式で、ヤングと付き合っていると明言しなさい。そうすれば注目を集められる。そしてヤングの新曲をリリースする。完璧だ」
「……」
「歌が好きなんだろう?より多くの人に届けたいんだろう?」
愛は唇を噛みしめた。
「……はい」
「じゃあ、やるしかない。このままだとクビになっちゃうよ」
その言葉に私は何も返すことができず、ただ頷くことしかできなかった。
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