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3話
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翌日、マリアは街の中にいた。
左手には硬貨の入った小袋が入った買い物用のバスケットを持ち、右手には買い物するものを書いた紙を持ち服装も何時ものスリットの入っていない修道服だ。
教会を出たところで辺りを見回し少し嬉しさの籠った言葉を心の中で紡ぐ。
(街は……そこまで変わってませんね)
マリアが住む教会がある街の名前は『フリューゲル』。滅魔戦争において拠点の一つとなった要塞都市だ。
十字架のような形の街を囲むように城塞があり外部からの攻撃を防ぎやすい仕掛けが幾つもの作られている。
街は発展しており、まだ朝早いのに人混みが出来ている。
その中をマリアは当たり前のように背を伸ばして歩く。
『ねぇ、あの人。何で仮面を着けてるのかしら……』
『さぁ……。二年前の戦争で怪我を負ったからかしら……』
『痛ましいわねぇ……』
通りすがりの婦人からの声にはどこか憐れみが混じっていた。
今、マリアの顔には仮面が着けている。白を基調とした丸みのおびた仮面で、顔を完全に覆い隠している。この仮面は、マリアが自作したもので人前に出るときは基本この仮面を着けている。
これはマリアが外に出ると人の視線を向かれやすいからである。
マリアのその美しい顔立ちと完全に線対象の身体、その肉付きも良いため人の目を向けられやすく、犯罪にも巻き込まれやすい。
それを危惧したエリーゼがマリアに提言してそれを受け取ったマリアが仮面を着け始めたのだ。
「えっと……これを下さい」
「あいよ」
人が一番賑わう市場につくとバスケットの中に入れた幾つかの小瓶に香辛料やハーブを入れてもらう。
基本的な食材を自家製で作っている教会でも香辛料やハーブは作れない。環境がハーブ作りの適していないからだ。
そのため、手に入れれない食材は市場で買うことで補っているのだ。
幾つかの店を周り、必要な食材を買い終えると幼い赤ん坊を抱き抱えた女性が話しかけてくる。
「あの……お時間が空いているのでしたら祝福を授かりたいのですが……よろしいでしょうか」
「畏まりました」
女性のお願いに考える間も無く答え、仮面を外して産着を着た赤ん坊を受け取る。
赤ん坊に祝福――出産の祝いや命名――を説けることは教会でも行える。だが、神父が行う祝福にはそこそこ高い費用が掛かってしまう。
そのため、一般的な庶民は街を歩く修道女に話しかけて祝福を行ってもらうのが習慣である。
仮面を取り外したのは赤ん坊が泣き出さないようにするためであり、儀式とは関係ない。
「すみません、バケットを預かってて貰えませんか?」
「は、はい!」
顔を見つめていた女性にマリアはハーブの入った小瓶が入ったバケットを渡し屋台の男性が持ってきてくれた椅子に腰かける。
そして、赤ん坊を揺すり笑みを浮かべながら聖典の一節を綺麗な声で歌い始める。
「聖典八章四節より抜粋――神への祈りは人々の癒しとなり、幼き子供は大地を駆け、恵みの雨は天より降り注ぎ、太陽の暖かさは人々を抱き締める――」
「ありがとうございます……!」
辺りは静寂に包まれ、マリアが赤ん坊の額にキスをした後に喝采が響き渡る。
そんな中、マリアは赤ん坊を涙を流し笑顔を浮かべる女性に渡し、バケットを返してもらう。
返して貰ったところで別の女性が赤ん坊を抱えてやってくる。
「私の子に名前をつけて貰えませんか?」
「畏まりました。性別は何でしょうか」
「男の子です」
女性から赤ん坊を受け取るとマリアは瞼を閉じて深く考える。
そして瞼を開け、名前を告げる。
「……イリアス。まだ教会が発足して間もない頃の人物で、信仰を教え広めた聖人の名前です」
イリアスと名付けられた赤ん坊は嬉しそうに笑い、マリアは赤ん坊を女性に返す。
女性は嬉しそうに頭を深く下げて感謝の礼を尽くし立ち去っていく。
代わる代わる名付けや祝福を告げていたら、今度は幼い子供達が目の前にやってきて本を差し出してきた。
「シスターのおねえさん、この本を読んで」
「良いですよ。さあ、近づいてきて下さい」
子供達をマリアの周りに近寄らせると本を読み聞かせる。
本の内容は魔女と聖人の物語で、森の奥で薬を作っていた魔女が腹を空かした聖人と出会い、恋に落ちたものの、戦火のために離ればなれとなり敵対し、最後は聖人の手で殺され、聖人は愛した女性を抱き抱え涙を流すという悲劇寄りの物語だった。
禁忌である本当の歴史を知る過程で教会が定めた『公式の歴史』にも精通してしまったマリアはこの話は滅魔戦争に実在した話だと知っている。
この話に出てくる聖人の名前はアムール。滅魔戦争の中期の聖人で魔女たちの領域に住んでいた人々を導き一人も死なせずに聖都へと凱旋した聖人である。
そして魔女の名前はメディン。世界で唯一、聖人を愛し聖人に愛された魔女であり『祝福の魔女』と呼ばれている。
「もうおしまい?」
「お話の続きは?」
読み終えると読み聞かせていた子供達から矢継ぎ早に質問されたため静かな笑顔を浮かべて答える。
「勿論あります。愛した魔女を失った聖人様は神に祈りました。『神よ、私が殺してしまった愛した魔女の亡骸を永遠に供養できる地を与えてくれ』と。神は聖人の献身的な信仰と魔女への一途な愛に心引かれ、聖堂を立て魔女を安置しました。そして、聖人様はその聖堂で一生を終えました」
「うわぁ……とってもキレイな愛だね」
「うん!こんな感じに愛されたいなぁ……」
子供達、特に女の子たちが口々にこの物語のような恋に憧れる。
その後、幾つかの物語を読んでいると子供達の親と思われる人たちがやってくる。
「すみません修道女様、私の息子が……」
「いえいえ、構いませんよ」
子供に頭を下げさせる親にどうどうと手を動かしながら宥める。
この街の教会にはないが教会の中には孤児院も併設させている場所がある。マリア自身、子供の世話をする事は嫌いではない。
「シスターのおねえさん、ばいばーい!」
「また読み聞かせしてねー!」
「構いませんよ」
元気良く手を振って去る子供達に手を振って見送るとバスケットを手に取る。
そして、心の中で少しだけ疲れたため息を漏らしてしまう。
(はぁ……まさか、ここまでになるとは。それに、視線が鬱陶しいですね)
マリアにとって祝福から始まった一連の行為は予想外であり、時計塔が一時間経過させた事を知らせる鐘を鳴らす。
外に出る時間は限られてないため不審がられる事はなくても粘りつくような男性から向けられる視線は少し悪寒が走る。
(予定を済ませたらさっさと教会に帰ろう……)
心の中で決心すると椅子を屋台の男性に返すと仮面を着け歩き始める。
様子を見計らい路地裏に入ると躊躇いなく幾つかの曲がり角を曲がり、行き止まりにたどり着く。
行き止まりの壁の一部を押して回転扉のように奥に進むと一つの家があった。石造りの壁には蔦が生い茂り、屋根はボロボロ、煙突からは煙が出ているがどこか倒れそうな気がする。
捨てられた古民家と言うよりもおんぼろな小屋にしか見えない、そんな店だ。
そんな店の中に入ると凄まじい匂いに手を振ってしまう。
棚に置かれた花の香りや動物の血の臭い。天井からぶら下がる毛皮からは獣臭。更には禁忌にも精通するマリアですらよく分からない金属から放たれる奇妙な臭いが充満し形容の仕様がない臭いが部屋の中に充満している。
そして、その中で平然とミスティアは煙管を吸っていた。
当たり前だが、顔も昨日とは全く違う仕事用の顔だ。
「あら、いらっしゃい。何かお探しものでもあるかしら、マリア」
「……計画が教会に漏れてますが、問題ないですか?」
「問題ないわ」
煙管から灰を落としながらミスティアはクスクスと笑う。
「教会は私たちが外から襲撃すると思い込んでいるわ。だから、敢えて伝える事で外に意識を集中させ背後をがら空きにさせる。クスクスクス、まさか『粛清使徒』の中に潜り込んでいる何て夢に考えないと思いますよ」
「なるほど、それは道理ですね」
ミスティアの説明を聞いてマリアは全てを聞いて理解し、納得する。
『粛清使徒』は確かに強い。戦闘に長けた魔術を操り魔女一人なら勝てるように訓練を行っているから。
だが、それはあくまで真正面から戦った時だけ。もし潜入に長けた魔術を扱う魔女だった場合それを見つけ出すのは困難を極める。
「潜入、陽動はミスティアだと分かりますが……他の魔女の方は一体何方がこの作戦に関わっているのですか?」
「『白月の魔女』と『夢幻の魔女』が参加しているわ」
マリアはミスティアが鍋を回しながら呟いた二人の魔女を教会の方で聞いた事があった。
『白月の魔女』は占星術と呼ばれる星を使かった占いを行う魔術を得意としている魔女。その特性から表に出ることが少なく、どこにいるのかも曖昧な魔女の一人。
『夢幻の魔女』は夢を操る魔術を得意としていて一定空間内の人間を強制的に眠らせる魔術【夢歩き】を得意としている。
そして、二人の魔女のどちらもが『新世代』である。これは滅魔戦争が終結した後に魔女になった者たちにつけられた括りで滅魔戦争を生き抜いた魔女『古き魔術師』とを分けるための基準でもある。
鍋を回し終えたミスティアが回していた長い棒を取り出して椅子に座る。
「『白月の魔女』は回収要員、『夢幻の魔女』は脱出要員ね。二人の得意とする魔術なら問題ないわ」
「……万が一の戦闘要員として古き魔術師は呼べなかったのですか?」
「まあねぇ……彼女らを呼ぶのは大変なのよ。性格的に。私も確かに古き魔術師ではあるけど彼女たちは自分の趣味を優先しちゃうから」
「……まあ、そうですよね」
高い実力を持つ魔女であればあるほど性格はいろんな意味で普通の人とはずれている。
魔術の探求や迫害の影響で人里離れた場所で過ごしているのが多いためか常識が通じない事も多々ある。
その点、ミスティアは街で薬師をしているためか比較的常識があるほうである。だからこそ、マリアはミスティアを一定の信頼をしている。
「それで、貴女はここに来たけど何か用かしら」
「情報の横流しが目的ですよ。では、私はこれで」
そう言いながら帰ろうとするマリアにミスティアは小瓶を渡す。
「特製の臭い落としよ。出たらすぐにかけなさい」
「……分かりました」
ミスティアから説明を聞いたマリアは店を出るとすぐに小瓶の中身である紫色の毒々しい液体を被る。
ツンとする刺激臭がしたがすぐに無くなり服に染み付いた液体もすぐに乾く。空になった小瓶を踏んで割ると回転扉から元の路地裏に出る。
(さて……これでやっと帰れる)
太陽を見ればまだ昼過ぎ。普通の修道女だったらまだ帰らないが良くも悪くも目立つマリアはさっさと帰路につく。
裏道を出て大通りを歩いていると普通の人たちに比べて薄汚い服を着た女性に話しかけられる。
「あ、あの!」
「……分かりました。行きましょう」
「え、ええ!?」
女性に纏わりつく嫌な気配を感じ取ったマリアは仮面を外し困惑する女性を連れて歩き始める。
女性の話を聞かなくても分かっているマリアにとって一分一秒すら時間が惜しいからである。
嫌な気配が残る――女性が通ってきた――道を辿り女性に扉を開けてもらい部屋の中に入りその元凶を見る。
見た目二十歳か、少しくらいのマリアと殆んど同じくらいの少女だった。だが、その身体は異質だった。身体の到るところに緑色の苔のような痣ができ、瞳の白目の部分が金色に染まっている。身体も衰弱しているのか起き上がることは勿論、意識を保つ事ができないのか苦しそうに朧気な眼差しで天井を見つめていた。微かに息をしていなければ人の状態だとは見ることは出来なかった程だ。
(……呪い憑きですか)
少女の母親を部屋から出させると少女の服を脱がせ検診し確信する。
呪い憑きとはこの世ならざる世界に存在する異界の生命体『悪魔』が発する魔力に当てられ不浄の呪いを受けてしまい身体に異変をきたしてしまう病の一種だ。
症状は様々で影響を受けた『悪魔』によってその症状は大きく変わってしまい、対処法も変わってしまう。
(#__苔の悪魔__ラコミトリィウム#……第三位階ですか)
ふざけるな、と言いたげに歯を食い縛りながらマリアは準備を開始する。
呪いの元である悪魔を見抜くと修道服の裏地に隠していたナイフ、聖油の蝋燭、マッチ、聖典、聖水の入った試験管、空の試験管を取り出す。
次に少女の寝ているベッドを部屋の中心に動かし四角に聖油の蝋燭を立てマッチで火を灯すとナイフを手に持つ。
「少し、血を貰います」
少女の体を傾けるとナイフで少女の胸の柔肌を薄く切る。
ツーと一筋に垂れる血を試験管の底が覆う程度に入れると体勢を元に戻して傷から少し漏れる血を持ってきた手拭いで拭う。
血が凝固してきた辺りで拭うのを止め、血を聖水に滴し、滴しきったところで聖水を部屋の床に垂らす。
滴し終えたところで聖典の一節、神の楽園を説いた章を開きゆっくりと噛み締めて読み始める。
「――神よ、祓いたまへ。神に祈るは一人の愚者。愚者は言った。愚かで貧相な我が卑しき心をお救いください、と。神は言った。我が信徒よ、貴殿は既に救われているのだ、と」
「ぐっ……!」
少女がうめき声をあげてもマリアは読み続ける。
「――神よ、祓いたまへ。神に祈るは一人の賢者。賢者は言った。何故人は争い続けるのか、と。神は言った。人は自分の守りたいものを守るために傷つけあうのだ、と」
「あ、ああ、アアア……」
「――神よ、祓いたまへ。神に祈るは一人の凡人。凡人は言った。何故私には他の人より優れていないのか、と。神は言った。その優しさこそが貴方の優れていることだ、と」
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
少女の声とは思えない絶叫が部屋の中に響くのと同時にマリアは聖典を閉じる。
その瞬間、聖水がひとりでに動き始める。聖水は少女の眠るベッドを円を作って取り囲み赤い光を放ち始める。その瞬間、少女の痣が小さくなっていく。
聖典を床に起き、床に膝をついて手を組むと祈りを捧げながら口ずさむ。
「――この世に悪魔は不要なり。異界の命よ、己の住む世界へと帰るが良い」
命令ともとれる言葉と共に聖水の光はより強く光る。
少女の痣は先程よりも速く少なくなっていき、最後は完全に身体から消えてなくなる。
「……完了しました」
「ありがとうございます!ありがとうございます……!少ないですが礼を」
涙を流し膝をついて感謝する女性が持っていた金貨を手で覆うと女性の顔を覗き込んで優しげに言う。
「その心が、私の礼になります。娘さんの側にいてあげてくださいね」
「!!ありがとうございます、聖女様……!」
より勢いよく涙を流す女性に微笑むと家を出る。
家を出た後、すぐさま仮面を着け大通りの隅を静かに歩く。
(……本当に面倒な手法ですね)
そんな中、心の中で愚痴を溢す。
『粛清使徒』の仕事の一つに呪いを払う事があり、合格したマリアもその技術を保有している。
だが、その手法は時間がかかるためもう一つの手法を知っているマリアは心の中では嫌っているのだ。もう一つの手法が認められれば呪いを祓うことが本当に手軽になるからだ。
(それにしても……これでまた聖女様呼びですか)
聖女と言うのは女性の聖人の事である。大衆にとって命を救ってくれたマリアはまさに聖女なのだ。
そんな事を知らず、マリアは肩を落としながら教会の中に入るのだった。
左手には硬貨の入った小袋が入った買い物用のバスケットを持ち、右手には買い物するものを書いた紙を持ち服装も何時ものスリットの入っていない修道服だ。
教会を出たところで辺りを見回し少し嬉しさの籠った言葉を心の中で紡ぐ。
(街は……そこまで変わってませんね)
マリアが住む教会がある街の名前は『フリューゲル』。滅魔戦争において拠点の一つとなった要塞都市だ。
十字架のような形の街を囲むように城塞があり外部からの攻撃を防ぎやすい仕掛けが幾つもの作られている。
街は発展しており、まだ朝早いのに人混みが出来ている。
その中をマリアは当たり前のように背を伸ばして歩く。
『ねぇ、あの人。何で仮面を着けてるのかしら……』
『さぁ……。二年前の戦争で怪我を負ったからかしら……』
『痛ましいわねぇ……』
通りすがりの婦人からの声にはどこか憐れみが混じっていた。
今、マリアの顔には仮面が着けている。白を基調とした丸みのおびた仮面で、顔を完全に覆い隠している。この仮面は、マリアが自作したもので人前に出るときは基本この仮面を着けている。
これはマリアが外に出ると人の視線を向かれやすいからである。
マリアのその美しい顔立ちと完全に線対象の身体、その肉付きも良いため人の目を向けられやすく、犯罪にも巻き込まれやすい。
それを危惧したエリーゼがマリアに提言してそれを受け取ったマリアが仮面を着け始めたのだ。
「えっと……これを下さい」
「あいよ」
人が一番賑わう市場につくとバスケットの中に入れた幾つかの小瓶に香辛料やハーブを入れてもらう。
基本的な食材を自家製で作っている教会でも香辛料やハーブは作れない。環境がハーブ作りの適していないからだ。
そのため、手に入れれない食材は市場で買うことで補っているのだ。
幾つかの店を周り、必要な食材を買い終えると幼い赤ん坊を抱き抱えた女性が話しかけてくる。
「あの……お時間が空いているのでしたら祝福を授かりたいのですが……よろしいでしょうか」
「畏まりました」
女性のお願いに考える間も無く答え、仮面を外して産着を着た赤ん坊を受け取る。
赤ん坊に祝福――出産の祝いや命名――を説けることは教会でも行える。だが、神父が行う祝福にはそこそこ高い費用が掛かってしまう。
そのため、一般的な庶民は街を歩く修道女に話しかけて祝福を行ってもらうのが習慣である。
仮面を取り外したのは赤ん坊が泣き出さないようにするためであり、儀式とは関係ない。
「すみません、バケットを預かってて貰えませんか?」
「は、はい!」
顔を見つめていた女性にマリアはハーブの入った小瓶が入ったバケットを渡し屋台の男性が持ってきてくれた椅子に腰かける。
そして、赤ん坊を揺すり笑みを浮かべながら聖典の一節を綺麗な声で歌い始める。
「聖典八章四節より抜粋――神への祈りは人々の癒しとなり、幼き子供は大地を駆け、恵みの雨は天より降り注ぎ、太陽の暖かさは人々を抱き締める――」
「ありがとうございます……!」
辺りは静寂に包まれ、マリアが赤ん坊の額にキスをした後に喝采が響き渡る。
そんな中、マリアは赤ん坊を涙を流し笑顔を浮かべる女性に渡し、バケットを返してもらう。
返して貰ったところで別の女性が赤ん坊を抱えてやってくる。
「私の子に名前をつけて貰えませんか?」
「畏まりました。性別は何でしょうか」
「男の子です」
女性から赤ん坊を受け取るとマリアは瞼を閉じて深く考える。
そして瞼を開け、名前を告げる。
「……イリアス。まだ教会が発足して間もない頃の人物で、信仰を教え広めた聖人の名前です」
イリアスと名付けられた赤ん坊は嬉しそうに笑い、マリアは赤ん坊を女性に返す。
女性は嬉しそうに頭を深く下げて感謝の礼を尽くし立ち去っていく。
代わる代わる名付けや祝福を告げていたら、今度は幼い子供達が目の前にやってきて本を差し出してきた。
「シスターのおねえさん、この本を読んで」
「良いですよ。さあ、近づいてきて下さい」
子供達をマリアの周りに近寄らせると本を読み聞かせる。
本の内容は魔女と聖人の物語で、森の奥で薬を作っていた魔女が腹を空かした聖人と出会い、恋に落ちたものの、戦火のために離ればなれとなり敵対し、最後は聖人の手で殺され、聖人は愛した女性を抱き抱え涙を流すという悲劇寄りの物語だった。
禁忌である本当の歴史を知る過程で教会が定めた『公式の歴史』にも精通してしまったマリアはこの話は滅魔戦争に実在した話だと知っている。
この話に出てくる聖人の名前はアムール。滅魔戦争の中期の聖人で魔女たちの領域に住んでいた人々を導き一人も死なせずに聖都へと凱旋した聖人である。
そして魔女の名前はメディン。世界で唯一、聖人を愛し聖人に愛された魔女であり『祝福の魔女』と呼ばれている。
「もうおしまい?」
「お話の続きは?」
読み終えると読み聞かせていた子供達から矢継ぎ早に質問されたため静かな笑顔を浮かべて答える。
「勿論あります。愛した魔女を失った聖人様は神に祈りました。『神よ、私が殺してしまった愛した魔女の亡骸を永遠に供養できる地を与えてくれ』と。神は聖人の献身的な信仰と魔女への一途な愛に心引かれ、聖堂を立て魔女を安置しました。そして、聖人様はその聖堂で一生を終えました」
「うわぁ……とってもキレイな愛だね」
「うん!こんな感じに愛されたいなぁ……」
子供達、特に女の子たちが口々にこの物語のような恋に憧れる。
その後、幾つかの物語を読んでいると子供達の親と思われる人たちがやってくる。
「すみません修道女様、私の息子が……」
「いえいえ、構いませんよ」
子供に頭を下げさせる親にどうどうと手を動かしながら宥める。
この街の教会にはないが教会の中には孤児院も併設させている場所がある。マリア自身、子供の世話をする事は嫌いではない。
「シスターのおねえさん、ばいばーい!」
「また読み聞かせしてねー!」
「構いませんよ」
元気良く手を振って去る子供達に手を振って見送るとバスケットを手に取る。
そして、心の中で少しだけ疲れたため息を漏らしてしまう。
(はぁ……まさか、ここまでになるとは。それに、視線が鬱陶しいですね)
マリアにとって祝福から始まった一連の行為は予想外であり、時計塔が一時間経過させた事を知らせる鐘を鳴らす。
外に出る時間は限られてないため不審がられる事はなくても粘りつくような男性から向けられる視線は少し悪寒が走る。
(予定を済ませたらさっさと教会に帰ろう……)
心の中で決心すると椅子を屋台の男性に返すと仮面を着け歩き始める。
様子を見計らい路地裏に入ると躊躇いなく幾つかの曲がり角を曲がり、行き止まりにたどり着く。
行き止まりの壁の一部を押して回転扉のように奥に進むと一つの家があった。石造りの壁には蔦が生い茂り、屋根はボロボロ、煙突からは煙が出ているがどこか倒れそうな気がする。
捨てられた古民家と言うよりもおんぼろな小屋にしか見えない、そんな店だ。
そんな店の中に入ると凄まじい匂いに手を振ってしまう。
棚に置かれた花の香りや動物の血の臭い。天井からぶら下がる毛皮からは獣臭。更には禁忌にも精通するマリアですらよく分からない金属から放たれる奇妙な臭いが充満し形容の仕様がない臭いが部屋の中に充満している。
そして、その中で平然とミスティアは煙管を吸っていた。
当たり前だが、顔も昨日とは全く違う仕事用の顔だ。
「あら、いらっしゃい。何かお探しものでもあるかしら、マリア」
「……計画が教会に漏れてますが、問題ないですか?」
「問題ないわ」
煙管から灰を落としながらミスティアはクスクスと笑う。
「教会は私たちが外から襲撃すると思い込んでいるわ。だから、敢えて伝える事で外に意識を集中させ背後をがら空きにさせる。クスクスクス、まさか『粛清使徒』の中に潜り込んでいる何て夢に考えないと思いますよ」
「なるほど、それは道理ですね」
ミスティアの説明を聞いてマリアは全てを聞いて理解し、納得する。
『粛清使徒』は確かに強い。戦闘に長けた魔術を操り魔女一人なら勝てるように訓練を行っているから。
だが、それはあくまで真正面から戦った時だけ。もし潜入に長けた魔術を扱う魔女だった場合それを見つけ出すのは困難を極める。
「潜入、陽動はミスティアだと分かりますが……他の魔女の方は一体何方がこの作戦に関わっているのですか?」
「『白月の魔女』と『夢幻の魔女』が参加しているわ」
マリアはミスティアが鍋を回しながら呟いた二人の魔女を教会の方で聞いた事があった。
『白月の魔女』は占星術と呼ばれる星を使かった占いを行う魔術を得意としている魔女。その特性から表に出ることが少なく、どこにいるのかも曖昧な魔女の一人。
『夢幻の魔女』は夢を操る魔術を得意としていて一定空間内の人間を強制的に眠らせる魔術【夢歩き】を得意としている。
そして、二人の魔女のどちらもが『新世代』である。これは滅魔戦争が終結した後に魔女になった者たちにつけられた括りで滅魔戦争を生き抜いた魔女『古き魔術師』とを分けるための基準でもある。
鍋を回し終えたミスティアが回していた長い棒を取り出して椅子に座る。
「『白月の魔女』は回収要員、『夢幻の魔女』は脱出要員ね。二人の得意とする魔術なら問題ないわ」
「……万が一の戦闘要員として古き魔術師は呼べなかったのですか?」
「まあねぇ……彼女らを呼ぶのは大変なのよ。性格的に。私も確かに古き魔術師ではあるけど彼女たちは自分の趣味を優先しちゃうから」
「……まあ、そうですよね」
高い実力を持つ魔女であればあるほど性格はいろんな意味で普通の人とはずれている。
魔術の探求や迫害の影響で人里離れた場所で過ごしているのが多いためか常識が通じない事も多々ある。
その点、ミスティアは街で薬師をしているためか比較的常識があるほうである。だからこそ、マリアはミスティアを一定の信頼をしている。
「それで、貴女はここに来たけど何か用かしら」
「情報の横流しが目的ですよ。では、私はこれで」
そう言いながら帰ろうとするマリアにミスティアは小瓶を渡す。
「特製の臭い落としよ。出たらすぐにかけなさい」
「……分かりました」
ミスティアから説明を聞いたマリアは店を出るとすぐに小瓶の中身である紫色の毒々しい液体を被る。
ツンとする刺激臭がしたがすぐに無くなり服に染み付いた液体もすぐに乾く。空になった小瓶を踏んで割ると回転扉から元の路地裏に出る。
(さて……これでやっと帰れる)
太陽を見ればまだ昼過ぎ。普通の修道女だったらまだ帰らないが良くも悪くも目立つマリアはさっさと帰路につく。
裏道を出て大通りを歩いていると普通の人たちに比べて薄汚い服を着た女性に話しかけられる。
「あ、あの!」
「……分かりました。行きましょう」
「え、ええ!?」
女性に纏わりつく嫌な気配を感じ取ったマリアは仮面を外し困惑する女性を連れて歩き始める。
女性の話を聞かなくても分かっているマリアにとって一分一秒すら時間が惜しいからである。
嫌な気配が残る――女性が通ってきた――道を辿り女性に扉を開けてもらい部屋の中に入りその元凶を見る。
見た目二十歳か、少しくらいのマリアと殆んど同じくらいの少女だった。だが、その身体は異質だった。身体の到るところに緑色の苔のような痣ができ、瞳の白目の部分が金色に染まっている。身体も衰弱しているのか起き上がることは勿論、意識を保つ事ができないのか苦しそうに朧気な眼差しで天井を見つめていた。微かに息をしていなければ人の状態だとは見ることは出来なかった程だ。
(……呪い憑きですか)
少女の母親を部屋から出させると少女の服を脱がせ検診し確信する。
呪い憑きとはこの世ならざる世界に存在する異界の生命体『悪魔』が発する魔力に当てられ不浄の呪いを受けてしまい身体に異変をきたしてしまう病の一種だ。
症状は様々で影響を受けた『悪魔』によってその症状は大きく変わってしまい、対処法も変わってしまう。
(#__苔の悪魔__ラコミトリィウム#……第三位階ですか)
ふざけるな、と言いたげに歯を食い縛りながらマリアは準備を開始する。
呪いの元である悪魔を見抜くと修道服の裏地に隠していたナイフ、聖油の蝋燭、マッチ、聖典、聖水の入った試験管、空の試験管を取り出す。
次に少女の寝ているベッドを部屋の中心に動かし四角に聖油の蝋燭を立てマッチで火を灯すとナイフを手に持つ。
「少し、血を貰います」
少女の体を傾けるとナイフで少女の胸の柔肌を薄く切る。
ツーと一筋に垂れる血を試験管の底が覆う程度に入れると体勢を元に戻して傷から少し漏れる血を持ってきた手拭いで拭う。
血が凝固してきた辺りで拭うのを止め、血を聖水に滴し、滴しきったところで聖水を部屋の床に垂らす。
滴し終えたところで聖典の一節、神の楽園を説いた章を開きゆっくりと噛み締めて読み始める。
「――神よ、祓いたまへ。神に祈るは一人の愚者。愚者は言った。愚かで貧相な我が卑しき心をお救いください、と。神は言った。我が信徒よ、貴殿は既に救われているのだ、と」
「ぐっ……!」
少女がうめき声をあげてもマリアは読み続ける。
「――神よ、祓いたまへ。神に祈るは一人の賢者。賢者は言った。何故人は争い続けるのか、と。神は言った。人は自分の守りたいものを守るために傷つけあうのだ、と」
「あ、ああ、アアア……」
「――神よ、祓いたまへ。神に祈るは一人の凡人。凡人は言った。何故私には他の人より優れていないのか、と。神は言った。その優しさこそが貴方の優れていることだ、と」
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
少女の声とは思えない絶叫が部屋の中に響くのと同時にマリアは聖典を閉じる。
その瞬間、聖水がひとりでに動き始める。聖水は少女の眠るベッドを円を作って取り囲み赤い光を放ち始める。その瞬間、少女の痣が小さくなっていく。
聖典を床に起き、床に膝をついて手を組むと祈りを捧げながら口ずさむ。
「――この世に悪魔は不要なり。異界の命よ、己の住む世界へと帰るが良い」
命令ともとれる言葉と共に聖水の光はより強く光る。
少女の痣は先程よりも速く少なくなっていき、最後は完全に身体から消えてなくなる。
「……完了しました」
「ありがとうございます!ありがとうございます……!少ないですが礼を」
涙を流し膝をついて感謝する女性が持っていた金貨を手で覆うと女性の顔を覗き込んで優しげに言う。
「その心が、私の礼になります。娘さんの側にいてあげてくださいね」
「!!ありがとうございます、聖女様……!」
より勢いよく涙を流す女性に微笑むと家を出る。
家を出た後、すぐさま仮面を着け大通りの隅を静かに歩く。
(……本当に面倒な手法ですね)
そんな中、心の中で愚痴を溢す。
『粛清使徒』の仕事の一つに呪いを払う事があり、合格したマリアもその技術を保有している。
だが、その手法は時間がかかるためもう一つの手法を知っているマリアは心の中では嫌っているのだ。もう一つの手法が認められれば呪いを祓うことが本当に手軽になるからだ。
(それにしても……これでまた聖女様呼びですか)
聖女と言うのは女性の聖人の事である。大衆にとって命を救ってくれたマリアはまさに聖女なのだ。
そんな事を知らず、マリアは肩を落としながら教会の中に入るのだった。
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