俺は、嫌われるために悪役になります

葉空

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それから月日が経ち、アルフは10歳となった。前世の自分の容姿もそれなりに整ってはいたが、今の方がかっこいいと自分でも思った。
まあ、こんな容姿をしていても周りは相変わらず、自分のことをチラチラと見たり、視線が合うと逸らされてしまうが…。

それに、俺はどうやら両親からも避けられているようだった。両親と顔を合わせるのは食事の時くらいしか機会がないから。

だって、おかしいだろ?同じ家に同じ階に住んでるのに全然会わないんだ。仕事が忙しいとしてもすれ違うことはあると思うんだ。

まあ、前世とは違い罵倒されないだけマシには思える。でも、俺も子どもなのだからそれなりに傷つく。

それに…、もう好かれる期待を抱くことも虚しくなってきたんだ。だから、俺は決めた。それなら、最初から嫌われるように行動しようって。


始めは使用人が嫌がりそうなことをやった。外に生えた雑草を抜いて服を汚したり、自分の食事を催促をしたりと我儘な坊ちゃんというイメージを持たれようと努めた。

自分としては完璧じゃないかと思うほど遂行してきた。その証拠に以前に増して、周囲から視線を向けられることが増えたから。

それに、前は新人の使用人に話しかけただけで、顔を赤くされてしまった。声をかけただけで、怒りの感情を向けられるなんて思いもしなかったが…。

まあ、うん。この調子で頑張ろう。

嫌われるために頑張ろうと決めたアルフだったが、彼は気付いていなかった。自分の行いと周りの評価の方向性が全く違うことに。



これは毎夜、伯爵夫妻と使用人たちが行う会議の出来事である。

「奥様、アルフ様が服が汚れるのをかえりみず、私たちの仕事を手伝ってくれたんです!」

「伯爵様!俺のところには早く美味しいものが食べたいって言いにきてくれました。」

それを聞くと両親は嬉しそうに笑みを溢した。

「ふふ、さすがアルフ。いつまで経っても可愛らしいわ。」

「そうだな。俺ももっとアルフと一緒にいたいよ。」

伯爵の言葉に使用人たちは一斉に首を横に振る。

「ダメです。伯爵様と夫人はアルフ様と一緒におられたら仕事が手に付かなくなるじゃないですか。」

ズバッと執事長が言うと2人はウッと言葉をもらす。

「…だって、見てるだけで癒されるんだもん。可愛すぎるし…ずっと見ていると抱きしめて構いたくなっちゃうし。」

それに賛同するようにこの場にいるものは首を縦に振る。誰だって夫人が言う言葉に納得してしまうのだ。

アルフ・クラークソン。彼の容姿はもちろん、性格まで愛おしくて仕方がない。俗に言うツンデレの極みでつい甘やかしたくなるのだ。

そしてもちろん、毎夜盛り上がるアルフの情報交換会を本人は知るはずもなかった。

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