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それから数日後、改めてイグナシオ殿下と二人きりでお会いすることになった。
ほぼ初対面の二人。天気の話など当たり障りのない会話を終えて、何を話せばいいかまごついてると、殿下が盛大な溜め息を吐いた。
「殿下?」
殿下が冷たい目線を向けてくる。
「お父様もお母様も、二人とも薦めるからどんな素晴らしい令嬢かと思ったら、陰気なつまらないやつだな」
何を言われたのか一瞬頭が働かず、呆然としてしまう。
「これなら、自分で選んだほうがましだった。髪だって黒いし、俺のタイプじゃない」
お茶会の時の殿下は、自身の伴侶選びだというのにまだ婚約者というものに実感がわかないのか、心ここにあらずといった感じだった。あとからわかったことだが、殿下は婚約者選びは陛下と王妃様に丸投げだったそうだ。
それなのに、今更そんなことを言うなんて。
私はテーブルの下で、拳をぎゅっと握る。
悔しくて何も言い返せないでいると、殿下が再び溜め息を吐く。
その息に重く沈められていく心地がした。
殿下と私は初めからそんな関係だった。
本人同士は決して良好とは言えなかったけど、外側から見れば当たり障りのない関係と言えた。
そんなふうに日々を過ごす中で、私は王子妃教育の授業中で、隣国の王子の名が『ロレンシオ・ベルセリウス』と知った。
息がとまりそうになった。
まさかロレンシオが王子様だったなんて。
夢見る白馬の王子様は本当に王子様だった。
そう思った瞬間、苦いものがこみ上げた。
それなら余計、『夢』だったのだ。夢は夢で終わるしかない。決して現実には起こらないのだ。
王子という身分なら、今頃は婚約者もいるはず。
あのまま、ずっと儚い夢を見続けなくて良かった。
馬鹿な真似をせずに済んだ自分に安堵したはずなのに、何故か心は苦しかった。
ほぼ初対面の二人。天気の話など当たり障りのない会話を終えて、何を話せばいいかまごついてると、殿下が盛大な溜め息を吐いた。
「殿下?」
殿下が冷たい目線を向けてくる。
「お父様もお母様も、二人とも薦めるからどんな素晴らしい令嬢かと思ったら、陰気なつまらないやつだな」
何を言われたのか一瞬頭が働かず、呆然としてしまう。
「これなら、自分で選んだほうがましだった。髪だって黒いし、俺のタイプじゃない」
お茶会の時の殿下は、自身の伴侶選びだというのにまだ婚約者というものに実感がわかないのか、心ここにあらずといった感じだった。あとからわかったことだが、殿下は婚約者選びは陛下と王妃様に丸投げだったそうだ。
それなのに、今更そんなことを言うなんて。
私はテーブルの下で、拳をぎゅっと握る。
悔しくて何も言い返せないでいると、殿下が再び溜め息を吐く。
その息に重く沈められていく心地がした。
殿下と私は初めからそんな関係だった。
本人同士は決して良好とは言えなかったけど、外側から見れば当たり障りのない関係と言えた。
そんなふうに日々を過ごす中で、私は王子妃教育の授業中で、隣国の王子の名が『ロレンシオ・ベルセリウス』と知った。
息がとまりそうになった。
まさかロレンシオが王子様だったなんて。
夢見る白馬の王子様は本当に王子様だった。
そう思った瞬間、苦いものがこみ上げた。
それなら余計、『夢』だったのだ。夢は夢で終わるしかない。決して現実には起こらないのだ。
王子という身分なら、今頃は婚約者もいるはず。
あのまま、ずっと儚い夢を見続けなくて良かった。
馬鹿な真似をせずに済んだ自分に安堵したはずなのに、何故か心は苦しかった。
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