❲完結❳傷物の私は高貴な公爵子息の婚約者になりました

四つ葉菫

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 それから二日後。
 私のもとに荷物が届いた。同じ大きさの三つの箱。箱の側面にはウェディングドレスを仕立ててもらっているお店のロゴがしるされていた。
 送付されてあった手紙を開くと、流麗な文字で『君に似合いそうなものをお店の者に選んでもらった。気に入って貰えると嬉しい。――フェリシアン』と書かれていた。

「フェリシアン様が私に? なにかしら?」
 
 開けてみれば、そこにはピンクの可愛らしいドレスが入っていた。

「まあ! 可愛い」
 
 思わず感嘆の声をあげていた。
 
「なんて素敵なの」

 つられるように腕が伸びて、手にとる。
 襟元に布地と同色の小さな花飾りが一列に並んでいる。スカート部分はふんわりとドレープが広がり、とても可愛らしい印象だった。
 続いて次の箱を開けて見ると、今度は黄色のシフォンドレスだった。

「こんなお洒落なの、着たことないわ」

 次の箱は水色のドレスだった。
 
「これもすごく素敵」

 ピンク、黄色、水色の三種類のドレスはどれも手が込んでいて、一体いくらするのか想像もつかなかった。
 布地に手を滑らせれば、今まで触ったことがないほど、肌触りが良かった。
 ドレスを贈ってくれた理由を考えるに、先日言った四着しか持っていないという発言のせいだろう。 

 気を使わせてしまった。
『責任』から婚約者になってくれたフェリシアン様に、お金まで使わせるなんてできなくて、今まで高い物をねだることはしなかったけれど。
 罪悪感が少しあるものの、それでも好きな人からプレゼントが贈られたという事実に胸が踊るのは止められなかった。
 それもこんな素敵なドレスを。
 体に当てて、スカートをつまんで揺らしてみるも少し不安になった。
 ピンクに、黄色に、水色。

「どれも着たことがない色だわ。こんな明るいドレス、私に似合うかしら」

 今持っているドレスは臙脂に深緑に灰色といった暗い色ばかり。その前に持っていたドレスも似たりよったりだった。
 既製品で安いものを探すとなると、どうしても人気のない色やデザインに絞られてしまう。
 綺麗な色を着た経験がないせいか、どうしても怖じ気付きそうになる心を、首を振って振り払った。

「ううん。せっかく贈ってくれたんだもの。着こなせる自信はないけれど、着てフェリシアン様に感謝を伝えたいわ」

 私はそれから、フェリシアン様とのデートには必ず贈られたドレスを着ていくようになった。

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