チェリー

closet

文字の大きさ
6 / 8

第6話 さくらラテ

しおりを挟む
 授業がない日の午前7時。

 飛鳥はパステルブルーのパーカーを着て、下はジーパンを穿いて、出かける身支度を済ませた。

 朝食はあえて食べず、ミネラルウォーターだけひとくち飲んでからコートを着て鞄を斜め掛けして出かけた。

 天気の良い朝である。

 桜はもう散り始めているが、それでも大半の桜は咲いている。

 自宅近所の待ち合わせ場所の公園のベンチに座って電子書籍を読んでいると、優衣が来た。

 白いブラウスにブラウンのフレアスカート、コートは白と薄ピンクのチェック柄という装いだ。

「飛鳥! お待たせ!」
「全然待ってませんよ。わたしも今来たばかりですから」
「なら良かった。じゃあ、行こっか♪」

 飛鳥は電子書籍端末のカバーを閉じて立ち上がると、鞄に端末を入れ、優衣について行く。

 優衣の気遣いか、混雑していない桜並木を歩く。

 暖かな空気が流れていった。

 優衣が先に話しかけてきた。

「昨日の更新分、読んだよ」
「ありがとうございます。優衣さんなら読んでくださると思っていました」

 飛鳥は横を歩く優衣を振り向く。

「どうでしたか?」

 優衣に腕を押された。

「超胸キュンした~!」

 飛鳥は微笑む。

「今回は胸キュン回だったので、そうおっしゃっていただけて幸せです」

 優衣が飛鳥の前に立つ。

 必然的に、飛鳥の歩も止まった。

「ねぇ、飛鳥。ふたりきりのときは敬語もナシにしよ。私たち、カップルなんだから」
「そう、だね。そうするよ」

 優衣の前で初めてため口になった飛鳥。

 そのため口はまだぎこちない。

 優衣が前を向いたので、飛鳥は優衣の先を見た。

「着いたね、飛鳥」
「着いたね、優衣」

 どうやら2人はカフェに着いたようだ。

 店内はお昼前で空いているよう。

 飛鳥は優衣に手を握られながら、店内に入った。

 優衣がさくらラテをおごってくれた。

「ありがとう、優衣」
「飛鳥とふたりきりでこうしてデート出来たことが嬉しいんだ。幸せなんだ。だから、恩返ししたくてしたの。お礼を言うのはこっちのほうよ♪」

 2人はテラス席で静かにさくらラテを飲みながら、近くの桜を花見した。




 帰り道。

 飛鳥が思い出して言う。

「さくらラテ、さくらラテなだけあって、泡が薄ピンク色だったね」
「そうね。かわいくて、美味しかった。また来年もやってたら、また飛鳥とふたりきりで飲みたいな♡」

 そんな会話をして、2人が住むアパートに着いた。

「おやすみ、優衣」
「おやすみ、飛鳥」

 2人はそれぞれの自宅に帰った。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

淡色に揺れる

かなめ
恋愛
とある高校の女子生徒たちが繰り広げる、甘く透き通った、百合色の物語です。 ほのぼのとしていて甘酸っぱい、まるで少年漫画のような純粋な恋色をお楽しみいただけます。 ★登場人物 白川蓮(しらかわ れん) 太陽みたいに眩しくて天真爛漫な高校2年生。短い髪と小柄な体格から、遠くから見れば少年と見間違われることもしばしば。ちょっと天然で、恋愛に関してはキス未満の付き合いをした元カレが一人いるほど純潔。女子硬式テニス部に所属している。 水沢詩弦(みずさわ しづる) クールビューティーでやや気が強く、部活の後輩達からちょっぴり恐れられている高校3年生。その美しく整った顔と華奢な体格により男子たちからの人気は高い。本人は控えめな胸を気にしているらしいが、そこもまた良し。蓮と同じく女子テニス部に所属している。 宮坂彩里(みやさか あやり) 明るくて男女後輩みんなから好かれるムードメーカーの高校3年生。詩弦とは系統の違うキューティー美女でスタイルは抜群。もちろん男子からの支持は熱い。女子テニス部に所属しており、詩弦とはジュニア時代からダブルスのペアを組んでいるが、2人は犬猿の仲である。

放課後の約束と秘密 ~温もり重ねる二人の時間~

楠富 つかさ
恋愛
 中学二年生の佑奈は、母子家庭で家事をこなしながら日々を過ごしていた。友達はいるが、特別に誰かと深く関わることはなく、学校と家を行き来するだけの平凡な毎日。そんな佑奈に、同じクラスの大波多佳子が積極的に距離を縮めてくる。  佳子は華やかで、成績も良く、家は裕福。けれど両親は海外赴任中で、一人暮らしをしている。人懐っこい笑顔の裏で、彼女が抱えているのは、誰にも言えない「寂しさ」だった。  「ねぇ、明日から私の部屋で勉強しない?」  放課後、二人は図書室ではなく、佳子の部屋で過ごすようになる。最初は勉強のためだったはずが、いつの間にか、それはただ一緒にいる時間になり、互いにとってかけがえのないものになっていく。  ――けれど、佑奈は思う。 「私なんかが、佳子ちゃんの隣にいていいの?」  特別になりたい。でも、特別になるのが怖い。  放課後、少しずつ距離を縮める二人の、静かであたたかな日々の物語。 4/6以降、8/31の完結まで毎週日曜日更新です。

身体だけの関係です‐三崎早月について‐

みのりすい
恋愛
「ボディタッチくらいするよね。女の子同士だもん」 三崎早月、15歳。小佐田未沙、14歳。 クラスメイトの二人は、お互いにタイプが違ったこともあり、ほとんど交流がなかった。 中学三年生の春、そんな二人の関係が、少しだけ、動き出す。 ※百合作品として執筆しましたが、男性キャラクターも多数おり、BL要素、NL要素もございます。悪しからずご了承ください。また、軽度ですが性描写を含みます。 12/11 ”原田巴について”投稿開始。→12/13 別作品として投稿しました。ご迷惑をおかけします。 身体だけの関係です 原田巴について https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/734700789 作者ツイッター: twitter/minori_sui

【完結】【ママ友百合】ラテアートにハートをのせて

千鶴田ルト
恋愛
専業主婦の優菜は、夫・拓馬と娘の結と共に平穏な暮らしを送っていた。 そんな彼女の前に現れた、カフェ店員の千春。 夫婦仲は良好。別れる理由なんてどこにもない。 それでも――千春との時間は、日常の中でそっと息を潜め、やがて大きな存在へと変わっていく。 ちょっと変わったママ友不倫百合ほのぼのガールズラブ物語です。 ハッピーエンドになるのでご安心ください。

せんせいとおばさん

悠生ゆう
恋愛
創作百合 樹梨は小学校の教師をしている。今年になりはじめてクラス担任を持つことになった。毎日張り詰めている中、クラスの児童の流里が怪我をした。母親に連絡をしたところ、引き取りに現れたのは流里の叔母のすみ枝だった。樹梨は、飄々としたすみ枝に惹かれていく。 ※学校の先生のお仕事の実情は知りませんので、間違っている部分がっあたらすみません。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

処理中です...