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009 娘の初戦闘

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「たしかに速くなったな」

 ネネイの移動速度が、敏捷を上げる前後で変化していた。

 劇的な変化ではないが、それでも分かる程度には変化がある。

 5ポイント全力プッシュでこれだと、1ポイントじゃ効果は分からなさそう。

 まぁ、1ポイントで劇的に変わるのは、後々のことを考えるとまずいか。

 敏捷に極振りなんてしたら、光速の領域に達してしまうもんな。

「あと9回育成すれば、外へ連れ出せるようになるのか」

「その通りです」

「楽しみだな」

 ◇

 それからしばらくの間、エリスの調教とネネイの育成に注力した。

 ネネイのレベルは規則正しく、毎日1レベルずつ上がっていく。

 エリスの方も順調で、日に日に、俺好みに乱れていった。

 数日後には、恥じらいながらも、自分から誘ってくるようになる。

 ベッドサイドに座る俺の前で跪き、アレやコレやと誘惑してきた。

 チュパチュパという音が、薄暗い俺の部屋に響く。

 果てしない快感に襲われるが、俺はグッと堪えた。

 耐えかねたエリスがねだってくる。

「カイト、もうお預けは、嫌」

「この程度じゃ足りないなぁ」

「意地悪」

「ほら、気持ち良くなりたいんだろ? もっと頑張らないと」

 ニヤニヤと笑いながら、エリスの頭に手を置く。

 頭頂部から後頭部にかけて、円を描くように撫でた。

「…………頑張る」

 ◇

 いよいよ、ネネイのレベルが10になった。

 広場にて、記念すべきレベル10のステータスポイントはSPに割り振る。

 これによって、ネネイのSPが10に到達し、新たなスキルを覚えた。

 覚えたスキルの名前は〈ビリビリ〉。

 ステータス画面を開いて、スキル名をタップすると、効果が表示された。

 稲妻を放ち、対象をスタンさせるらしい。

 戦闘に役立ちそうなスキルで、今から魔物に使うのが楽しみだ。

 そんなネネイのスキルは以下のようになっている。

===============
【名 前】ネネイ
【レベル】10
【種 族】人間
【攻撃力】15(G)
【防御力】15(G)
【敏 捷】5
【知 識】5
【S P】0/10
【武 器】何も装備していません
【防 具】何も装備していません
【スキル】
ビリビリ
===============

 ものの見事に5の倍数だ。

 毎回、どれか1つに全プッシュだったからな。

 どれかと言っても、攻撃力と防御力が大半だけれど。

「明日はいよいよ狩りだな」

「楽しみなのー!」

 ネネイの頭を撫でた後、視線をリーネに向ける。

「今日もネネイの世話を頼むよ」

「お任せ下さい。私達の子ですから」

 リーネはネネイを連れて、自分の部屋に戻っていく。

「さて……」

 俺の視線は、先ほどリーネが立っていた場所から、横にスライドする。

 そこには、快楽に飢えたエリスが立っていた。

「カイト、私も、子供が欲しい」

「ほう」

 下品な笑みを浮かべながら、俺は尋ねた。

「一番欲しいのは子供か?」

 エリスの顔が真っ赤になっていく。

 そして、静かに首を横に振った。

「カイトの………………欲しい」

「俺の何が欲しいの?」

「…………もう、分かってるくせに」

 焦らしすぎたからか、俺まで我慢出来なくなってきた。

「仕方ないなぁ」

 などと言いつつ、ノリノリで、エリスを連れて自室に入った。

 部屋に入ると、エリスは俺をベッドサイドに座らせる。

 恥じらいつつも、慣れた手つきで、俺の服を脱がせていく。

 上下を脱がし終わり全裸にさせると、今度は、自分ドレスに手を伸ばす。

 丈の短いドレスの裾を左右から掴み上げ、純白のパンツを見せてくる。

 そのまま近づいてきて、何も言わずに、太ももの上に座ってきた。

 俺の頭に両腕を回し、ディープキスをする。

 そして――――……。

 ◇

 翌日、ネネイと狩りへ行くことにした。

「お外はこんな風になっていたなのー!?」

 初めての外に驚くネネイ。

 ネネイとエリスは、外の景色を知らないのだ。

 そう、エリスも知らない。これには驚いた。

 というのも、リーネ以外は、外の記憶が殆ど残っていないのだ。

 カプセルの影響らしい。

「ゴブー……ゴブー……」

 森を歩いていると、ゴブリンの寝息が聞こえてきた。

 ゴブリンは木の上で寝ていることが多い。

 今回もそうだった。近くの木にゴブリンが寝ていた。

 みきにもたれ、足を伸ばして、枝の上で眠っている。

「あいつにしよう」

「はいなの!」

 ネネイが足下の小石を拾い、ゴブリンに向かって放り投げる。

 しかし、石はまるで届かず、近くの茂みにシュポッと消えた。

「〈ビリビリ〉で落としたらいいんじゃないか?」

「その手があったなの!」

「なるほど、これが知識5か」

 もう少し知識を上げたほうが良いかもしれないな。

「えいなのー!」

 ネネイが右の人差し指をゴブリンに向けて、スキルを発動する。

 青白い一筋の稲妻が放たれた。

 吹けば消えそうなか細いその稲妻がゴブリンに命中する。

「ゴブブブブブブ!?」

 ゴブリンはスキル名通り、ビリビリしながら、木より落下。

 顔面から地面に激突した。痛そうだ。

「ゴブブブブブブ」

 スタンの効果はまだ続いているようだ。

 立ち上がることが出来ず、その場でプルプルと震えている。

「ネネイ、あいつを倒すんだ!」

「倒すなの!」

 ゴブリンに駆け寄り、ポコポコ殴り始めるネネイ。

 一見すると駄々っ子に見えるそのたこ殴りは……弱かった。

 ゴブリンが死亡、つまり光と化したのは、絶え間なく数分間も殴り続けた後だ。

 当然ながら、〈ビリビリ〉のスタンは、とうの昔に切れていた。

 それでも、怒濤のポコポコ攻撃が、ゴブリンに反撃をさせなかった。

「ふっふーんなの!」

 腕を組み、ドヤ顔を浮かべるネネイ。

「ああ、大したもんだ」

 そう言って頭を撫でながら、俺は思っていた。

 思っていた以上に弱いな、と。

 これでは一人で戦わせるわけにはいかない。
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