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011 購入モードを使ってみた

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 広場にて〈購入モード〉を発動し、そして、驚いた。

 朕ランスの反応が、今までと違っていたのだ。

 穂が消え、そのまま、目の前に購入画面が表示された。

 ネット通販のAmaz○nを彷彿とさせる、元ニートの俺にはお馴染みの画面だ。

 画面は似ているのに、レビューや評価機能は備わっていなかった。

 余談だが、俺は、物を買う時に評価やレビューを気にするタイプだ。

「あとはこのボタンを押せば……」

 購入ボタンを指でタップすると、画面が消えて、アイテムが現れた。

 手のひらサイズの宝箱が2つ、ポンッと。

 片方は青色で「武」と、もう一方は赤色で「防」と書かれている。

 どちらが武器で、どちらが防具か、一目で分かった。

「宝箱が出てきたなのー!」

 隣に居たネネイ目を輝かせて大興奮。

「カイト、凄い」

「流石です、カイト様」

 リーネとエリスが便乗して祝ってくる。

「ただスキルを使っただけだろ!」

 苦笑いで突っ込み、〈ランダム防御ボックス〉をネネイに渡す。

「おとーさん、開けていいなの? いいなの?」

 ネネイは目を輝かせて、赤色の宝箱に手を掛けている。

 何も言わなくても開けそうだな、と思ったので眺めることにした。

「いいなの!? いいなの!?」

 何度も訊いてくるネネイ。

 表情と同じくらいに手は正直で、プルプルと震えている。

 右手を動かし、今にもパカッと開きかねない。

 それでも、ネネイは開かずに待機している。

「おとーさん! おとーさん!」

 何も言わないで笑顔を向ける俺。

「むぅーなの!」

 いよいよネネイにもこちらの思惑が伝わったようだ。

 頬をパンパンに膨らませて怒りだした。

 怒りはそれだけに留まらず……。

「意地悪するおとーさんは、メッ! なの!」

 脛を思いっきり蹴られた。

 どうやら娘の攻撃は効くらしく、普通に痛い。

 わりとガッツリ蹴られたので、涙がちょちょぎれる。

「悪かった! 俺が悪かった! 開けていいから!」

 俺は白旗を揚げて、ネネイに開封を許可した。

「開けるなのー!」

 言うと同時に箱を開けるネネイ。

 すると、宝箱は白い煙を放ちながら消えた。

 代わりに、小さな木の籠手が現れる。

 ネネイの寸法を測ったかのような幼女サイズだ。

 流石は幼女の装備。

 頼もしいというよりは可愛らしく感じた。

「これは……当たりなのか?」

 リーネに尋ねる。

「……いえ」

 少し間があったあとで、リーネが首を横に振る。

 ハズレみたいだ。

「とにかく装備してみろよ、ネネイ」

「装備するなの!」

 ネネイは、俺の予想を裏切る方法で籠手を装備した。

 持っていた籠手が消えたと思ったら、一瞬で両手に装備されたのだ。

 まるでゲームのキャラに装備させたかのように。

「ステータスを確認する前に、武器のほうも開けておくか」

「開けるなのー!」

 俺が〈ランダム武器ボックス〉を渡すと、ネネイは即座に開けた。

 幼女サイズの小さな木の剣が現れる。

 籠手の時と違い、今回は俺にも分かった。

「ハズレだよな?」

 リーネが「はい」と頷く。

 さすがに木剣が当たりなわけがない。

 それでもないよりはマシなので、ネネイに装備させる。

 純白のワンピースの左脇に、木剣が携えられた。

「よし、ステータスを表示してみろ」

 ネネイに言って、ステータスを見せてもらう。

===============
【名 前】ネネイ
【レベル】10
【種 族】人間
【攻撃力】15(F)
【防御力】15(F)
【敏 捷】5
【知 識】5
【S P】0/10
【武 器】木の剣
【防 具】木の籠手
【スキル】
ビリビリ
===============

「見たまんまの名前だな」

 装備の名前を見て苦笑い。木の剣に、木の籠手だ。

 その後、それらのランクを確認して、「やはりな」と再度の苦笑い。

「最低限ではあるが、武器と防具は揃った。明日はまた狩りに行こう」

「やったーなの! ネネイはお外が好きなのー!」

 声を弾ませるネネイ。

 嬉しそうにぴょんぴょん飛び跳ねる姿が実に微笑ましい。

「それじゃ、明日に備えて風呂に入るとしよう」

 俺は「行こうか」と言って、リーネの手を取る。

「えっ、私でよろしいのですか?」

 驚くリーネ。エリスを指名すると思っていたようだ。

 エリスやネネイも驚いている。

 無理もない。いつもエリスと2人で風呂に入っていた。

 風呂でもアレコレ楽しむから、ネネイには見せたくなくて。

「今日はリーネと楽しみたいと思う。だからエリス、リーネの代わりにネネイと風呂に入ってくれるか?」

「いいけど……」

 エリスは不服そうだ。

「けど?」

「……なんでもない」

「今から拗ねていると後が持たんぞ。俺は今日、リーネと寝るつもり。エリスには、ネネイと寝てもらう」

「エリスおねーちゃんと一緒に寝るなの!?」

「嫌か?」

「嫌じゃないなの! 嬉しいなの! 楽しみなのー!」

「ネネイが問題ないようなら決まりだな」

 エリスの頬が急速に膨らんでいく。

「楽しみにしていたのに。カイトの馬鹿」

 よほど俺とのイチャイチャが楽しみだったようだ。

 調教した甲斐があるというもの。

「また今度な」

 エリスの頭を撫で、ついでに耳を触ってから、リーネと大浴場に向かった。

 初日以来となるリーネとの風呂を楽しんだ後、ベッドでも楽しんだ。

 従順なリーネには、たくさん命令して、最高のご奉仕をさせる。

 そうして快楽に溺れていると、あっという間に、朝がきた。

「よーし、ネネイ、頑張るぞ!」

「おーなの!」

 いつものように朝食を済ませると、ネネイを連れて外に出る。

 目ざとく森を物色して、ゴブリンを発見した。

「装備の強さを見せてくれ、ネネイ」

「任せてなの! おとーさん!」

 ネネイが剣を抜き、テクテクとゴブリンに突っ込んでいく。

 …………が、しかし。

「わわわっ!」

 何もない平坦な道で盛大に転んでしまった。

「あいたたた、なの」

 剣を杖代わりにして立ち上がろうとするネネイ。

「ゴブー!」

 そこにゴブリンが飛びかかった。
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