食料庫と化した街。

オプフル

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鬼殻町。

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「ただいま」
男は玄関で靴を脱ぎながらに言った。
すると、小学に二、三年生ぐらいの女の子が、リビングから飛び出して男を出迎えた。
「ただいま!」
「それをいうならおかえりなさいだろ」
「そうだったけ?」
女の子はにっこりと微笑んだ。
男はこの時、まだやってないんだなと思った。
女の子は笑みを絶やさず、男の手首を掴んで、リビングへ連れていこうと引っ張った。
そんな女の子の様子を見た男もまた、笑みを浮かべた。
リビングに着くと「おかえり」とキッチンにいた妻が俺に向けて言った。
俺は「ただいま」と返した。
俺と女の子は食卓の椅子を引いて、腰掛ける。
女の子は俺の向かい側に座った。
「ちょっと、今日は時間がかかりそうだわ、いいかしら?」
キッチンにいる妻が俺に尋ねた。
「俺はいいよ」
「私も!」
俺と女の子は了承した。
俺はついでにあることを訊いた。
「これ食べないの?」
妻はどうやら忘れていたらしく「あぁ~、そうだったわね」と言って食卓の方までやって来た。
そして女の子を両手で持ち上げて、キッチンまで運んだ。
女の子はこの状況を理解できず、首を傾げた。
「ねぇ~なんで私を連れて来たの?」
そんな女の子の発言に妻は耳を傾けず、まな板の上に座らせた。
妻は持っていた包丁を女の子にちらつかせた。
女の子は「じ、冗談きついよ~」と苦笑い気味に妻に言った。
妻は先程と同じく、女の子の言うことに耳を傾けようとはしなかった。
ただ、垂れてくる唾液を堪えているようだった。
妻は極めて薄気味悪い笑みを女の子に向けた。
女の子に異常なまでの恐怖が植え付けられる。
頭も身体も母を強く拒んだ。
あの愛しい母を。
身体の筋肉は固まり、逃げるどころか動かすこともできなくなっていた。
目からは涙が流れ出ていた。
恐怖という感情によって。
女の子はこの時、初めて死ぬという恐怖を体感する。
全身が助けを求める感覚。
叫びたくても叫べない感覚。
女の子にはそれ以外にも様々な感覚が走った。
死を間近にした人間にしかわからない感覚を。
「た、たす、助けて、助けて!」
女の子は助けを求めた。
絞りかすのような声で。
そう言った。
きっと、食卓に座っている男に言ったのだろう。
だが、男は面白そうに見ているだけだった。
女の子は悟った。
この人も私を。
「あ、そうだわ!」
妻は何かに気づいたように声を上げて、調味料が入った棚から何かを取り出した。
そして、それをドバドバと女の子にかけた。
「醤油は必須だわ」
女の子は抵抗しない。
次に、妻は包丁の刃の側面を舌でベロベロと舐めた。
そして、刃先を女の子に向ける。
女の子は言う。
「嫌!や、やめて」
「お願い、やめ、、、て」
「し、死にたく、、、、ないよ」
「やめ、やめて!、、、」
女の子の首に包丁が突き刺された。
包丁は女の子の綺麗な首を貫通した。
女の子はもがき始めた。
虫の息になりながらも。
妻は、首から包丁を抜き、女の子の口に無理やり手を突っ込んで舌を引っ張り、包丁で掻き切った。
さらに、女の子の口角に包丁をおき、そこからまっすぐに切り込みをいれた。
もう片方も同じ要領で切り込みを入れた。
包丁をまな板の横に置いた。
女の子の下顎と上顎を両手で掴んで、引きちぎるように力を加えた。
女の子の口は信じられないほど開いた。
妻は「ふぅ~」と息を吐く。
「とりあえず、ひと段落すんだわ、もう少し待っててね」
それを聞いて、俺は出来上がるのを楽しみに待った。
今夜のメインディシュが出来上がるのを。

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