ヤンデレでも好きだよ!

ささみ

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10、祐希視点 前半

祐希視点 前半

「可愛い…」

初めて会った時の感想はそれだった。俺が玲と初めて会ったのは中学の時だ。
多分、玲は覚えてないと思うだろうけど。

必死に、好きな人に振り向いて欲しくて頑張っている玲がとても魅力的に見えたのだろう。
俺は昔から、誰かから愛情を向けられることが少なかったから。

「佐藤、玲」

その日から、俺は玲のことをストーカーするようになった。
朝は玲の家の周辺で待ち伏せして、出てきたら俺も歩き出す。

放課後も、玲が友人と一緒に帰っているのをいつも見ていた。
そんなことを、かれこれ10年はやっている。

大学まで追っかけてきたはいいものの、話すきっかけがなくて仲良くなれていなかった。

そんな時だった。玲が新しい友達を作ろうとしているのを耳にした。色んな人に話しかけているのが見える。
だけど、上手くいかずベンチでしょぼんと座っている玲を見つけた。

「やっぱり無理だよ…」

俺はチャンスだと思い、玲に話しかけることにした。

「なにが?」
「うひゃ!」

か、可愛い…今の絶対に撮っておけばよかった。失敗した。

「アンタ、めっちゃ無視されてたね」
「え、見てたの?」

上目遣いで聞いてくる玲に俺は今にも鼻血が出そうだ。

「友達つくりたいの?」
「うん…そう」
「じゃあ俺が友達になってあげるよ」
「え?!い、いいの?」

玲はすごく嬉しそうに笑った。そんなに喜ばれると思っていなかったので俺はついつい驚いしてしまう。

「うん、よろしくね。俺は浅見祐希」
「あ、えっと…春山玲です」
「敬語じゃなくていいよ、タメだし」
「え?同い年なの?」
「うん、よく講義で見かけるし」

嘘だ。中学からずっと見ていた。なんて心の中で思いながらも玲と友達になれて気分は最高だった。




『隼人…』

盗聴器から聞こえる声に興奮するのと同時に、その声で呼ぶ名前に殺意を抱く。

「玲から愛されてるのに見向きもしないクソ野郎が…」

俺はいつものように、そいつの写真にナイフを突き立てる。
俺がこいつだったら玲を粗末に扱うことなんて絶対にしない。

しばらく、会話を聞いていると玲が家から追い出されたみたいだ。
俺はこのチャンスを逃さなかった。急いで外に出て、GPSの位置を辿る。

『…寒いな』

見つけた。人気の少ないところを歩いている。
俺はそっと、スタンガンを玲にあてたのだった。




家に連れて帰って玲をしばらく見つめる。気絶しているようだ。

「ん…」

起きたようだ。

「え?」
「あ、おはよう」
「どうして…」

怯えているのか、瞳の奥が潤んでいる。俺はそれが可愛くてしかたない。

「ずっと、会いたかったんだよ。最初は見ているだったんだ。でも、どうしても喋りたくなって…」
「ゆ、祐希?…どうして?」

俺は玲の頬をそっと撫でる。警戒しているのか、軽く俺を睨んでくる。

「これ、外してよ…」
「どうして?ずっと一緒だよ」
「でも、僕には恋人が」

聞きたくない。そう思って無意識で玲の唇に自分の唇を当てていた。

「んぅ」

玲は弱い力で俺を押し返す。それでも、甘い声が出ていることに気づいていないのだろうか?

「フフ、気持ちいい?」
「や、やめて!」
「…あんな奴のどこがいいの?」

ぎゅっと抱きしめると、玲は少しビクッとした。

「祐希…」
「玲はずっと苦しめられてただろう?!俺なら、絶対に玲以外を見ることはない。毎日、好きだって言うし玲のためならなんでもする。人を殺すこともね」

玲を思う気持ちが溢れてくる。きっと引かれたかもしれない。
玲の目を見れない、きっと嫌われた。

「そんなこと、しなくていいよ。確かに、隼人は酷いこと言うし僕以外の人を好きになっちゃうけどそれでも…好きだから」

玲の顔はなんだかすごく見ていて痛々しい。とても恋をしているような顔じゃない。

「…なんで」

俺は訳が分からなかった。すると、玲が俺の手を優しく握ってくれる。
その手がなんだか暖かくて心地が良い。

「祐希がそこまで僕のこと好きだったんだね。でも、僕のことをどうやって知ったの?」

俺は今までのことを玲に説明した。少しだけ引かれたけど多分嫌われてはいない。

「でも、ビックリだなぁ…まさか、僕のこと好きな人がいるとは」
「いるに決まってるじゃん!フフ、玲は可愛いから」
「か、可愛い?」
「うん」

玲は言われ慣れてないのか少しモジモジしてから少しはにかんだ。

「可愛い…」
「え?あ、うひゃっ」
「玲、可愛いよ」

耳を触ると、驚くほど反応が良い。少し触っただけなのに目をトロトロにさせている。

「んっ…」
「可愛い」
「も、もうやめて」

そう言うけど全然嫌そうじゃない。むしろ、嬉しそうだ。俺は玲の頭を撫でてあげる。

「愛してるよ」
「あ…」

玲はその言葉を聞いた途端、少し戸惑ったような表情を見せた。
玲は俺の裾をちょこんと掴んでから、聞いてくる。

「祐希…ずっと、愛してくれる?」
「何…言ってんの?」
「っ」

俺は玲が可愛すぎて今にも発狂しそうだ。そして、何を当たり前のことを言っているんだ?

「当たり前でしょ?俺はずっと玲を愛すよ…フフ、顔赤いね」
「だって…よく、そんなに恥ずかしいセリフ言えるよね」
「恥ずかしくないよ。玲が大好き」
「んっ…」

俺は玲に優しく口付けをするのだった。





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